【一口コラム】一眼レフスタイルの新型ミラーレス
富士フイルムから同社設立80周年記念製品にも位置付けられた新型ミラーレス、X-T1が正式発表となりました。発売は2月15日の予定で、ボディ本体のみと、XF18-55mmF2.8-4標準ズーム(製品レビュー) の付いたレンズキットが用意され、店頭予想価格は15万円と19万円となっています。同社は発表会で「画質と機動性を両立した、レンズ交換式カメラの決定版」と表現しており、X-T1にかけられた期待の高さを感じます。
縦位置バッテリーグリップ「F VG-TX1」を装着したX-T1。本格的なデジタル一眼レフを想起させるフォルムです。バッテリーグリップも含め防塵防滴処理が施された本格派です。
まずは、X-T1の特長について、主なポイントを見てみたいと思います。
イメージセンサーは富士フイルム独自のX-Trans CMOS IIで、有効1630万画素APS-C型のローパスフィルターレスタイプです。画像処理エンジンはEXR
Processor IIで、X-E2(製品レビュー) やX100S(製品レビュー) と同等です。
設定できるISO感度は、標準設定ではX-E2と同じISO200-6400ですが、拡張設定では1段分拡がりISO51200も可能となっています。
X-E2と同様に像面位相差方式にも対応しており、ミラーレスカメラとしては高速なAFを実現しています。
レンズ光軸上に設けられた電子ビューファインダーは0.5型236万ドットの有機ELパネルです。ファインダー倍率0.77倍(35mm版)、表示タイムラグ0.005秒であり、どちらも世界最大・最短とのことです。
電子ビューファインダーには4つの表示モードがあり、マニュアルフォーカス時にはメイン画像と同時に、サブでフォーカス状況を確認できる画面の2つを同時に表示できます。
連写速度も強化され、最高で8コマ/秒の撮影が可能です。
富士フイルムのミラーレスとしては初となる防塵防滴ボディです。-10°の低温にも対応しています。
動画はフルHD(60p)に対応しています。
Wi-Fiも搭載しています。X-E2では対応していなかったスマートフォン等でのリモート操作にも新たに対応しました。
X-T1のボディサイズは、横幅はX-E2と同等ですが、高さ約1.5cm奥行約1cm増しています。
X-T1(左側)とX-E2(右側)。幅は同じですが高さは約15mm高くなっています。グリップ部にはフロントコマンドダイヤルが設けられ、その右下にはファンクションボタンも新設されています。レンズ右側にはシンクロターミナルもあり、フラグシップに近い位置づけであることがわかります。
X-T1(左側)とX-E2(右側)。液晶モニターは3型104万ドットのものですが、上下方向のチルト可動に対応しました。ボタンやダイヤルの位置は変わっていますが、基本的なインターフェースは共通しているようです。アイセンサーもファインダー接眼部の下に設けられています。
X-T1(左側)とX-E2(右側)。上面右側にはシャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルが置かれておりシャッタースピードダイヤルの下には測光ダイヤルも置かれています。上面左側にはISO感度設定ダイヤルとドライブダイヤルが二段に重ねられています。シャッタースピードダイヤルと感度設定ダイヤルにはロックボタンも付けられています。
【富士フイルムX-T1とX-E2、X-Pro1の比較】
機種名
X-T1
X-E2
X-Pro1
イメージ
センサー
有効1640万画素
APS-Cサイズ X-Trans CMOS IIセンサー
有効1610万画素
APS-Cサイズ X-Trans CMOSセンサー
マウント
富士フイルムXマウント
ISO感度
ISO200-6400 拡張でISO100-51200
ISO200-6400 拡張でISO100-25600
シャッター
スピード
30-1/4000秒
フラッシュ同調は1/180秒まで
ファインダー
電子ビューファインダー 0.5型236万ドット 0.77倍
電子ビューファインダー 0.5型236万ドット
ハイブリッドビューファインダー OVF:90%、0.37倍 EVF:0.47型144万ドット
液晶モニター
3型104万ドット
チルト可動
3型104万ドット
固定式
連写速度
最高8コマ/秒
最高7コマ/秒
最高6コマ/秒
動画撮影
1920x1080
(60p)
1920x1080
(24p)
バッテリー
NP-W126
350コマ
NP-W126
300コマ
付加機能
Wi-Fi/防塵防滴
フラッシュEF-X8同梱
Wi-Fi
フラッシュ内蔵
-
サイズ (W x H x D)
129x89.8x46.7 mm
129x74.9x37.2 mm
139.5x81.8x42.5 mm
重さ
440g/390g
350g/300g
450g/400g
X-T1では、レンズ光軸上に電子ビューファインダーが設けられました。このスタイルは、一眼レフと同じですが、とくに動く被写体の追従や望遠レンズでの撮影といった点では、X-E2のようなスタイルよりも適しているように思います。その意味では、単に「クラシカルなデザインを採用した」という捉え方では不十分かもしれません。
縦位置バッテリーグリップ「F VG-TX1」や、ハンドグリップ「F MHG-XT」も用意されています。
また、今回はXF56mmF1.2 Rが正式発表となりましたが、あわせて防塵防滴レンズ「XF18-135mmF3.5-5.6 R OIS WR」「XF16-55mmF2.8
R OIS WR」「XF50-140mm F2.8 R OIS WR」3本と、大口径広角レンズ、超望遠ズームレンズを2014年中にリリースすることも表明されました。
すでに販売店での予約も受け付け始められており、ボディ単体での価格は14万円弱と、ほぼ発売開始時のX-Pro1と同水準となっています。いずれにしても、今までのXシリーズにはない新しいタイプのミラーレスであり、発売開始が楽しみです。
(2014年1月28日 by Inaba Kunio)