年末恒例特別座談会
|
多くのデジカメ新製品が登場した2013年も、残すところ1カ月をきりました。昨年9月のフォトキナ開催にあわせて大型新製品が多数発表されたこともあり、今年の前半はややゆっくりとしたペースでした。初夏あたりからは新しいコンセプトの製品もリリースされるなど、結果的に注目すべき一年だったと思います。
|
§ monoxAwards2013とは? §《ひめ☆》 「それでは、本年が2回目となる『monoxAwards2013』の選定を行いたいと思います。最初に、表彰制度の趣旨と今回の概要について、リバティさんから発表をお願いします。」 《リバティ》 「この表彰制度は、デジカメ文化の根をより広く、そしてより深く伸ばしていくためには『一般的なユーザーの視点で製品を評価し、素晴らしいデジカメを勝手に表彰する』ことも役立つのではないか、という趣旨でつくったものです。 昨年の『monoxAwards2012』を踏まえ、本年は次のように実施したいと思います。」
《ひめ☆》 「内容についてはよろしいでしょうか。昨年はビール券の副賞がありましたが、今年はないのでしょうか?」 《リバティ》 「昨年は、各賞の副賞としてビール券をお付けしていましたが、受賞された会社の中には金券を受け取ることができないということで返送されたところもありました。逆に手間をかけてしまって申し訳なかったと反省しています。このあたりは、受賞される側の負担にならないものを今後も検討していきたいと思います。 それでは選定方法についてですが、基本的には昨年と同じような手順で進めたいと思います。 まずは、デジカメ大賞の選定をし、次に各部門大賞、特別製品賞の順で行い、最後にメーカー大賞を選定したいと思います。 メーカー大賞とデジカメ大賞については、会の代表であるmonoxさんから提案をいただき、それについて議論をして、基本的には全員一致方式で選びたいと思います。 各部門については、記入用紙を準備しましたので、各々で記載をしていただき、それを持ち寄って話し合いにより決めたいと思います。話し合いの上、基本的には多数決で決定したいと思いますが、本日集まっていただいた幹事は4名ですので、もし2:2に分かれてしまった場合には、代表であるmonoxさんの意見をもって最終決定にしたいと思います。 最後に、特別製品賞です。これについては自由に意見交換し、決めていきたいと思います。」 《ひめ☆》 「よろしいでしょうか。それでは、表彰内容と選定方法については、リバティさんの提案で行うことにします。なお、必要であれば来年以降、適宜改善していくということにしましょう。」 |
§ monoxAwards2013 デジカメ大賞は? §《ひめ☆》 「それでは、これからの進行はリバティさんにお願いします。」 《リバティ》 「はい。まずデジカメ大賞ですね。これは『2013年に発売されたデジカメ全体の中で、最も注目すべき機種』ということで選定します。まず、monoxさんから提案をお願いします。」 《monox》 「はい。デジカメ大賞は、後から振り返った時に『2013年には○○のようなデジカメが出たね』と言われるような、その年を代表することになるだろうデジカメに与えたいと思います。 で、具体的な製品ですが、昨年はソニーのサイバーショット DSC-RX1でわりとすんなり提案できたのですが、本年は昨年ほどずば抜けてこの機種、というのはありませんでした。逆に言えば、魅力的な機種が増えてきたということだと思います。 私が候補で挙げたのは、キヤノンのEOS KissX7、ソニーのα7とDSC-QX100、DSC-QX10のレンズカメラ、ニコンのDf、パナソニックのDMC-GMです。どの機種も、デジカメ大賞にふさわしい実力を備えたカメラであると思います。 この中でどれを選んだかということですが、その年を代表することになるだろうデジカメ、という観点で見ると、ニコンのDfが一番ふさわしいように思います。 評価したポイントは、ニコンのフラグシップ機と同じ描写性能を搭載しつつ、ダイヤルを中心とした操作も可能であり、一目でニコンの一眼レフカメラであることがわかるデザインとなっている点です。あらためて、カメラは写真を撮るための道具であることを再認識させてくれるデジタル一眼レフだと思います。」 《リバティ》 「monoxAwards2012 デジカメ大賞には、ニコンのDfという提案です。他の方の意見はどうでしょうか?」 《太郎》 「特徴があってユニークなカメラということでは、monoxさんが提案されたDfか、ソニーのレンズカメラかなと思っていました。レンズカメラでも良いとは思うけど、大賞として考えるとちょっとユニークすぎて使う人を選びすぎる気もする。」 《ひめ☆》 「そうですね。他のカメラもいいですが、2013年を代表して記憶に残るカメラということだとDfでいいかもしれませんね。」 《リバティ》 「よろしいでしょうか。私もDfであれば異存はありません。それでは『monoxAwards2013 デジカメ大賞』は、ニコンDfに決定しました。」 § monoxAwards2013 各部門大賞は? §《リバティ》 「次は、各部門大賞の選定に入ります。前回と同様に、この用紙に機種名を記入してください。各部門につき1機種だけでお願いします。」 (各自記入) 《リバティ》 「よろしいでしょうか。それでは用紙を回収します。 選定理由の説明は、ひめ☆、太郎、私リバティ、monoxの順で行いましょう。 じゃ、まずひめ☆からお願いします。」 《ひめ☆》
「デジタル一眼レフは、ペンタックスのK-3を選びました。小さくてかわいいボディの中に高いカメラと同じ性能が入っているのがペンタックスが好きな理由です。私の手は女性として平均的なサイズだと思いますが、カメラ屋さんで触った時も、違和感なく構えることができました。限定で出てきたシルバーモデルもいいと思います。もうちょと値段が下がったら、自分用に買いたいなぁと思ってます。 ミラーレスカメラは、パナソニックのDMC-GM1との間で迷いましたが、ソニーのα7シリーズにしました。デザインがカッコいいのと、イメージセンサーが大きいのがいいと思います。ボディのサイズも比較的コンパクトですし。DMC-GM1も本当にちいさくてかわいいんで迷いました。 高級コンパクトは、シグマのDP3Merrillです。私はDP2 Merrillを持っていて、もうちょっと望遠側のレンズが欲しかったのでこれにしました。シグマのビッチリとした写真はほかのカメラでは撮れません。望遠レンズのレンズ固定式カメラは、他のメーカーからも二度と出てこないでしょうし。 ネオ一眼はオリンパスのSTYLUS1です。スイッチをオフにすると、レンズが本体の中に入って薄くなるのがいいと思いました。形もクラシックなデザインで好きです。他のネオ一眼と比べると、ズームが弱いかもしれませんが、ここまで(300mm相当)あれば十分だと思います。」 《リバティ》 「次に太郎さん、お願いします。」 《太郎》
「まずデジタル一眼レフだけど、キヤノンのEOS KissX7にしました。もともとキヤノンらしいカメラだと思ってたし、この前ホワイトが発売されたのが僕にとっては決定的でした。デジタル一眼でもここまで小さくなるんだ、ということを証明した意味でも大賞にふさわしいと思います。カメラとしての性能も、十分ですし。 次のミラーレスは、パナソニックのDMC-GMですね。理由はKissX7と同じで、コンパクトなボディが気に入りました。セットになっているレンズだと、コンパクトなみのサイズですね。写りもいいようだし、マイクロフォーサーズの中でも結構売れてるんじゃないかな。 高級コンパクトはちょっと迷いました。APSサイズのセンサーに単焦点という組み合わせのカメラも増えてきましたが、やっぱりリコーのGRはフィルム時代からの蓄積があるせいか、半歩進んでいるというかこなれている気がします。悩んだのは、パナのDMC-LF1とです。もうちょっとファインダーが良かったら、こっちにしたかもしれません。コンパクトなのにファインダーが付いてるのは、カメラらしくていいです。 ネオ一眼はオリンパスのSTYLUS1です。ネオ一眼はレンズの大きさが気になってましたが、このカメラは持ち運び状態では薄くなるのがいいですね。ひめ☆も言ってたけど、望遠側もこのくらいあれば十分だと思います。」 《リバティ》 「ありがとう。それでは私の選択結果です。」
「最初はデジタル一眼レフですが、今まで出てきませんでしたがキヤノンEOS70Dを選びました。キヤノンのミドルクラスとしては3年ぶりの新製品で、描写性能と機能のすべての点でかなり強化されています。このクラスの製品はそれほど多くありませんが、とくにライブビュー時のオートフォーカス性能が向上している点を評価しました。 ミラーレスカメラはオリンパスのOM-D E-M1です。オリンパスのデジタル一眼レフも統合したフラグシップ・モデルであり、カメラとしての魅力に溢れていると思います。バッテリーホルダーなどのアクセサリー類がたくさん用意されている点も評価したいです。 高級コンパクトは、ソニーDSC-RX100M2です。昨年の「高級コンパクト大賞」はDSC-RX100でしたのでちょっと迷いましたが、手ごろなズームレンズと、一般的なコンパクトカメラとは明らかに違う描写力、そしてポケットに入るサイズという条件が揃っているのは、いまだRX100とRX100M2だけだと思います。他社からもこのクラスでの製品投入を期待する意味でも、RX100M2を選択しました。 最後のネオ一眼は、パナソニックLUMIX DMC-FZ70です。ポイントは、20mmから1200mm相当までの光学60倍ズームを搭載した点です。確かに、こんな望遠をどんなシーンで使うんだよ、という意見もわかりますが、やはりネオ一眼の売りは広いズーム域だと思いますし、その点ではネオ一眼としての突き詰めた姿をしているのではないでしょうか。 それでは、最後にmonoxさんもお願いします。」 《monox》
「はい。デジタル一眼レフは、キヤノンのEOS70DとEOS KissX7とで迷いましたが、最終的にKissX7を選びました。EOS Kissはフィルム時代に新しい一眼レフのスタイルを生み出したシリーズですが、今年登場したX7はまさにKissシリーズの遺伝子をそのまま受け継いだカメラであると感じました。カメラとしての基本性能も決して手抜きがされていないのも、キヤノンらしいと思います。太郎も言っていましたが、キヤノン初のホワイトモデルがKissX7で採用されたのは、それなりの意味があるのだと思いますね。 ミラーレスカメラは、大賞の時にもお話ししました通り、パナソニックのDMC-GMとソニーα7とで迷いました。ソニーα7を選んだのは、フルサイズのセンサーを採用した初のミラーレスであるということと、オリンパスとは違ったアプローチでデジタル一眼レフとミラーレスの統合を視野に入れたカメラだからです。ミノルタ時代から、「7」の型番が付いたカメラは新しい時代を担うカメラとして特別の位置を占めていました。α7は、そうしたソニーの思いが込められたカメラであると思います。 高級コンパクトでは、私もソニーDSC-RX100M2を選びました。このカメラは、高級コンパクトとしての本流に位置していると思います。M2にバージョンアップする中で、同じデザインを踏襲しつつ、気になっていた点すべてに対応した点も評価しました。ソニーが高級コンパクトに軸足を移すきっかけとなったカメラであり、こうしたカメラが他社からも出てくると良いと思います。 ネオ一眼は、これまで選ばれていませんが、ソニーのDSC-RX10にしました。24-200mm相当ということで、確かにネオ一眼としては弱い気もしますが、しかし1型という大型センサーと、広角端から望遠端までF2.8通しの大口径レンズを搭載しているのは、他にはない魅力だと思います。このカメラであれば、ちょっとしたデジタル一眼レフの代わりが務まりますので、これも一つの姿だと考えました。以上です。」 《リバティ》 「ありがとうございました。 それでは、みなさんの集計をしますと、このようになります。」
《リバティ》 「今回は全体に選択がわかれましたね。順番に見ていきたいと思います。 まず、デジタル一眼レフですが、キヤノンEOS KissX7が2票で、ペンタックスK-3とキヤノンEOS70Dが1票づつとなります。既定では2票取ったキヤノンEOS KissX7となりますが、よろしいでしょうか? よろしいようですので、今年のデジタル一眼レフ大賞はキヤノンEOS KissX7とします。」 《リバティ》 「次にミラーレスカメラです。こちらは、ソニーα7、α7Rが2票、パナソニック DMC-GMとオリンパス OM-D E-M1が1票づつでした。原則として機種は1種類となりますので、もし ひめ☆ がα7でよろしければ、こちらとなりますが、どうでしょうか。」 《ひめ☆》 「α7で結構です。」 《リバティ》 「よろしいですかね。それでは今年のミラーレスカメラ大賞はソニーα7とします。」 《リバティ》 「次に高級コンパクト部門です。ソニー DSC-RX100M2が2票、リコー GRとシグマ DP3 Merrillが1票づつとなりますので、規定によるとソニーのDSC-RX100M2となります。RX100シリーズは昨年に引き続いての連続受賞となりますがどうでしょうか。」 《ひめ☆》 「皆さんの意見がまとまるのであれば、私も結構です。」 《リバティ》 「ありがとうございます。それでは、高級コンパクトカメラ大賞はソニー サイバーショット DSC-RX100M2で決定します。」 《リバティ》 「最後はネオ一眼となります。ここも票がわかれましたね。オリンパスのSTYLUS1が2票、ソニー DSC-RX10とパナソニックDMC-FZ70が1票づつとなりました。2票取ったSTYLUS1となりますが、monoxさんはDSC-RX10でしたね。よろしいでしょうか。」 《monox》 「もちろん結構です。確かにSTYLUS1も新しいネオ一眼のあり方を予感させてくれる素晴らしいカメラだと思います。DSC-RX10は、後ほど特別賞の方で推薦させていただきます。」 § monoxAwards2012 特別製品賞は? §《リバティ》「それでは、次に特別製品賞の選定に移ります。こちらは、今までノミネートものの、選に漏れてしまった製品を中心にあげていただければと思います。 それではひめ☆から、順にお願いします。」 《ひめ☆》 「私は、部門大賞であげたペンタックスのK-3と、シグマのDP3 merrillの2機種を推薦します。」 《太郎》 「僕は、部門大賞で漏れてしまったパナソニック LUMIX DMC-GM1ですね。リコーのGRもあげたいのですが、同じリコーのTHETAの方が特別製品賞にはふさわしい気がするので、こちらを提案します。」 《リバティ》 「私の分では、選考漏れでは3機種あるけど、その中で1つを選ぶとするとオリンパス OM-D E-M1になります。デジタル一眼レフも統合した機種として、記憶にとどめるべき機種だと思います。まだ発売されたばかりですけど。 最後にmonoxさんはどうですか?」 《monox》 「今回、ネオ一眼部門で選に漏れてしまったソニーのDSC-RX10を、まず提案します。文字通り、レンズ交換式カメラの代わりが務まるカメラであり、それらに匹敵する高い描写性能がポイントです。」 《リバティ》 「今まで上がった機種を整理すると、デジタル一眼レフでペンタックスK-3、ミラーレスではパナソニックDMC-GMとオリンパス OM-D E-M1、高級コンパクトではシグマDP3 Merrill、ネオ一眼ではソニー DSC-RX10、それ以外でリコーTHETAが提案されました。あわせて6機種となります。これらは特別製品賞で良いと思いますが、これ以外にはどうでしょうか。」 《monox》 「ちょっと数が多くなってしまうかもしれませんが、よろしいでしょうか。 まず、ミラーレスカメラでは富士フイルムのX-E2とニコンのAW1を提案します。富士フイルムについては、実はX-E2を含め3機種もリリースされています。他と比べると目立つ部分は少ないので候補には上がりませんでしたが、カメラとしての実力はいずれも高いレベルに保たれています。その中でもX-E2は電子ビューファインダーを内蔵した主力機であり、少なくとも特別製品賞では表彰すべきであると思います。ニコンのAW1については、世界初のレンズ交換式全天候カメラであり、カメラ自体の魅力から言えばデジカメ大賞になるだけの力を備えています。 高級コンパクトでは、カシオのEXILIM EX-10です。単にカシオ初の高級コンパクトということではなく、ハイスピードというカシオらしい味付けをした高級コンパクトであり、この分野の新しい可能性を開くカメラだと思います。 また、ソニーのDSC-QX100とDSC-QX10のレンズカメラ2機種は、デジカメ大賞の候補でも考えた機種ですので、やはり特別製品賞にふさわしいと思います。 最後にキヤノンのPowerShotNです。ハード、ソフトの両面で新しい取り組みがされており、やはりデジカメの新しいあり方につながる芽を持っていると感じました。」 《リバティ》 「どうでしょうか。あわせると11機種でちょっと多い気もしますが、個別にみると納得感はあるように思います。 とくに異議はなさそうですので、この11機種をmonoxAwards2013の特別製品賞と決定します。」 § monoxAwards2012 メーカー大賞は? §《リバティ》「それでは最後に、メーカー大賞の選定に移ります。まずはmonoxさん、提案をお願いします。」 《monox》 「デジカメ業界は厳しい風が吹いていますが、そうであるにもかかわらず各社とも意欲的な新製品を多数リリースしたと思います。昨年はソニー1社が大きく差をつけた印象がありましたが、今年は僅差であると思いました。 その上での提案ですが、本年のメーカー大賞はパナソニックではどうでしょうか。今までの各賞では、パナソニックは特別製品賞でDMC-GMが受賞しただけですが、魅力的な機種としてはDMC-GX7やDMC-LF1、そしてDMC-FZ70など、いずれもチャレンジングな要素を持った製品を多数リリースしています。もちろん、ソニーをはじめ他のメーカーもチャレンジングな面は小さくありませんが、今年の製品ということではパナソニックが半歩先んじていたように思います。メーカー大賞は『デジカメ発展のために最も元気だったと思われるメーカー』となりますので、以上の理由から2013年はパナソニックが最適ではないかと思います。以上です。」 《リバティ》 「パナソニックということで提案がありました。みなさん、いかがでしょうか?」 《ひめ☆》 「私は、今年もソニーかなと思っていましたが、チャレンジングな製品ということでは確かにパナソニックもいいかもしれませんね。」 《太郎》 「僕もパナソニックであればOKです。」 《リバティ》 「よろしいでしょうか。それでは2013年のメーカー大賞はパナソニックということで決定いたします。」 《リバティ》 「以上でmonoxAwards2013の選定を終了いたします。予定時間を少々超えてしまいましたが、本年もスムーズな議事進行にご協力ありがとうございました。 それでは、ひめ☆にバトンを戻します。」 《ひめ☆》 「ありがとうございます。 午前中から初めて4時間にわたった特別座談会も、テーマとすべき議題はすべて終わりました。私にとっては、座談会というよりは勉強の場となってしまいましたが、来年こそはもっと議論に参加できるよう、一生懸命がんばります。 本日はみなさん、ありがとうございました。それではごきげんよう!」
『前編(デジカメはどう進化したか?)』、『中編(各社の特徴と注目機種は?)』もあわせてご覧ください。 ( 編集: Inaba Kunio) |