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特集 K-5IIs
ペンタックス K-5IIs~ローパスフィルターレスの解像力 |
ペンタックス K-5IIs
by Inaba Kunio
ローパスフィルターレスの解像力
評価:5.0
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1.ペンタックス K-5IIsの位置づけと概要暗所能力を向上させた上級機2010年10月に登場したコンパクト上級機、K-5の後継機K-5II/K-5IIsがリリースされた。9月に発表されたとき、K-5からの進化があまり感じられない、という意見も少なからず見られた。確かに、イメージセンサーやカメラ機能、ボディデザインについても、基本的にはK-5を踏襲しており、こうした指摘は間違ってはいない。EV「-3」に対応するオートフォーカスしかし、詳細にチェックしていくと、仕様を見ただけでも多くの進化を遂げていることがわかる。とくに、オートフォーカスモジュールがSAFOX IX+からSAFOX Xへと世代交代している点には注目すべきだろう。測距点はどちらも11点であるが、SAFOX Xでは測距可能な輝度がEV−3~18へと2EV分拡がっている。中央部の9点のみとなるが、EV-3でもオートフォーカスが稼働するため、感度ISO100、絞り値F2.8、シャッタースピード1/2秒となる環境下でもオートフォーカス撮影が可能となる。イメージとしては、かなり暗めの屋内でも合焦させることができる。もちろん、実際の撮影では、高い高感度性能を活かしてISO3200、絞りF2.8、1/60となるので、3段分の手振れ補正機能SRを活用すれば十分手持撮影も可能となる。 【K-5II/K-5IIsと、K-5、K-30の比較】
ローパスレスモデルも用意K-5IIのもう一つの注目点は、一般的なモデルに加えてローパスフィルターレスモデルも用意されている点である。ローパスフィルターは、イメージセンサーに受光する光をぼやかし、細かい模様をカットする効果を与える。当然、解像感や鮮明さにはマイナスとなるが、この効果によってモアレや偽色の発生を抑制することができる。 イメージセンサーの画素数増加や画像処理エンジンの処理能力向上など、デジタルカメラの要素技術の発展により、ローパスフィルターがなくても、モアレや偽色を効果的に抑制できるようになってきた。こうした進化に裏打ちされて、ローパスフィルターレスモデルが登場してきたのである。
K-5IIsのイメージセンサー部分。 それでは早速、ペンタックスのローパスフィルターレスモデル、K-5IIsの実力をチェックしていきたい。 ![]()
2.ペンタックス K-5IIsを開封し外観をチェックペンタックス PENTAX K-5IIsを開封する言うまでもなくK-5IIは、ペンタックスAPS-Cサイズ・デジタル一眼レフのハイエンド機となる。ペンタックスはレンズ交換式デジタルカメラにおいて幅広く製品を展開しており、最上位となる中判サイズの645Dを筆頭に、APS-CサイズのK-5II/K-5IIs、K-30、ミラーレスモデルとなるK-01、そしてコンパクトカメラと同じ1/2.3型センサーのQ/Q10が揃えられている。これだけ幅広く用意しているメーカーは、ペンタックス以外にはない。販売形態としては、K-5IIでは本体のみまたは18-135mmズームレンズのキットが、K-5IIsは本体のみとなっており、必要に応じてレンズを用意することになる。発売開始時点の価格は、K-5IIボディが10万円弱、レンズキットは14万円前後、そしてK-5IIsは11万円弱といったところであり、フラグシップ的な位置づけのカメラとしては、相対的に廉価である。 今回、テストの対象として購入したのはK-5IIs。ローパスフィルターレスモデルの描写性能のチェックが一番のテーマであるが、オートフォーカス性能など、K-5からどの程度ブラッシュアップされているのかも興味深いところだ。
K-5IIsのパッケージ。黒と白を基調としたパッケージにモデル名が大きく印字されている。
ケースを開けると、上に取扱説明書等が入っており、その下に本体やレンズが格納されていた。写真の左上がボディ本体で、その右にあるのバッテリー充電器D-BC90P。手前側にはストラップやケーブル類が入っている。
中から出てきた付属品。左上から使用説明書、ソフトウェアCD-ROM(S-SW132)、ストラップO-ST132、バッテリー充電器D-BC90P、バッテリーD-LI90P、ACコードD-C02J、MEファインダーキャップ、AVケーブルI-AVC7、USBケーブルI-USB7。その他に、ボディマウントカバー、ホットシューカバー、三角環とキズ防止カバーがカメラに装着されている。保証書は国内のみ有効のものが付属していた。 バッテリー関係をチェック
バッテリーチャージャーD-BC90PはK-5やK-01のものと同じ。D-LI90Pの充電には最大で320分かかる。
バッテリーチャージャーには付属のACケーブルを介してコンセントに接続する。できればウォールマウントアダプター等も付属すると、可搬性が増す。
付属のACコードD-C02J。
バッテリーパックD-LI90Pの容量は1860mAhで、K-5II/K-5IIsでは最大で静止画980枚(ストロボ非発光時)の撮影が可能。バッテリーパックは中国製。 ペンタックス K-5IIsの付属品をチェック
付属するストラップO-ST132。ロゴの部分は刺繍となっており、高級感のあるつくり。
USBケーブルI-USB7。パソコンやプリンター等との接続に使用。
MEファインダーキャップ。リモコンを使った撮影など、光学ファインダーから眼を離して撮影するときに使用が推奨されている。
裏側には、光学ファインダー接眼部に装着するためのガイドがある。
ボディに付属するマウント口用のキャップ。軟質プラスティック製。
かぶせ式のため、そのままマウント口に挿入して固定する使い方となる。 ペンタックス K-5IIsの本体をチェック
ボディ前面。形状はK-5を踏襲しており、上級クラスにしてはコンパクトである。
ボディ背面。こちら側も基本的にK-5のものと同じ。
ボディ右側面にはメモリーカードスロットとケーブルレリーズ端子が置かれている。
ボディ左側面。こちら側には、マイク端子や外部接続端子が格納されている。
ボディ上面のレイアウトも基本的にK-5と同じ。小型ボディにもかかわらず、液晶パネルが搭載されている。
ボディ底面。グリップ部分の下にはバッテリー室があり、その右にはバッテリーグリップD-BG4接続用端子カバーがある。三脚用の穴はレンズ光軸上に設置されている。
外見上のK-5との一番の違いはロゴかもしれない。ロゴ自体は印字。K-5のストラップ取付部は三角環方式となっており、取り回しの自由度が高い。
三角環にはボディを傷つけないための保護カバーが装着されている。なお、その上にある白い指標は、イメージセンサーの位置を示すもの。レンズ交換式カメラでは、最短撮影距離はイメージセンサーからの距離を示すため、この指標が基準点となる。
マウント部分。Kマウントはマニュアル方式のフィルム時代から続いており、接点類も順次拡張されてきたことが見て取れる。赤いレンズ取付指標の右下には絞り連動用のレバーがある。また4時方向にはオートフォーカス用の連動軸が置かれている。
マウント内は反射防止用の塗装が丁寧に施されている。
マウント内側上部にはフォーカシングスクリーンが設置されている。ミラーで反射した光がスクリーン経由で光学ファインダーに導かれる。このスクリーンは交換可能で、全面マットのものやガイドラインが表示されたものなど計4種類が用意されている。
K-5IIsのイメージセンサー。ローパスフィルターが取り除かれ、光路調整とダストリダクション用のガラス版が代わりに置かれている。
ペンタ部にあるロゴ。ロゴは刻印された上に白いインクが流し込まれている。
ペンタ部左側には内蔵ストロボポップアップ用のボタンとXシンクロソケットが置かれている。ポップアップボタンは機械式に稼働するため、電源が入っていない状態でも機能する。
内蔵ストロボをポップアップさせた状態。ボディサイズの割に高い位置で照射可能となっている。
Xシンクロソケットのカバーをはずした状態。最近ではシンクロ接点を内蔵している機種はかなり少なくなっている。
マウント基部にあるRAW/Fxボタンは、初期設定ではワンタッチRAW+として機能するが、露出ブラケットや光学プレビューに設定することも可能。その下にはフォーカスモードを切り替えるフォーカスモードレバーが置かれている。
ボディ左側にあるマイク端子。ステレオマイクに対応している。
外部接続端子。上からHDMI mini、PC/AV端子、DC入力端子となる。
左肩にあるモードダイヤル。内容はK-5と同じ。切り換えるには中央にあるロックボタンを押しながら回転させる。
モードダイヤルと同軸に測光モード切換レバーが配置されている。
グリップ部の付け根のSRのロゴ。これはSR(Shake Reduction)の意味で、手振れ補正機能内蔵を示す。グリップ部にある赤いプラスティックはセルフタイマーランプとリモコン受光部を兼ねるもので、マウント左下にあるボタンはレンズ取り外しボタン。
グリップ部の右側にあるランプはAF補助光用のもの。
グリップ部。シャッターボタンの同軸に電源スイッチが置かれている。ONからさらに回すとプレビュー表示される。シャッターボタンの手前には前電子ダイヤルが、後ろ側には露出補正ボタンとISO設定ボタンが置かれている。
ペンタ部右側面にはスピーカー用の穴が開けられている。
液晶部右側のメインコントロール部。ボタンやダイヤルの配置は基本的にK-5と同じ。
視野率100%を確保した光学ファインダー。標準で接眼部のアイカップが付属している。
アイカップの上には視度調整レバーが格納されている。
アイカップを外した状態。視度調整レバーの構造がわかる。
付属のMEファインダーキャップを装着した状態。装着するためにはアイカップを外す必要があり、やや手間がかかる。
ボディ底面のバッテリーグリップD-BG4接続用端子カバーを開けた状態。ゴムカバーは取り外し式。
バッテリー室の蓋はつまみレバーを回転させることでストッパーを開錠する方式。
バッテリー室の蓋を開けた状態。蓋にはバッテリーの挿入方向を印字したリールが貼付されている。
バッテリーを挿入しつつある状態。グリップ部一杯の大きさである。
メモリーカードはボディ右側面にある専用カバーを開けて挿入する。挿入方向のガイダンスが表示されている。
メモリーカードを挿入しつつある状態。ラベル面が手前側となる。ボディ側面から取り出すことができるため、三脚に固定した状態でも交換が可能となっている。
メモリーカードスロットの下にあるケーブルレリーズ端子カバーを開いた状態。ここにはケーブルスイッチCS-205を装着できる。
グリップ親指側にある後電子ダイヤル。
ペンタ部にはアクセサリーシューも用意されている。汎用ストロボも使用可能。
DA50mmF1.8を装着した状態。いかにもカメラらしいシルエットである。
軍艦部右側にある液晶パネル。基本的な設定状況はここを見るだけで把握できる。写真はバックライトが点灯した状態。
背面液晶モニターにカメラの設定情報を表示させた状態。基本的な情報は液晶パネルにも表示されるが、こちらの方がわかりやすいかもしれない。
液晶モニターに電子水準器を表示させた状態。上下方向と左右方向の傾き状況を表示できる。
ライブビュー表示。液晶パネルのアスペクト比は4:3のため、最大サイズの画像(アスペクト比は3:2)を表示させると、下部が情報表示部となる。 Sponsored Links 3.ペンタックス K-5IIsの描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能PENTAX K-5IIsの基本感度はISO100で、標準ではISO12800まで、拡張設定ではISO80からISO51200まで設定可能となる。ノイズ低減方法としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法がある。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルのパラメータが設定されるだけで、画像自体には変更は加えられない。カメラ内でのノイズ低減は、「高感度NR」と「長秒時NR」の2つ。他社にない機能として、高感度NRのカスタム設定があり、ISO感度別にノイズリダクションの設定ができる。 「高感度NR」は「オフ」、「弱」、「中」、「強」と、「オート」、「カスタム」の計6種類があり、初期設定では「オート」になっている。「オート」ではISO感度の設定によって、カメラ側で自動的にノイズリダクションを行う。 「長秒時NR」は、「オフ」、「オン」、「オート」の3種類がある。「オン」にすると1秒よりも低速のシャッター速度で撮影したときには、常に長秒時ノイズリダクション処理がかかる。こちらも初期設定は「オート」になっている。「オート」では、シャッター速度、設定ISO感度、カメラ内部温度等を判断して、カメラ側で処理を行う。 テスト結果を見ると、高感度ノイズ低減を「しない」にしても、ISO1600まではほとんどノイズ感は感じられない。ISO3200を超えると暗部を中心にややノイズが目立ってくるものの、ISO6400でも十分実用的であるように感じた。ISO12800以上になると、等倍ではかなりノイズが目立ってくるが、画像自体が破たんしているわけではないので、縮小して利用するのであれば十分使えるレベルである。とはいえ、ISO51200あたりになるとかなりノイズレベルは高くなるので、注意が必要である。 高感度ノイズ低減を中にすると、概ね1段分程度ノイズが低減される。やはり解像感はやや低下するものの、ISO12800でもそれなりに使えるレベルである。ノイズ低減を「強」にすると、ノイズ感はさらに大きく改善されるが、解像感の低下もやや目立つ。 下記のサンプルは、高感度撮影時のノイズ低減を「オフ」、「標準」、「強め」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったもの。表示画像はほぼ等倍画像だが、クリックすると全体画像が表示されるので、あわせて比較をしていただければと思う。
ISO80(左から「オフ」「中」「強」) 描写力チェック2:解像度PENTAX K-5IIsのイメージセンサーは有効1628万画素となる。今回テストしたDA50mmF1.8の結果は、絞り開放ではやや柔らかい表現ながら、全体に優れた解像力を示しました。1段絞ると、周辺部を含めかなり鮮明度が向上します。絞っていくと、さらに画像がしっかりしてくるので、下記のサンプルにはF1.8から4段分絞ったF7.1のものを掲載しました。視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、2500本ラインの視認が可能です。このあたりはK-30とほぼ同様の結果となりました。
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限界解像度チェック用のラインでは、特にモアレも発生せず、2500本まで十分視認できています。
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横方向の限界解像度チェック用のラインでも、同様に2500本ラインは十分視認可能です。
4.結局、ペンタックス K-5IIsは「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録1.製品仕様からみた K-5IIsの特長
Sponsored Links 付録2.発売前のファーストレビュー【一口コラム】ローパスレスモデルの登場ペンタックスからK-5の後継機、K-5IIと、そのローパスレスモデルK-5IIsが登場した。K-5からの主な進化は、AFモジュールを新開発のSAFOX Xに置き換えることによるAF精度と安定性を高めるとともにAF輝度範囲が-3EVまでに拡大した点と、エアギャップレス液晶モニターの採用で屋外における視認性向上という点で、どちらかといえばおとなしめのバージョンアップと言える。K-5II以上に注目すべきは、同時に発表されたK-5IIsかもしれない。これはニコンのD800/D800Eと同様に、ローパスフィルターを除去することで、解像感の向上を図ったモデルである。なお、ニコンD800Eの場合には、単純にローパスフィルターを外すのではなく、ローパスフィルターの効果を打ち消すフィルターを付加することで実現しているのに対し、ペンタックスは明確に「除去」となっている。 ローパスフィルターを除去するデメリットとしては、画素ピッチよりも細かいパターンの繰り返しがあると擬色やモアレが発生しやすくなる点があげられるが、イメージセンサーの高画素化と画像処理エンジンの進化により、以前よりは格段に向上している。そのため、メリットである解像感のアップと十分見合うだけのレベルに到達したという判断なのだろう。
K-5II(左側)とK-5(右側)。正面から見ると、ロゴ以外に違いは判らない。
K-5II(左側)とK-5(右側)。液晶モニターのカバー部分のつくりが変わっていることがわかる。ボタン類の配置もまったく同じようだ。
K-5II(左側)とK-5(右側)。上面も同じ。モードダイヤルの印字もK-5のものが踏襲されている。
なお、細かいところであるが、K-5IIへの進化ポイントの一つとして、GPSユニットO-GPS1によるアストロレーサーに対応した点がある。これでペンタックスの最上位機種を使っての天体撮影がより容易になった。 (2012年9月11日 記) |
独断 デジカメ対決! ![]() ☆ vs ペンタックス K-30 |
【厳選レビュー記事】◎Itmedia 風景をくっきりと再現するローパスレスの魅力――ペンタックス「K-5 IIs」2012年11月29日 永山昌克
◎Itmedia 「クラス最高AF」ローパスレスモデルも用意 「PENTAX K-5 II」2012年 9月11日 編集部
◎デジカメWatch ペンタックス、ローパスレスのデジタル一眼レフ「K-5 IIs」2012年 9月11日 編集部
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【ペンタックス K-5II / K-5IIs 基本仕様】
ペンタックス K-5II メーカー製品仕様のページ |
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