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トップページ > デジカメの選び方 >【特別座談会】2013年、デジカメはどう進化したか?(中編)

年末恒例特別座談会
2013年、デジカメはどう進化したか?(中編)

Coffee Shop in KANAGAWA


〈はじめに〉



 多くのデジカメ新製品が登場した2013年も、残すところ1カ月をきりました。昨年9月のフォトキナ開催にあわせて大型新製品が多数発表されたこともあり、今年の前半はややゆっくりとしたペースでした。初夏あたりからは新しいコンセプトの製品もリリースされるなど、結果的に注目すべき一年だったと思います。
 今年1年間に当サイトでレビューした機種も、現時点でデジタル一眼レフ7機種、ミラーレスカメラ13機種、コンパクトカメラ14機種の計34機種に上りました。
 昨年に引き続き座談会を開催し、今年1年のデジカメ動向を振り返るとともに、第2回となる「monoxAwards2013」の選定も行いました。
 前回掲載した『前編』では、この1年間を振り返って、デジタルカメラがどのように変わり進化したのかについて議論した内容を掲載しました。
 今回の『中編』では、メーカーごとの特徴と、本年に発売開始されたデジタルカメラの中で注目すべき機種について議論をしています。また、次回掲載する『後編』では、今年1年間で発売開始されたデジタルカメラの中で評価すべき製品の選定も行い

  • 日 時:2013年12月8日(日)午前10時〜午後2時
  • 場 所:神奈川県内のコーヒーショップ
  • 参加者:monox、太郎、ひめ☆(司会)、リバティ(記録)



§ 各メーカーの特徴は? §


《ひめ☆》
「それでは、次に移りたいと思います。各メーカーごとに、今年の新製品の特徴について議論を進めてくださいますか?」

《太郎》
「昨年は、ソニー、ニコン、キャノン、オリンパス、パナソニック、富士フイルム、ペンタックス、シグマ、カシオ、リコーの順でしたね。」

《リバティ》
「そうですね、昨年と同じ順で見ていきましょうか。ペンタックスはリコーのブランドとして定着してきたので、一緒で良いと思います。」

《ひめ☆》
「それでは、ソニーからお願いします。」

SONY LOGO

 ソニー:新しいエリアに切り込む新製品をリリース

《リバティ》
「今年出たソニーの新製品は、デジタル一眼レフ(※注 参照)でα58の1機種、ミラーレスカメラは、αNEX-3N(製品レビュー)αNEX-5Tα7(製品レビュー)α7Rの4機種、高級コンパクトではDSC-RX1RDSC-RX100M2(製品レビュー)DSC-QX100(製品レビュー)、ネオ一眼でもあるDSC-RX10、ネオ一眼としてはそれに加えてDSC-HX300がリリースされています。レンズ交換式カメラで5機種、コンパクトカメラ全体では13機種ですので、昨年と比べると台数自体はやや少なくなりました。(※昨年はレンズ交換式カメラで8機種、コンパクトカメラで14機種。)」

※注 ソニーのトランスルーセントテクノロジー機は厳密にはデジタル一眼レフではありませんが、類似点が多いためこのように表現しています。

《monox》
「昨年のソニーは、レンズ交換式カメラを8機種リリースするとともに、1型センサーのDSC-RX100(製品レビュー)DSC-RX1(製品レビュー)を登場させるなど、力の入った製品展開を行いました。今年は、台数こそ昨年よりも絞られていますが、AマウントとEマウントの統合の可能性を予感させるα7/α7Rや、レンズ型カメラDSC-QX10(製品レビュー)、1型センサーと26-220mm相当F2.8のレンズを搭載したDSC-RX10など、昨年とは違った観点で注目すべき機種が多かったように思います。」

《太郎》
「今年のソニーの特長はどんな感じでですか?」

《monox》
「昨年に引き続き、デジカメ分野に集中的に経営資源を投入していることは実感します。その上で特長を言うと、分野の間を埋めるというか、つながりの部分を重視した製品が多かったように思います。

 たとえば、α7はEマウントレンズ用のカメラボディとして販売されていますが、実はマウントアダプターを使うことで、Aマウントボディと同じように活用することができます。ボディ内に手ぶれ補正機能がないなど異なる部分はありますが、今までのNEXシリーズとは立ち位置が大きく変わったことを感じます。

 レンズ型カメラであるDSC-QX100やDSC-QX10は単体でも撮影は可能ですが、基本的にはスマートフォンとの連携を前提に設計されています。また、高級コンパクトの中でもトップレベルの描写性能を明るいレンズとともに搭載したDSC-RX10は、富士フイルムがX-S1(製品レビュー)で拓いた市場を、さらに突き進む突破力を持ったデジカメだと思います。

 このように、今までのデジカメのジャンル分けを超えるような、境界際を埋めて発展させるような製品が目立っていたと言えます。」

《リバティ》
「レンズカメラが正式発表された時には、本当に出てくるのか、と驚きました。」

SONY サイバーショット DSC-QX100
DSC-QX100
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《monox》
「噂はかなり以前からありましたが、それを実際に開発・販売するにあたっては、ソニーとしてもかなり思い切った決断だったのではないでしょうか。こうした製品をリリースするところに、ソニーらしさを感じます。スマートフォンのカメラ性能も、日常的な記録用途であれば十分といえるレベルになっていますが、それでもズームを活用したりといった『ちょっとこだわった撮影』をするのであれば、まだまだデジカメとの差は小さくありません。スマートフォンを持っていることを前提に、カメラとしての最小限の機能に絞り込んだレンズ型カメラのスタイルは、「物」としての魅力も持っています。Wi-Fiで接続していることでのレスポンス性や動画撮影に制限がある(※)など、今後の一層の進化が期待されます。」

※12月19日のファームウェアアップデートにより、フルHDに対応しました。

《リバティ》
「α7もインパクトがありました。海外でリリースされたα3000がなかなか国内で販売されないな、と思っていたら、一気にフルサイズ機が登場したわけですから。」

《monox》
「そうですね。このあと議論しますが、α7/α7RはmonoxAwardsのデジカメ大賞でもノミネートされる実力を持ったカメラだと思います。ミラーレスカメラとして初のフルサイズイメージセンサーを搭載した機種であるとともに、イメージセンサーとアクセサリーシュー、電子ビューファインダー、三脚用穴がすべてレンズ光軸上に置かれていますので、今まで一眼レフカメラを相性されていた方にとっては一番自然に撮影できるデザインとなっています。こうした製品は今までのNEXにはありませんでしたので、Aマウント用レンズアダプターと合わせて、いよいよAマウントαからの移行のハードルも低くなったのではないでしょうか。
 実際にレビューで使ってみて、フルサイズのレンズ交換式カメラとして強い魅力を感じました。価格的にもかなり踏み込んだ設定になっていることもポイントですね。まだ発売開始から1カ月たっていませんが、α7の標準ズームレンズの・キットは15万円強で購入できるのは、破格かもしれません。」

《リバティ》
「高級コンパクトのDSC-RX1Rは、昨年登場したDSC-RX1のイメージセンサーからローパスフィルターを外したバリエーションモデルでしたが、DSC-RX100M2はレンズはDSC-RX100と同じものの、イメージセンサーが裏面照射型に変わり、液晶モニターがチルト稼働し、電子ビューファインダーにも対応するなど、フルモデルチェンジと言ってもよいほど変わっています。」

《monox》
「DSC-RX100は、昨年のmonoxAwards2012で『高級コンパクト大賞』を受賞しました。どういう形で後継機が出てくるのかを興味深く見ていましたが、DSC-RX100M2は正常進化した熟成モデルとして登場しました。描写性能を重視して小型タイプの高級コンパクトを選ぶとしたら、現時点でもDSC-RX100やDSC-RX100M2は最有力候補の一つであると思います。

SONY サイバーショット DSC-RX100M2
DSC-RX100M2
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 まだレビューできていませんが、ネオ一眼に高級コンパクトの描写性能を持たせたDSC-RX10も注目機ですね。RX1がフルサイズのイメージセンサーで、RX100が1型センサーでしたから、RX10はAPS-Cサイズのカメラだろうという噂もありましたが、実際にふたをあけてみると予想していなかった製品として登場しました。
 描写性能を重視したネオ一眼としては、先ほど紹介した富士フイルムのX-S1があります。X-S1は2/3型イメージセンサーに24-624mm相当F2.8-5.6の光学26倍ズームレンズを搭載していましたので、ズーム倍率を重視した方向の製品であるのに対し、DSC-RX10は24-200mm相当に抑えられているものの、F2.8通しズームと1型イメージセンサーということで、描写性能に軸足を置いた製品となっています。ボディサイズも、DSC-RX10の方が一回りコンパクトになっていますね。」

《ひめ☆》
「それでは、次はニコンについてお願いします。」

Nikon LOGO

 ニコン:引き続き多くの製品をリリース

《リバティ》
「まずニコンの新製品ですね。デジタル一眼レフはD7100(製品レビュー)D610D5300(製品レビュー)、それにDf(製品レビュー)の4機種、ミラーレスカメラでは、J3(製品レビュー)S1AW1(製品レビュー)の3機種、高級コンパクトではCOOLPIX A(製品レビュー)COOLPIX P330(製品レビュー)COOLPIX P7800(製品レビュー)の3機種、ネオ一眼ではCOOLPIX P520がリリースされました。レンズ交換式カメラで7機種、コンパクトカメラ全体では15機種です。昨年は、7機種と14機種でしたので、ほぼ同等レベルですね。」

《monox》
「ニコンも、昨年同様に新製品が多い年でした。デジタル一眼レフでは、2年半ぶりにAPS-Cサイズの上級機、D7100が登場しましたし、先日登場したDfはフルサイズの新しい製品として生産が追い付かないほどの人気商品となっています。また、ミラーレスカメラとしても、レンズ交換式で初となる本格的なタフネス機、AW1がリリースされました。
 高級コンパクトでも、APS-Cサイズのセンサーを搭載したCOOLPIX A、イメージセンサーを一回り大型化したCOOLPIX P330、電子ビューファインダーを内蔵したCOOPIX P7800など、いずれも魅力的な製品です。
 これらの機種の中で、一番の注目機種は、やはりデジタル一眼レフのDfになると思います。ニコンのインタビュー記事では、構想ができてから製品販売まで4年間もの時間をかけているとのことで、その途中では企画自体を方向転換する議論もあったようです。富士フイルムのX100の成功が、Df誕生を大きく後押ししたということですが、いずれにしてもこうした製品はデジカメの幅を拡げることにつながります。」

《リバティ》
「そういえば、ミラーレスカメラについては製品投入のペースを落とすといった発表がありましたね。」

《monox》
「8月にあった四半期決算発表会の場です。monoxブログでも記載しましたが、ミラーレスカメラの商品計画を絞り、その分デジタル一眼レフのエントリークラスの投入を加速するといった内容でした。できればV2(製品レビュー)の後継機や上位機に期待したいところですが、確かにJ1(製品レビュー)J2、J3、S1と、比較的似たコンセプトに見える製品の種類が多い気もします。
 また、AW1も注目機です。水陸両用の本格的タフネス機として、現時点では唯一無二の製品です。フィルムカメラ時代のニコノスと同じポジションを占めることができるかもしれません。水中用レンズは11-27.5mmのズームレンズ(製品レビュー)と10mmの広角レンズのみですので、もう少々広角側のレンズもあると良いと思います。

Nikon 1 AW1
Nikon 1 AW1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 高級コンパクトではCOOLPIX Aも、今までのニコンにはない製品です。残念ながらリコーのGRと製品リリース時期が近かったこともあり、当初期待していたよりはやや苦戦となったようですが、デジタル一眼レフのサブカメラとしても魅力的なカメラだと思います。」

《ひめ☆》
「ニコンについては、よろしいでしょうか。それでは次にキヤノンをお願いします。」

Canon LOGO

 キヤノン:製品ラインアップの強化とコンセプトモデルのリリース

《リバティ》
「今年発売となったキヤノンの新製品は、デジタル一眼レフはEOS KissX7iEOS KissX7(製品レビュー)EOS70D(製品レビュー)の3機種、ミラーレスカメラでは、今月発売予定のEOS M2、高級コンパクトではPowerShotG16PowerShotS120(製品レビュー)PowerShotS200、ネオ一眼の新製品はありませんでした。レンズ交換式カメラで4機種、コンパクトカメラ全体では15機種です。昨年は、5機種と18機種でしたので、ちょっと減ったようです。」

《太郎》
「高級コンパクトではないけど、PowerShotN(製品レビュー)も今年の製品だったよね。」

《monox》
「キヤノンの今年の注目機種ということでは、今上がったPowerShotNと、コンパクトなデジタル一眼レフEOS KissX7が上がりますね。
 PowerShotNはオンラインでの販売のみとなっていますが、正方形の独特な形だけでなく、6種類の画像を記録するクリエイティブショットの搭載など、ハード、ソフトの両面で面白いカメラだと感じました。キヤノンのインタビュー記事でも、『きれいに撮るデジカメ』ではなく『「いいね」を押してもらえるデジカメ』を目指したことが述べられています。写真を撮る目的はいろいろであることを再認識させてくれるカメラだと思います。

Canon PowerShotN
PowerShotN
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 EOS KissX7は、世界最小のデジタル一眼レフですが、描写性能や機能などはきちんと目配りがされています。先日は新たにホワイトボディもリリースされましたが、キヤノンのデジタル一眼レフでホワイトカラーを採用したのは、これが初めてとなります。
 EOS70Dも、EOS60Dから大幅にブラッシュアップされており、今まで気になっていた点に丁寧に対応されていることに感心しました。キヤノンの経験や実績の蓄積というか層の厚さを感じます。」

《リバティ》
「キヤノンからは2台目となるミラーレスカメラも登場しますね。」

《monox》
「EOS M2は、今月中旬に発売予定となっています。描写性能がEOS KissX7相当に進化するとともに、オートフォーカス性能が大幅に強化されるようです。EOS M(製品レビュー)のオートフォーカスはファームウェアのアップデートで高速化されましたが、EOS M2ではさらに最大で2.3倍の高速化が実現されたとのことで、実機でのテストが楽しみですね。」

《太郎》
「高級コンパクトはどうですか。」

《monox》
「キヤノンのPowerShotSシリーズは、小型サイズの高級コンパクトの原型となった機種です。初代のS90からかなり高い完成度でしたが、今回PowerShotS120は5代目ということで、ほぼ完成形に近づいたと言えるように思います。S120では画像処理エンジンが進化するとともに、レンズも明るくなっています。これからも毎年ブラッシュアップを続けていくことで、ロングセラーになる実力を持ったカメラではないでしょうか。」

Canon PowerShotS120
PowerShotS120
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《ひめ☆》
「キャノンについてはよろしいですか。それでは次はオリンパスをお願いします。」

OLYMPUS LOGO

 オリンパス:ミラーレスにデジタル一眼レフを統合

《リバティ》
オリンパスの新製品は、ミラーレスカメラでPEN Lite E-PL6PEN E-P5(製品レビュー)OM-D E-M1(製品レビュー)の3機種、高級コンパクトとネオ一眼を兼ねたSTYLUS1、タフネス・フラグシップのTG-2が出ていますね。レンズ交換式カメラで3機種、コンパクトカメラ全体では11機種となります。昨年は3機種、12機種でしたので、ほぼ昨年と同レベルです。」

《monox》
「オリンパスの注目機種は、まずはOM-D E-M1ですね。いままでオリンパスは、フォーサーズ規格のデジタル一眼レフも継続していくという立場でしたが、E-M1では正式に両規格の統合モデルとして位置付けられました。これは、ここ数年の市場動向をみれば当然かもしれません。また、イメージセンサーは1/1.7型ですが、ソニーのDSC-RX10と同様にF2.8通しズームを搭載したSTYLUS1も面白いと思います。こちらは、28-300mm相当の高倍率ズームレンズですし、OM-D E-M5(製品レビュー)に似たデザインもポイントになってきます。」

《リバティ》
「OM-D E-M1は、E-M5からどう変わったのですか。」

《monox》
「全面的にブラッシュアップされていますが、とくに描写性能とオートフォーカス速度、ファインダーについても大型化・高精細化されました。ミラーレスカメラに対するデジタル一眼レフの主な優位点は、オートフォーカススピードとファインダーの見え方だと思いますが、その両方を強化しています。だからこそ、オリンパスとしてもE-5の後継機としても位置付けることができたのだと思います。
 シャッター速度も1/8000秒まで対応したように、カメラとしてのクラスも「上級機」から「フラグシップ機」にレベルアップしています。

OLYMPUS OM-D E-M1
OLYMPUS OM-D E-M1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 高級コンパクトとネオ一眼を兼ねたSTYLUS1は、オリンパスのコンパクトカメラの中ではフラグシップの位置づけとなっています。イメージセンサー自体はXZ-2(製品レビュー)と同等ですが、E-M5と同じ電子ビューファインダーを内蔵するとともに連写性能などの機能面でもクラスの違いを感じます。『この1台でほとんどのシーンに対応できる』カメラであり、ネオ一眼が目指している理想像に一歩近づいたように思います。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。次は、パナソニックについてお願いします。」

Panasonic LOGO

 パナソニック:コンスタントに新製品をリリースできる実力

《リバティ》
「まず、パナソニックの新製品は、ミラーレスカメラがDMC-GF6(製品レビュー)DMC-G6(製品レビュー)DMC-GX7(製品レビュー)DMC-GM(製品レビュー)の4機種、高級コンパクトはDMC-LF1(製品レビュー)、ネオ一眼はDMC-FZ70となります。レンズ交換式カメラ4機種、コンパクトカメラはトータルで12機種ですね。昨年は3機種と12機種でしたので、ミラーレスカメラが1機種多く出てきました。」

《monox》
「一昨年に、パナソニックからリリースされたミラーレスは3機種で、コンパクトカメラは11機種でしたので、コンスタントに新製品が登場しています。このあたりは良い意味での『家電メーカーらしさ』を感じます。
 DMC-G6とDMC-GF6も前機種からフルモデルチェンジされていますが、やはり注目機種ということではDMC-GX7とDMC-GMですね。GX7は、今までの電子ビューファインダー内蔵機からデザインが一新され、むしろDMC-GX1(製品レビュー)に電子ビューファインダーを内蔵させた形状となっています。ソニーのNEX-7(製品レビュー)NEX-6(製品レビュー)と同様に、ファインダー接眼部がボディの端に置かれています。そしてファインダー部もチルト可能である点や、パナソニックのレンズ交換式カメラでは初となる手ぶれ補正機能をボディ側に搭載しているなど、今までのパナソニック機から一歩飛躍したように思います。」

Panasonic LUMIX DMC-GX7
Panasonic LUMIX DMC-GX7
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《リバティ》
「もう一つのDMC-GMについてはどうでしょうか。」

《monox》
「やはり、世界最小のミラーレスカメラという点がポイントです。今まで最小だったペンタックスのナノ一眼Q7(製品レビュー)よりも小さいだけでなく、比較的小型な高級コンパクトカメラと比べても同等以下のサイズとなっています。この小ささは、実際に目にしないとなかなかわからないかもしれません。一緒に登場した薄型標準ズームとともに、魅力的なカメラとなっています。GX7は、ある程度カメラになじんだ方にアピールするのに対し、GMの魅力は誰にでもわかりやすいというのがポイントです。価格的にも、レンズキットで6万円台ですから、この点でも高級コンパクトと比べられるかもしれません。」

Panasonic LUMIX DMC-GM
Panasonic LUMIX DMC-GM
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《太郎》
「コンパクトカメラはどうですか?」

《monox》
「高級コンパクトのDMC-LF1は、久しぶりに登場した電子ビューファインダー内蔵のコンパクトカメラですね。イメージセンサーは一般的な高級コンパクトに搭載されている1/1.7型ですが、ボディは薄く小さいのも特徴だと思います。Wi-FiとNFCも内蔵していますので、機能面でも最新のものが実装されていますね。その後、ニコンからも電子ビューファインダー内蔵のCOOLPIX P7800(製品レビュー)がリリースされましたが、製品としての目指す方向は違いますので、各々が唯一無二の魅力を持っていると言えます。

Panasonic LUMIX DMC-LF1
Panasonic LUMIX DMC-LF1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

 それから、ネオ一眼のDMC-FZ70はDMC-FZ200(製品レビュー)の下位機種としてのポジションですが、20-1200mm相当の光学60倍ズームを搭載している点がポイントとなります。超広角から超望遠までを1台のカメラでカバーできるというのには、正直驚きを感じますね。少なくともフィルムカメラ時代には想像もできなかったことです。実用上のことを考えると、そろそろ焦点域の点では上りつめたような気がしますので、今後の発展がどういう方向で進んでいくのか楽しみですね。」

《ひめ☆》
「パナソニックは、そんなところでよろしいでしょうか。それでは富士フイルムをお願いします。」

FUJIFILM LOGO

 富士フイルム:ラインアップの完成と世代交代

《リバティ》
「最初に富士フイルムの新製品をまとめますと、ミラーレスカメラはX-M1(製品レビュー)X-E2(製品レビュー)X-A1の3機種、高級コンパクトではX20(製品レビュー)X100S(製品レビュー)XQ1の3機種、ネオ一眼はFinePixS8200FinePixSL1000FinePixHS50EXRの3機種がリリースされています。レンズ交換式カメラで3機種、コンパクトカメラ全体では15機種です。昨年は3機種と13機種でしたので、昨年よりも多くのデジカメがリリースされています。」

《太郎》
「富士フイルムは今年もネオ一眼を3機種も出していますね。」

《monox》
「今年は、比較的エントリークラスの層を厚くするとともに、中核機であるX-E1(製品レビュー)の後継機、X-E2をリリースしています。今までのXシリーズから、さらにターゲット層を拡げているのが特徴だと思います。レンズも絞りリングを省略したものや、コストパフォーマンスを重視したXCシリーズが多く出てきました。富士フイルムの場合、XCシリーズ・レンズでもしっかりとした描写性能を持っていますので、全体として中・上級ユーザーをメインターゲットにする姿勢は保たれていると言えます。」

《リバティ》
「X-M1を発売した後で、国内でもX-A1を登場させました。X-M1とX-A1の主な違いは、搭載しているイメージセンサーが富士フイルム独自のX-Trans CMOSセンサーではなく、一般的なCMOSセンサーとなっているだけですから、ちょっと重複感がありませんか。」

FUJIFILM X-E2
XE-2
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《monox》
「X-A1はとくにコストパフォーマンスを重視した製品で、X-M1との実売価格の差は1~1.5万円程度となっています。X-A1はもともとは価格面を重視する海外の市場を想定して開発された機種だと思いますが、国内でもニーズがあると考えラインアップに加えられたものと思います。確かに、先にX-A1が国内市場でリリースされていれば、もしかするとX-M1は登場しなかったかもしれません。
 いずれにしても、富士フイルムのミラーレスカメラの現行機は、X-Pro1(製品レビュー)を加え4機種となりましたから、他社と比較しても遜色ないレベルにキャッチアップしたと言えますね。」

《リバティ》
「コンパクトカメラではどうでしょうか。」

《monox》
「まず高級コンパクトについてみますと、昨年はXF1(製品レビュー)の1機種だけでしたが、今年はXF1を含めた3機種すべての後継機が登場しました。これで富士フイルムが考える高級コンパクトのラインアップは完成したということなのだと思います。APS-Cサイズのセンサーに単焦点レンズとハイブリッドビューファインダーを搭載したX100S、実像式光学ファインダーとズームレンズを搭載したX20、薄型コンパクトなXQ1という構成は、確かにバランスの良さを感じます。

 同様に、ネオ一眼の3機種についても、基本的にはブラッシュアップモデルとなりますが、イメージセンサーなど描写性能が向上していたり、レンズが強化されたり、機能アップされるなど、きちんと進化させられているのはさすがだと思います。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。それでは次にリコーとなりますが、リコーはペンタックスブランドとリコーブランドの2つのラインで展開していますので、まずはペンタックスブランドの方をお願いします。」

PENTAX LOGO

 ペンタックス:少数精鋭でペンタックスらしいカメラに集中

《リバティ》
「まず、ペンタックスの新製品ですが、デジタル一眼レフがK-50(製品レビュー)K-3(製品レビュー)の2機種、ミラーレスカメラはQ7(製品レビュー)、高級コンパクトではMX-1(製品レビュー)となります。レンズ交換式カメラで3機種、コンパクトカメラ全体では4機種です。昨年は、レンズ交換式カメラが4機種、コンパクトが5機種でしたので、数としてはちょっと減った感じです。」

《太郎》
「バリエーションモデルだけど、Q10のエヴァンゲリオンモデルも今年だったね。まだ、店頭でも時々見かけるよ。」

《monox》
「ペンタックスは1957年に現在の一眼レフの原型となったカメラを世界で初めてリリースした由緒ある会社です。2007年にHOYAの子会社を経て翌年統合され、2011年にはデジタルカメラなどの光学機械部門がリコーに譲渡されました。本年8月には最終的にリコーイメージングとして統合されるなど、この間資本政策の点でいろいろと動きがありました。ペンタックスのカメラがどうなるのか、少々不安を感じたこともありましたが、今年出た製品を見ると、これまでのペンタックスの遺伝子がきちんと引き継がれていることを実感しました。
 数こそ多くはありませんが、K-50とK-3の両方とも魅力的なカメラであると思います。K-50はK-30(製品レビュー)のデザインをはじめ熟成したモデルですし、K-3はコンパクトなフラグシップモデルとして、高い基本性能を持っています。とくにボディ側の手ぶれ補正機構を活用した「ローパスセレクター機能」には、ペンタックスらしさを感じますね。
 Q7にしても、期待していたイメージセンサーの大型化が実現され、高級コンパクトと互角以上に戦えるカメラに成長しました。とくに高性能なレンズにより、レンズ交換式カメラとしてしっかりとした描写性能を発揮しています。ボディサイズ自体はパナソニックのDMC-GM(製品レビュー)に一歩譲りましたが、レンズを含めたトータルシステムとしては、ナノ一眼の優位性は十分あります。」

PENTAX K-3
K-3
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《リバティ》
「コンパクトカメラではどうでしょうか。」

《monox》
「今年ペンタックスからリリースされたレンズ一体型デジカメは、高級コンパクトのMX-1の他には、タフネスモデルであるWG-3/WG-3 GPSWG-10の2モデル3機種があります。どちらも単なるコンパクトではなく、特徴をもったカメラですので、経営資源をこの分野に集中しているのだと思いますが、こうした姿は、これからの一つのあり方かもしれません。
 MX-1は、高級コンパクトとして基本的な実力を持たせつつ、真鍮製の外装がポイントです。デジタルカメラに『使い続ける愉しみ』を持たせたという点で、個人的には高く評価しています。今回、クラシカル・デザインを重視したニコンDf(製品レビュー)が登場しましたが、コスト面の理由で外装に真鍮を使うことは見送られています。そこには、私たちが思う以上に高いハードルがあり、それをペンタックスは超えたわけですからね。」

PENTAX MX-1
MX-1
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《ひめ☆》
「ありがとうございます。リコーブランドについてお願いします。」

RICOH LOGO

 リコー:待ちに待った本命の高級コンパクトと全天球カメラ

《リバティ》
リコーブランドでの新製品は、高級コンパクトのGR(製品レビュー)全天球カメラTHETAの2機種です。昨年は新型ボディはありませんでしたので、ちょっと安心しました。」

PENTAX GR
GR
(画像をクリックすると詳細レビュー記事に移ります。)

《monox》
「どちらもインパクトがあるカメラですね。GRは、今までのユーザーが期待していた『APS-Cサイズのセンサーを搭載したGRシリーズ』であり、実際に画面全体にわたる高い描写性能が印象的でした。ボディサイズも、ちょっと横幅が広がった程度に抑えられています。単焦点レンズに大型イメージセンサーを内蔵したカメラも徐々に増えてきましたので、選択の幅が広がってきているのはうれしいことだと思います。
 もう一つのTHETAは、一度のシャッターで360°の全周を記録できるカメラです。これはスナップ記録にも適していますが、使い方を工夫すると思いもよらない活用ができそうです。スマートフォンやパソコンで楽しむことがメインとなりますので、新しい映像の愉しみ方につながると思います。ネット上でも活用情報が出てきていますから、もし関心があれば一度実物を触られることをお勧めします。これをベースに、さらに今後の発展が楽しみなカメラだと思います。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。それでは次にシグマについてお願いします。」

SIGMA LOGO

 シグマ:解像感に優れたFoveonイメージセンサーを搭載

《リバティ》
「今年、シグマの新製品DP3 Merrillの1機種となります。このカメラは、昨年リリースされたDP2 Merrill(製品レビュー)DP1 Merrillと本体部分は共通ですが、搭載しているレンズは50mmF2.8で、35mm換算では75mmの中望遠の画角をカバーするものです。ポートレートだけでなく22.6cmまで寄れますので近接撮影にも適しています。もともと数が出る製品ではありませんが、こういう製品をリリースできるシグマという会社にも魅力を感じますね。」

《太郎》
「75mm相当のF2.8だと、使い手を選びますね。」

《monox》
「そうだと思います。3色の光量を直接取り込むことができるFoveonイメージセンサーを採用しているのもそうで、そこがシグマの狙いなのかもしれません。シグマは交換レンズメーカーとして有名ですが、保証期間終了後でもカメラとの相性が出た場合には無償で対応するというサービスを行っています。また、最近では、ユーザー側でレンズのファームウェアアップデートや合焦位置の調整を行えるUSBドックという製品も出しています。このあたりも、他社にない特長だと思います。」

《ひめ☆》
「ありがとうございます。予定時間を過ぎてしまっていますので、ちょっと駆け足ですみませんが、最後にカシオについてお願いします。」

CASIO LOGO

 カシオ:レンズ固定式カメラへのこだわり

《リバティ》
カシオの新製品はコンパクトカメラだけとなりますが、2012年には11機種がリリースされました。この中には、カシオ初の高級コンパクトEXILIM EX-10や、EX-TR15(製品レビュー)も含まれています。昨年は12機種が登場しましたので、新製品の数としてはほぼ昨年並みだと思います。」

《monox》
「カシオは、レンズ固定式カメラに集中することを宣言しているメーカーであり、今までのカメラメーカーにはない視点で取り組んでいる会社です。現在のデジタルカメラの原型は、他ならぬカシオのQV-10ですので、再び新しい波を起こしてくれるのではないか、という期待感があります。
 今回登場したEX-10は、ハードウェア的には他社製品に似ている部分も少なくありませんが、カシオが重視するハイスピードという味付けがしっかりと施されており、今までの高級コンパクトの一つの発展方向を示しているように思います。
 カシオが主戦場と定めているコンパクトカメラ市場は急速に厳しさが増していますが、こうした逆風の中から新しい製品が生み出されるのかもしれませんね。いずれにしても、カシオからは来年も目を離せないと思います。」


§ monoxデジカメ比較レビューへのアクセス状況は? §


《ひめ☆》
「司会の不手際で予定時間を過ぎてしまいすみません。それでは、これまでの評価を踏まえ、今年1年間で発売開始となったデジカメの評価に移りたいと思いますが、その前に『monoxデジカメ比較レビュー』のアクセス状況について、リバティさん、お願いします。」

《リバティ》
「はい。まだ12月が2/3以上残っていますので、12月7日までの集計結果ということで発表させていただきます。
 まず、メーカー別のページアクセス数です。これはどのメーカーの製品情報が一番アクセスされたかを集計したものですが、ページによっては複数のメーカーの記事を記載しているものもありますので、その場合は単純に按分して計算しました。
 その結果は、このグラフの通りです。昨年と同様に、ニコンが26.7%でトップとなっています。続いて、キヤノン、ソニーとなっており、このあたりは昨年とほぼ同様です。もちろん、徹底レビューで取り上げた製品数についても大きく違っていますし、登場時期によっては短い期間のアクセス数しかカウントされていませんので、あくまで全体の傾向をみる以上のものではありません。」

monoxメーカーシェア 2013

《リバティ》
「次に、デジカメの種類別のアクセス数です。今回は一番多かったのはミラーレスカメラの記事で、僅差で高級コンパクトとデジタル一眼レフが続いています。これについても取り上げた製品台数に違いがありますので、参考値としてみてください。」

monox種類シェア 2013

《monox》
「新製品の記事の閲覧が多いと思いますが、年が違っても概ね昨年と同じような傾向であったというのは興味深いですね。昨年、アクセスが多かった機種は、デジタル一眼レフではペンタックスK-30、ミラーレスではパナソニックのDMC-GX1、高級コンパクトではキヤノンPowerShotS100、ネオ一眼では富士フイルムのX-S1、その他コンパクトカメラではキヤノンIXY600Fでしたが、今年はどうでしたか?」

《リバティ》
「はい。今年も僅差でしたが、デジタル一眼レフではニコンD5200、ミラーレスもニコンのV2、高級コンパクトではソニーDSC-RX100、ネオ一眼ではパナソニックのDMC-FZ200、その他コンパクトカメラではキヤノンIXY1のアクセスが一番多かったです。」


次回掲載の『後編』では、今年1年間で発売開始されたデジタルカメラの中で評価すべき製品の選定を行っていますので、ご期待ください。


編集: Inaba Kunio)