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特集 オリンパス OM-D E-M1
オリンパス OM-D E-M1 ~フラグシップカメラ登場! |
オリンパス OM-D E-M1
by Inaba Kunio
オリンパスのフラグシップカメラ
評価:5.0
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1.オリンパス OM-D E-M1の位置づけと概要オリンパスのフラグシップカメラOM-D E-M1の発売が開始されました。E-M1はオリンパス・レンズ交換式カメラ全体の中でフラグシップカメラと位置づけられており、ミラーレスカメラに一元化することを表明した節目のカメラと言えます。同じフォーサーズ/マイクロフォーサーズ陣営であるパナソニックは、2007年10月のDMC-L10(ちなみに現在も現行機です)を最後にフォーサーズ規格のカメラをリリースしていませんので、これでフォーサーズ規格のデジタル一眼レフは事実上の終焉を迎えたことになります。→発売前の記事「オリンパスのフラグシップカメラ登場!」はこちら。
OM-D E-M1の魅力は?オリンパスはミラーレス方式でフラグシップ機を実現したわけですが、このことから多くのメリットが見えてきます。まず第1に、フラグシップ機としては極めて安価である、ということです。同じサイズのイメージセンサーを搭載したデジタル一眼レフのフラグシップ機、E-5の実売価格は、スタート時点で約20万円、最安値の時でも13万円を切ることはありませんでした。これに対し、E-M1はボディ単体では最初から12万円台で購入可能となっています。これだけの価格低下はミラーレス方式でなければ実現不可能であったと思います。
OM-D E-M1のイメージセンサー部。ミラーレス化により、構造が大幅に簡略化されています。 第3に、静止画と同じように動画撮影も可能であるということです。大型のイメージセンサーや明るいレンズに価値を見いだし、ミラーレスカメラやデジタル一眼レフを動作撮影に活用する方も増えてきました。ファインダーを覗いて動画も撮影できるという点はミラーレスカメラの特長の一つであり、フラグシップ機によるトップレベルの動画描写力を楽しむことができます。 それでは、オリンパスの新型フラグシップ機、OM-D E-M1の実力をテストしてみたいと思います。 ![]()
2.オリンパス OM-D E-M1を開封し外観をチェックオリンパス OM-D E-M1を開封するオリンパスのフラグシップカメラ、OM-D E-M1が発売されました。2012年3月に登場したミラーレスカメラOM-D E-M5(製品レビュー)と2010年10月登場のデジタル一眼レフE-5(製品記事)の両方の遺伝子を受け継いだ後継機という位置づけとなります。E-M1の登場で、実質的にフォーサーズ規格のデジタル一眼レフは終焉を迎えることになったことは残念ですが、市場の流れを見るとやむを得ないのかもしれません。OM-D E-M1の販売形態は、ボディ単体、12-50mmEZレンズ(製品レビュー)のレンズキット、新型12-40mmF2.8大口径ズームキットの3種類となります。なお、ボディ単体にはボディキャップレンズBCL-1580(製品レビュー)も付属します。 新製品12-40mmF2.8のレンズ評価も行いたかったのですが、12-40mmレンズキットの発売は10月19日からとなるため、今回はボディキットを購入しました。このレンズについては、別途評価したいと考えています。
OM-D E-M1のパッケージ。通常のホワイトパッケージではなく、黒を基調とした高級感のあるデザインとなっています。箱の側面には、付属するボディキャップBCL-1580とフラッシュFL-LM2も一緒に印刷されています。
ケースを開けると、保証書や取扱説明書が入ったケース(左側の正方形のものです)が顔を出します。
保証書等の入ったケースの下に、カメラ本体が格納されています。写真の黒い包みがボディ本体で、その上下と右側に付属品やボディキャップレンズ等が入っています。なお、カメラ本体には通常のボディキャップが装着されており、ボディキャップレンズBCL-1580は右側に別梱されていました。
パッケージ内に同梱されている付属品関係。左上より取扱説明書、PCソフトウェアCD-ROM、USBケーブルCB-USB6、リチウムイオン充電器BCN-1、リチウムイオン電池BLN-1、充電器用ACケーブル、ストラップ、フラッシュFL-LM2、フラッシュ用ポーチ。 オリンパス OM-D E-M1の本体をチェック
ボディ前面。フラグシップらしい大型のグリップが特徴的です。E-M5もデジタル一眼レフに準じたデザインでしたが、E-M1と比較するとシンプルな感じがします。
OM-D E-M5の前面。E-M1よりも一回り小さく、グリップ部の形状もシンプルになっています。
液晶モニター側。液晶モニターはE-M5と同じ3型ですが、有機ELの61万ドットから、液晶パネルの104万ドットへと高精細化されています。E-M5からはボタン類の配置も変更されました。
ボディ上面。モードダイヤルが右側に移され、AFやドライブモードボタンが新設されています。E-M5では液晶モニター側にあった電源スイッチもボディ上面に移設されました。シャッターボタンと同軸にフロントダイヤルが、モードダイヤルの右下にはリアダイヤルが置かれています。2つのダイヤル方式はE-M5を踏襲しています。
ボディ底面。三脚用の穴はレンズ光軸からわずかながらシフトしています。その左にあるのはパワーバッテリーホルダーHLD-7用の端子カバーです。ボディ底面の銘板には、E-M5と同様に「DESIGNED
BY OLYMPUS IN TOKYO, MADE IN CHINA」と記載されています。
ボディ左側面。こちら側には外部接続端子が置かれています。カバーは上下2つに分かれていますので、別々に開閉することもできます。
ボディ右側面。大型のグリップが目立ちます。こちら側にはメモリーカードスロットが置かれています。ストラップ取り付け部は三角環方式です。
ファインダー部にあるOLYMPUSのロゴ。刻印された中に白いインクが流し込まれています。E-M5の直線的なデザインと比較すると、少々やわらかくなった気がします。
ボディ右肩にあるOM-Dのロゴ。OLYMPUSと同様に、刻印されています。このあたりもE-M5と同じです。ロゴの左側に見えるランプは、セルフタイマーとAFイルミネーターを兼ねています。
ボディ左側には外部フラッシュ端子が置かれています。デジタルカメラでシンクロターミナルがある機種はごく一部に限られています。
E-M1のマウント部。11点の電子接点が置かれています。右側に見えるレンズ取り外しボタンは、E-M5では丸形でした。
大型のグリップ部。手に持った感じは極めて良好でした。マウントの左側に見えるボタンは、上がワンタッチホワイトボタン、下がプレビューボタンです。
シャッターボタンの同軸にあるフロントダイヤルやファンクション2ボタン、ムービー/チェックボタンは、E-M5を踏襲しています。シャッターボタンがグリップ上に移されたため、より自然にシャッターを切ることができます。
モードダイヤルの右側にあるのがリアダイヤル。その左にあるレバーを切り換えることで、フロントダイヤル、リアダイヤルの機能を切り換えることが出来ます。たとえば、絞り優先モードでレバーが1の位置にあるとフロントダイヤルで露出補正、リアダイヤルでは絞り値の設定ができますが、レバーを2にするとフロントダイヤルはISO感度設定、リアダイヤルはホワイトバランス設定の機能となります。
液晶モニター右側のメインコントロール部。グリップ用のゴムが貼られている部分が拡がり、ホールディング性能向上に役立っています。
AEL/AFLと同軸にあるレバーは、PEN E-P5(製品レビュー)にも採用されていました。モードダイヤルも高くなっています。
OM-Dシリーズのポイントである電子ビューファインダーの接眼部。E-M5と同じ視野率100%ですが、倍率が大きくなるとともに144万ドットから236万ドットへと高精細化されています。E-M5のファインダーも良好でしたが、E-M1ではさらに視認性が向上しています。
接眼部の右側にある2つの穴はアイセンサー。液晶モニターとの切り替えも高速のため、ストレスなく撮影することができます。
接眼部の左側には視度調整ダイヤルが置かれています。その左にあるLVボタンは、電子ビューファインダーと液晶モニターを明示的に切り替えるためのボタンです。
ファインダー上部にあるアクセサリーシュー。機能は制限されますが、汎用ストロボの仕様も可能です。写真はシューカバーを外した状態ですが、その下にあるアクセサリーポート用のカバーは装着した状態です。
アクセサリーポートのカバーを外した状態。電子ビューファインダーや付属のストロボ等を装着するときに使用します。
付属するフラッシュFL-LM2を装着しつつある状態。写真ではわかりづらいですが、フラッシュ下部にある接続端子を通じて電源も供給されます。
フラッシュFL-LM2を装着した状態。この状態では照射できません。
フラッシュ発光部を上にあげると、照射が可能となります電子ビューファインダーの上部に接続するため、比較的照射位置は高くなりますので、レンズによるケラレも発生しづらいように思います。
ボディ左側にある外部接続端子カバーを開いた状態。上からマイク端子、HDMI端子、マルチコネクタとなります。端子カバーは2つに分割されているため、たとえばマイク端子カバーだけを開くことも可能です。
液晶モニターを上向き一杯までチルトさせた状態。上向きには80°まで開くことが可能です。
液晶モニターを下向き一杯までチルトさせた状態。下向きには50°まで開くことが可能です。
ボディ下部のパワーバッテリーホルダーHLD-7用端子カバーを外した状態です。
E-M1専用パワーバッテリーホルダーHLD-7。
ボディ下部のバッテリー室カバーを開いた状態。蓋部分には挿入方向のガイダンスシールが貼付されています。
バッテリーを挿入しつつある状態。バッテリー自体はE-M5のものと同じものとなります。
ボディ右側面にあるメモリーカードスロットを開いた状態。蓋部分にメモリーカード挿入方向のガイダンスシールが貼付されています。
メモリーカードを挿入しつつある状態。ラベル面は前側となります。
モードダイヤルにはロック機構が搭載されています。ロックボタン自体がトルグスイッチとなっており、写真の状態ではロックがかかっていません。
モードダイヤルをロックさせた状態。ボタンが沈下し、モードダイヤルは回転しません。
ボディ左側にはAF/測光モードボタンと連写/セルフタイマー/HDRボタンが新設されました。電源スイッチもこちらに移設されています。
ボディ本体の重さの実測値は447.5gでした。メーカー公表値は443gです。やや差がありますが、アクセサリーシューカバー等の有無によるのかもしれません。
バッテリーとメモリーカードを含めた重さの実測値は500gでした。メモリーカードによって異なりますが、メーカー公表値は497gです。
液晶モニターは3型104万ドットに高精細化されています。アスペクト比は3:2のパネルのため、静止画最大サイズ(アスペクト比は4:3)を表示させると、画面の両側が黒くなります。
同じ状態での電子ビューファインダー表示内容です。EVFのアスペクト比は4:3のため、画面いっぱいに表示されます。表示方法は3種類あり、情報表示を画面の外に出すことも可能です。その場合、画像表示部は一回り小さくなります。
液晶モニターを上向き一杯にチルトさせた状態。液晶パネルの視野角は広く、視認性も良好です。 オリンパス OM-D E-M1の付属品をチェック
バッテリーパックBLN-1用充電器BCN-1。E-M5用のものと共通です。BLN-1の充電には最大で4時間かかります。
コンセントとの接続にはACケーブルを使用します。できればウォールマウントアダプター等も同梱されると良いと思います。
付属するACケーブル。販売国によって付属するACケーブルが変わりますが、バッテリーチャージャー自体は共通のもので済みます。
バッテリーパックBLN-1の容量は7.6V 1220mAh。静止画では約350枚の撮影が可能です。セル本体は日本製ですがパッケージングはインドネシアで行われています。
付属するUSBケーブルCB-USB6。パソコンやプリンター等との接続に使用します。
付属するストラップ。OM-D E-M1のロゴも入った専用品で、文字は刺繍製となっています。フラグシップ用らしいしっかりしたストラップです。
付属するフラッシュFL-LM2。ガイドナンバーは10(ISO200・m)で、電源は本体から供給されるため小型です。端子部分にはカバーが装着されています。
フラッシュの横にあるUNLOCKボタン。これを押すとロックピンが下がり、端子カバーを取り外すことができます。カメラ本体から外すときにも使用します。
端子カバーを外した状態。アクセサリーシュー部分にはロックピンだけですので、電源供給だけでなく制御情報もすべて接続端子経由でやり取りされることがわかります。
付属するフラッシュ用のポーチ。
フラッシュ用のポーチを開いた状態。マジックテープで蓋を固定します。
付属するボディキャップ。ボディキットにはボディキャップレンズBCL-1580も付属しますが、カメラのマウント口にはボディキャップが装着された状態で出荷されていました。
ボディキャップの裏側。バヨネット部分を使って固定するタイプです。 Sponsored Links 3.オリンパス OM-D E-M1の描写性能はどうか?描写力チェック1:高感度性能OM-D E-M1の基本感度はISO200で、ISO25600まで設定可能です。また、拡張設定でISO100相当にすることも可能です。ノイズ低減処理のやり方としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法があります。カメラ内でのノイズ低減は、「高感度ノイズ低減」と「長秒時ノイズ低減」の2つがあります。どちらも、撮影メニューの中で設定可能です。 「高感度ノイズ低減」は「Off」、「弱」、「標準」、「強」の4種類があります。基本的には、初期設定である「標準」のままで良いと思います。 「長秒時ノイズ低減」は、「On」と「Off」、「オート」の3種類があります。Onにすると、常に長秒時ノイズ低減処理がかかり、処理のために約2倍の時間がかかります。連写設定時には自動的にOffになります。これも基本的には初期設定の「オート」で良いと感じました。 E-M1に搭載されているイメージセンサーは新世代のもので、OM-D E-M5やE-P5、E-PL6のものよりも高感度設定時の色ノイズ低減が強化されているとのことですが、確かに高感度側での画像の荒れを感じにくくなっています。現行マイクロフォーサーズ機においては、トップレベルの高感度性能であると言えます。 高感度ノイズ低減をOffにしても、ISO1600まではほとんどノイズ感を感じさせません。E-M5やE-P5と比べると、確かにノイズ感が軽減されており、高感度設定特有の解像感の低下も感じにくくなっています。ISO3200になると、暗部を中心にややノイズが目立ってくるものの、ISO6400でも十分実用的なレベルであると思います。ISO12800になるとかなりノイズは目立ちますが、活用方法を工夫すれば十分使えると感じました。 高感度ノイズ低減を標準にすると、概ね2段分程度ノイズが低減化されますが、やはり解像感はわずかながら低下します。低減レベルを強にすると、ノイズ感はさらに改善されるものの、少々解像感の低下も目につくかもしれません。最高感度であるISO25600についても、画像自体が破たんするわけではないので、縮小するなどの使い方によっては活用可能だと思います。 下記のサンプルは、高感度ノイズ低減をOff、標準、強の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものです。表示画像はほぼ等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。なお、長秒時ノイズ低減については、高感度ノイズ低減OFFの時にはOff、それ以外はOnに設定しています。
ISO100(左から「Off」「標準」「強」) 描写力チェック2:解像度OM-D E-M1のイメージセンサーは有効1628万画素の新タイプです。今回テストしたM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6ⅡRは、キットレンズとしては絞り開放から優れた解像力を示すレンズです。絞り開放から高い解像力を示しましたが、広角側では2段絞ると周辺部を含めさらに解像力が向上したため、開放絞りF3.5から2段絞ったF7.1のもので確認を行いました。テスト結果は、視覚解像度チェック用ライン、限界解像度チェック用ラインとも、楽々と2500本ラインを超えており、イメージセンサーの画素数を活かしたしっかりした解像力といえます。
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限界解像度チェック用のラインでは、2500本まで視認できています。モアレもほとんど発生していません。
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横方向の限界解像度チェック用のラインでも、2500本域まで楽々と視認できています。
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参考まで、画面左端を切り出したものです。色収差等もほとんど気になりません。
描写力チェック3:シェーディング補正機能E-M1にはレンズの周辺光量不足に対応するシェーディング補正機能が搭載されています。今回テストしたM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6ⅡRは、広角端でも周辺光量不足は少ないレンズですが、絞り開放ではわずかに周辺光量不足を確認することができます。シェーディング補正機能を有効にすると周辺部のノイズレベルが上がる可能性がありますが、純正レンズを使うのであれば積極的に活用することをお勧めします。
14mmF3.5 (35mm版28mm相当) 機能チェック(おまけ):連続撮影枚数オリンパスによると、OM-D E-M1の連写性能は次の通りです。
使用したメモリーカードは高速タイプのものです。 (SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
フラグシップ機として、しっかりとした連写性能であると思います。OM-D E-M5は連写Hは9コマ/秒、連写Lは3.5コマ/秒で、RAWでの連続撮影枚数は順に15コマ、20コマでしたので、連写性能だけでなく連続撮影枚数が大幅に強化されています。 また、デジタル一眼レフE-5では、連写Hで5コマ/秒、RAWで16コマまでの連続撮影枚数ですから、やはりE-M1の実力は抜きん出ていると思います。 バッファーが一杯になった状態でも、RAW+JPEG(Large Fine)で2.1コマ/秒、RAWで2.8コマ/秒、JPEG(Large Fine)で7.6コマ/秒の無限連写も可能ですので、ストレスなく撮影することが可能です。なお、バッファー容量が一杯になった瞬間のもたつき等もありませんでした。 4.結局、OM-D E-M1は「買い」か?独断 素晴らしい!![]()
独断 もう一息! ![]()
Sponsored Links 付録.製品仕様からみた OM-D E-M1の特長
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