画質を強化したニコンのローエンドミラーレス 【ニコン 1 S2】
ニコンから、ローエンドミラーレスS1の後継機、S2が登場しました。S1が発売開始となったのは2013年2月ですので、約1年強での世代交代となります。この間、ニコンはミラーレスのラインアップ見直しを表明していましたので、Sシリーズの後継機は出ないのではないか、との見方もありました。今回、S2が登場したことで、上級クラスのV、ミドルクラスのJ、ローエンドクラスのS、アウトドアタイプのAWといった役割分担が、当面引き継がれることが明らかとなりました。なお、S2の月産予定台数は3万5千台で、これはJ4と同じです。ちなみに、J3は8万台、S1は6万台の月産体制でしたので、かなり安全側に見込んでいることが窺えます。
2013年2月に発売開始となったS1。カラーは、ブラック、ホワイト、レッド、ピンクに加えてカーキーも用意されていました。S2のボディデザインはS1を踏襲しているようです。
まずは、S2の特長について、主なポイントを見てみたいと思います。
- イメージセンサーは、S1の有効1011万画素から有効1418万画素へと高画素化されました。V2やJ3、AW1に搭載されていた有効1425万画素よりも僅かながら画素数は少なくなっていますので、新型センサーとなります。引き続きローパスフィルターレスです。
- 画像処理エンジンは、S1のEXPEED 3AからV3やJ4と同じ新型EXPEED 4Aに進化しました。2つのエンジンを搭載し、デジタル一眼レフに匹敵する高画質を実現したとのことです。
- 基準感度はS1のISO100から、ISO200に上がっています。また、高感度側もISO6400から1段分あがってISO12800まで対応しました。
- AF性能と連写性能が強化され、AF追従時にも20コマ/秒での連写が可能になりました。(S1は15コマ/秒。)
- 位相差AFエリアは73点、コントラストAFエリアも135点と、S1と同じです。
- 動画性能も強化され、60iのフルHDから60pにも対応しました。動画撮影時の露出モードも変更できるようになるとともに、V3やJ4で搭載された新機能「おまかせスナップ」も入っています。これは動画撮影中に、カメラが自動的に判断して20コマまでの静止画も記録するものです。また、動画撮影中の電子手ぶれ補正機能も利用可能になりました。このあたりもV3やJ4と同じです。
- インターフェースはS1のものを踏襲しています。
- メモリーカードはV3やJ4に引き続き、microSDカードが採用されました。メモリーカードスロットはバッテリー室の中に設けられています。
- 液晶モニターは3型46万ドットの固定式で、S1と同じです。
- J4やS1と同様、電子ビューファインダーには対応していません。
- Wi-Fiは内蔵していませんので、オプションのワイヤレスモバイルアダプターWU-1aが必要です。このあたりはJ4との違いといえます。
- ソフト面では、J4やV3と同様に、クリエイティブモード、アドバンスト動画モード、モーションスナップショットなどが新たに搭載されました。
- ボディサイズはほぼS1と同じで、J4よりはわずかながら大きくなっています。
S2(左側)とS1(右側)。基本的なボディデザインは踏襲されていますが、ボディカラーはピンクとカーキーがなくなり、イエローが追加されています。
S2(左側)とS1(右側)。液晶モニターはどちらも3型46万ドットで、タッチ操作には対応していません。液晶部分の外周や内蔵ストロボのポップアップ部の形状が変わっています。ロータリーマルチセレクター等の操作部は、ほぼ共通しているようです。
【ニコン1 S2とS1、J4の比較】
機種名 |

J4 |

S2 |

S1 |
イメージ
センサー |
有効1839万画素
1型 |
有効1418万画素
1型 |
有効1011万画素
1型 |
画像処理
エンジン |
EXPEED4A |
EXPEED3A |
マウント |
ニコン1マウント |
ISO感度 静止画 |
ISO160-12800 |
ISO200-12800 |
ISO100-6400 |
オート
フォーカス |
シングルポイント: 171点のAFエリア(中央部105点は位相差AF) オートエリア: 41点のAFエリア |
シングルポイント: 135点のAFエリア(中央部73点は位相差AF) オートエリア: 41点のAFエリア |
シャッター
スピード |
30-1/16000秒(電子) |
ファインダー |
非対応 |
液晶モニター |
3型104万ドット
アスペクト比3:2 タッチ操作 |
3型46万ドット
アスペクト比3:2
非タッチ操作 |
連写速度 |
AF追随時は20コマ/秒 最高60コマ/秒 |
動画撮影 |
1920x1080
(60p) |
1920x1080
(60i) |
付加機能 |
Wi-Fi |
- |
バッテリー |
EN-EL22
300コマ |
EN-EL22
コマ |
EN-EL20
220コマ |
サイズ
(W x H x D) |
99.5×60×28.5 mm |
101.0×60.8×29.4 mm |
102.0×60.5×29.7 mm |
重さ |
232g/192g |
230g/190g |
240g/197g |
S2の位置づけはエントリーモデルですので、やはり実売価格がどうなるかがポイントになってくると思います。6月の発売開始に先駆け、すでに店頭での予約も受け付け始められており、ボディ単体で5万円弱、レンズキットで6万円弱、ダブルズームキットで8万円弱となっています。標準ズームが新型となっていますが、スタート価格はほぼS1の時と同等レベルです。一足早く発売開始となったJ4と比べると、概ね5千円〜1万円程度安価となっています。
画像処理エンジンの進化やソフト面での機能強化が施されていますので、単純には比べられませんが、J3の標準ズームキットが3万円弱で購入できることを考えると、なかなか選択は悩ましいところです。
( by Inaba Kunio)
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