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特集 キヤノン Canon PowerShotS120

4.キヤノン PowerShotS120の描写力をチェック


キヤノン PowerShotS120  by Inaba Kunio    描写性能を強化した五代目のスタイリッシュ高級コンパクト  評価:5.0
キヤノン Canon  PowerShotS120

 描写力チェック1:高感度性能

 PowerShotS120の基本感度はISO80で、ISO12800までの設定が可能となっています。これは前機種のPowerShotS110と同じです。

 高感度性能については、撮影メニューの中に「高感度時NR」の項目があり、「弱」「標準」「強」の3段階で設定できます。PowerShotS120はRAW撮影も可能ですので、撮影後にパソコン上でノイズリダクション処理をかけることもできます。なお、RAWまたはRAW+JPEGでの撮影時には、自動的に「標準」での撮影となります。

 下記のサンプルは、各ISO感度別にテスト撮影を行ったものとなります。基本的な傾向はPowerShotS110と似ていますが、高感度でノイズリダクションを有効にした時の解像感の低下が低減しているように感じました。

 高感度時ノイズリダクションを「標準」に設定しチェックすると、ISO800まではほとんどノイズを感じませんが、ISO1600あたりから暗部などでわずかながらノイズが見えてきます。ISO3200になるとそれなりにノイズが目立つようになってきますが、実用レベルであると思います。ISO6400以上になるとかなりノイズが増え解像感の低下も感じられますが、使い方によっては等倍画像でも活用可能だと感じました。

 高感度ノイズリダクションを「標準」にすると、かなりノイズ感は改善されますが、わずかながら解像感にも影響はあります。「強」にすると、さらに高感度ノイズは低減化されましたが、解像感の低下はやや目立つようになります。

 下記のサンプルは、高感度ノイズ低減を「弱」、「標準」、「強」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものとなっています。表示画像は等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。


Canon_ANEX-7
サンプル画像。左下の赤枠の部分を切り出してあります。
切出画像は等倍画像です。クリックすると元画像が開きます。

ISO80
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO100
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO200
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO400
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO800
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO1600
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO3200
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO6400
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon

ISO12800
(「弱」「標準」「強」)

キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon キヤノン   PowerShotS120 Canon


 描写力チェック2:歪曲収差

 キヤノン PowerShotS120は、35mm換算で24-120mm、光学5倍ズームレンズを搭載しています。PowerShotS110と比較するとわずかながらレンズが明るくなっています。レンズ構成はほぼ同じと思われますが、周辺部の歪曲収差はわずかながらS110よりも強めに出ているように感じました。

 PowerShot S120にはカメラ内の設定で「ゆがみ補正」等の項目はありませんので、必要であれば撮影後にソフトウェアで補正をかけることになります。

 下記のサンプルは、広角端24mm相当、35mm相当、85mm相当、望遠端120mm相当で撮影したものです。いずれも絞り開放となっていますが、コンパクトな5倍ズームレンズ搭載機としては、歪曲収差、周辺光量不足とも良好に補正されています。

 歪曲収差に関しては、広角端ではわずかに樽型収差を確認することができますが、24mm相当の画角を考えると気にならないレベルであると思います。その後、望遠側に移るにつれ補正がされていき、望遠端でほぼ完全に樽型収差が補正されていました。

5.2mmF1.8(24mm相当)
キヤノン   PowerShotS120 Canon

7.5mmF2.8(35mm相当)
キヤノン   PowerShotS120 Canon

18.3mmF4.5(85mm相当)
キヤノン   PowerShotS120 Canon

26.0mmF5.7(120mm相当)
キヤノン   PowerShotS120 Canon


 描写力チェック3:解像力

 レンズ固定式のカメラでの解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されます。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いましたが、結果は、コンパクトカメラとしては高い解像力を示しています。

 まず画像中心部に関してですが、24mm相当の広角端では、開放ではやや柔らかさが残っているものの2段程度絞ると解像感が向上します。わずかにモアレの影響が出ていましたが、概ね2300本あたりまでラインを視認することができました。望遠側に移るにつれ、わずかに解像感の低下が認められましたが、望遠端でも2100本のラインを確認することができました。

 画像周辺部については、広角端絞り開放では柔らかい描写であるもの、やはり2段程度絞るとかなり鮮明な画像となります。望遠端に移るにつれ、絞り開放での画像がしっかりとしてきますが、やはり1段程度絞るとさらに良いと思います。

 レンズが明るくなった分、絞り開放での鮮明度はPowerShotS110の方が高かったように感じますが、S120も絞ることで解像感は上がりますので、撮影シーンに応じて積極的に絞りを変えると良いかもしれません。

 下記の切り出し画像は概ね1/2に縮小してあります。実際のチャートは画像をクリックすると表示されるので、ぜひ直接確認していただければと思います。


ISO12233準拠チャート。中央と左上の赤枠の部分を切り出
してある。画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。

5.2mm F1.8 (35mm換算24mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon

5.2mm F2.5 (35mm換算24mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon

5.2mm F3.5 (35mm換算24mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon


7.5mm F2.8 (35mm換算35mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon

7.5mm F4.0 (35mm換算35mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon


18.3mm F4.5 (35mm換算85mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon

18.3mm F6.3 (35mm換算85mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon


26.0mm F5.7 (35mm換算120mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon

26.0mm F8.0 (35mm換算120mm相当)
キヤノン PowerShotS120 Canon キヤノン PowerShotS120 Canon


 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数

 キヤノンによると、 PowerShotS120の連写性能は次の通りです。
  • 連続撮影:約12.1コマ/秒(6枚目以降は約9.4コマ/秒)。
  • AF連続撮影:約5.5コマ/秒
 使用したメモリーカードは高速タイプのものです。
 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)

RAW+JPEG(Fine L) RAW JPEG(Fine L)
連続撮影  概ね0.6秒毎に1枚のペースでカード容量一杯まで連写。  概ね0.5秒毎に1枚のペースでカード容量一杯まで連写。  概ね0.1秒毎に1枚のペースでカード容量一杯まで連写。
AF連続撮影  概ね1秒毎に1枚のペースでカード容量一杯まで連写。  概ね0.9秒毎に1枚のペースでカード容量一杯まで連写。  概ね0.2秒毎に1枚のペースでカード容量一杯まで連写。
 ※上記のテスト結果は、撮影環境や被写体によっても左右されます。

 JPEGでの撮影時には、実質的に10コマ/秒でカード容量一杯まで撮影可能ですので、コンパクトカメラとしてはトップレベルの連写性能であると感じました。

 RAWやRAW+JPEGでの撮影時には、概ね2コマ/秒のペースに落ちますが、それでもそのままカード容量一杯まで撮影が可能でした。連写速度自体についてはもう少々という気もしますが、そのまま最後まで連写できるので使い勝手は良いと思います。

 なお、最初から最後までほぼ同じペースで撮影できましたので、どの時点でバッファーメモリーが一杯になったのかはわかりませんでしたが、これはある意味で理想の状態かもしれません。




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