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ミラーレスカメラの選び方


【ミラーレスカメラとは?】


 国内で売れるレンズ交換式カメラのうち、ミラーレスカメラの割合は50%に近づこうとしています。すでに、シグマを除く国内主要各社はすべてミラーレスカメラを発売・発表しており、この流れはさらに太く速くなっています。

 ところで、そもそも「ミラーレスカメラ」とはどういうカメラのことを言うのでしょうか?

 実は、ミラーレスカメラの明確な定義は、まだないのです。デジタル一眼レフからミラーボックスと光学ファインダーを取り外したカメラが「ミラーレスカメラ」の始まりですが、この構造自体はコンパクトデジカメの構造と同じです。だからといって、コンパクトカメラを含めて「ミラーレスカメラ」というのも、ちょっと違うかもしれません。

 このように明確な定義が確定していないということは、ミラーレスカメラというものが、発展・変化しつつあることを示しているのだと思います。

キヤノン Canon EOS M
最後発として登場したキヤノンのミラーレス EOS M

 ミラーレスカメラの一般的なイメージは、「小型であるにもかかわらず、一眼レフと同じようなきれいな写真が撮れて、レンズ交換ができるカメラ」というものだと思います。つまり、コンパクトカメラと一眼レフカメラの良いところをとって合わせたカメラが、ミラーレスカメラと言えるかもしれません。

 ここでは、新たなジャンルとなったミラーレスカメラの特徴と、メーカーごとの違い、製品の選び方について、見ていくことにします。ミラーレスカメラの購入を検討されている方のお役にたてれば、幸いです。


レンズ交換式であること:ミラーレスカメラの条件1

 まず、ミラーレスカメラとは、一眼レフのようにレンズを交換できなければなりません。コンパクトカメラの中には、一眼レフと同等の高画質な写真を撮影できる機種もあります。たとえば、ソニーのサイバーショットDSC-RX100M2やシグマのDP2Merrill、リコーのGR DIGITAL4や富士フイルムのX100Sなどは、典型的な高級コンパクトカメラです。しかし、だからといって、これらのカメラのことを「ミラーレスカメラ」とは呼びません。

 ミラーレスカメラとは、あくまで一眼レフカメラをベースに枝分かれしてきた点に特徴があります。そのためミラーレスカメラは、レンズ交換ができるカメラである必要があります。

ソニー サイバーショット DSC-RX1
ソニー DSC-RX1。ハイエンド一眼レフと同じフルサイズのセンサーを搭載。

「ミラーレス」であること:ミラーレスカメラの条件2

 次に、ミラーレスカメラは、文字通り「ミラーレス」でなければなりません。

 ところで、「ミラーレス」のミラーとは、いったい何なのでしょうか?

ペンタックス K-5IIs
デジタル一眼レフのミラーボックス。可動式のミラーが置かれています。
(写真はペンタックス K-5IIs


 ミラーとは、一眼レフの中で光を反射させ光路を変えるために使われているミラーのことです。正式にはレフレクター(反射板)といい、一眼レフの「レフ」とは、レフレクターのことを意味しています。


一眼レフの構造
被写体からの光は、カメラ内のミラーで反射され、ファインダーに届きます。
この状態で構図やピントを合わせます。イメージセンサーに光は行きません。


一眼レフの構造
シャッターボタンが押された瞬間、ミラーが上に跳ね上がり、光はイメージセンサーに
届きます。ミラーが上がっている瞬間は、ファインダーに光は行かないため、暗転します。


 一眼レフカメラでは、ファインダーからのぞき、構図やピントを合わせるためのレンズと、イメージセンサーに記録するためのレンズを、同じ一つのレンズで共用します。一眼レフの「一眼」とは、このことを意味するのです。ちなみに最近ではあまり目にしませんが「二眼レフ」では、別々のレンズを用います。

 レンズを共用するため、ファインダーから見えたとおりのものが写るというメリットがありますが、ファインダーで被写体を確認しているときにはイメージセンサーに光は届きませんし、逆にイメージセンサーに光が届いている状態では、ファインダーには光は届かない、という問題もあります。

 この光路を切り換えるスイッチの役割を果たしているのが、ミラー(レフレクター)なのです。

ミラーレスの構造
ミラーレスカメラでは光学ファインダーがないため、常時イメージセンサー側に光が届く。


 ミラーレスカメラでは、ミラーを無くしたため、光は常時イメージセンサーに届きます。そのため、一眼レフのような光学ファインダーを使うことができないので、コンパクトカメラのように液晶モニターで確認するか、電子ビューファインダーを用いることになります。もちろん、こうしたことは、イメージセンサーの画像をリアルタイムで確認することができるデジタルカメラだからこそできる芸当です。

描写力に力を入れていること:ミラーレスカメラの条件3

 最後に、ミラーレスカメラは、少なくとも一般的なコンパクトカメラ以上に高い描写力を持っていなければなりません。ズーム倍率や連写性能などカメラとしての機能は、コンパクトカメラもかなり高くなってきました。そうした中、コンパクトカメラよりも大きく、レンズもいちいち付け替えなければならないミラーレスカメラの存在意義は、まさに高い描写力にあります。

 高い描写力の実現方法としては、明るいレンズを用意したり、コンパクトカメラよりも大きなサイズのイメージセンサーを搭載することなどによって行われています。最近では、ペンタックスQ10/Qのように、イメージセンサー自体は一般的なコンパクトカメラと同じものを使っているものもあらわれてきましたが、レンズ性能や画像処理エンジンなどのトータルな描写力は、やはり一般的なコンパクトカメラを大きく上回っています。


【ミラーレスカメラの特徴と仕組み】


 ミラーレスカメラの明確な定義はありませんが、前項では次のように整理しました。

  • 条件1:レンズ交換式であること。
  • 条件2:ミラーレスであること。
  • 条件3:描写力に力を入れていること。


 それでは、ミラーレスカメラについて、さらに掘り下げて特徴と仕組みを見てみたいと思います。少々難解な言葉もでてくるかもしれませんが、カメラが得意とする使い方を知っているかどうかで、写真の出来も大きく変わってきます。できるだけわかりやすく表現しますので、しばらくの間お付き合いをお願いします。

ミラーレスカメラの特徴

 はじめてのミラーレスカメラは、2008年10月に発売となったパナソニックLUMIX DMC-G1です。当時、必ずしも順風満帆ではなかったフォーサーズ陣営から、起死回生の切り札として発表されたカメラでした。振り返ってみれば、それからまだ5年しか経っていないことに、改めて驚きを禁じえません。

パナソニック LUMIX DMC-G1
ミラーレスカメラの市場を切り開いたパナソニック LUMIX DMC-G1

 ミラーレスカメラの最大の特徴は、「レンズ交換式カメラとしては小型である」点にあります。なぜ、ミラーレスカメラが小型化できたのかといえば、一眼レフカメラにおいて必須だったミラー(レフレックス)とミラーボックスを無くしたからに他なりません。

 レンズ交換式カメラにおいて、レンズを装着する基準面となるマウントと、イメージセンサーとの間の距離をフランジバックといいますが、ミラーが回転するスペース分、つまり最低でもミラーの縦長分は間を開ける必要があります。フランジバックが比較的短かったキヤノンEFマウントで44mm、フォーサーズマウントでも38.67mmとなっており、ボディサイズが厚くなる一番の要因でした。

キヤノン EOS M キヤノン EOS Kiss X6i
 同じサイズのイメージセンサーを搭載したEOS M(左側)とEOS Kiss X6i(右側)。ボディが小型化されただけでなく、レンズを含めたシステム全体がコンパクトになっています。(どちらも18-55mmの標準ズームレンズを装着)。

 フランジバックが短くなると、レンズ設計の自由度も上がります。とりわけ焦点距離の短い広角系のレンズでは、ミラーと干渉しないように焦点位置をできるだけ後ろにずらすことが必要であり、レンズ設計上の制約となっていました。ミラーレスカメラ用レンズではこうした制約がなくなるため、結果的に高性能のレンズをよりコンパクトに作ることが可能になりました。

 ミラーレスカメラが小型化されたのと同じ理由で、デザイン面での自由度も大きく広がりました。コンパクトカメラの画質からステップアップしたいものの、一眼レフのような本格的カメラではちょっと、というユーザーは少なくありませんでしたが、こうした潜在的ユーザーのニーズにマッチしたのです。ミラーレスカメラが急速に広がったのは、単にカメラが小型化されたというだけでなく、「いかにもカメラ」的でない高画質カメラが実現できたことも大きく関係しています。

オリンパス PEN E-P1
市場拡大に貢献したオリンパス PEN E-P1

 実際に、ミラーレスカメラ初代のDMC-G1は、既存の一眼レフを小型化したデザインでしたが、次のDMC-GF1やオリンパスのPEN E-P1は上面がフラットなデザインとなり、これらの機種の登場をきっかけに、ミラーレスカメラが爆発的に売れはじめました。

ミラーレスカメラの仕組み

 ミラーレスカメラの基本的な構造は、コンパクトカメラをレンズ交換式に変えたものです。下図は前に掲載したミラーレスカメラの模式図ですが、これを見てもレンズ交換機構の有無以外は、コンパクトカメラと同じであることがわかると思います。

 被写体からくる光は、すべてイメージセンサーに導かれ、イメージセンサーで得られた画像情報を、背面の液晶モニターや電子ビューファインダーに表示させ、構図やピントの確認をします。

 実は、こうした仕組みは、最近の一眼レフでも一部取り入れています。いわゆる「ライブビュー機能」や動画撮影機能がそれです。ライブビューや動画撮影では、被写体からの光をイメージセンサーに導かなければなりませんので、ミラーを上に跳ね上げた状態で被写体を確認することになります。

ミラーレスの構造
ミラーレスカメラの構造は、レンズ交換式である点以外はコンパクトカメラと同じ。


ミラーレスカメラの長所

  • ミラーがなくなったことにより、小型化できる。
  • 光学ファインダーを必要としないため、小型化できる。
  • カメラ上面をフラットにするなど、デザイン面での自由度が高まる。
  • 一眼レフのようなミラー動作機構がないため、コスト削減がしやすい。
  • ミラー動作がないため、音が小さくブレにくくなる。
  • 静止画撮影と動画撮影をシームレスに行うことができる。
  • 常にイメージセンサーが被写体からの光を受けているため、顔認識など画像認識機能を働かせられる。
  • 光学ファインダーと比較すると、電子ビューファインダーはコスト削減がしやすい。
  • 記録される画像を確認しながら撮影することができる。(デジタル一眼レフのライブビュー撮影でも可能)
  • イメージセンサーの高感度特性が向上するに伴い、肉眼では識別できないような暗いシーンも視認できる。(デジタル一眼レフのライブビュー撮影でも可能)
  • フランジバックが短くなるため、レンズの設計が容易になるとともに、レンズを含めたシステム全体の小型化が可能。

ミラーレスカメラの短所

  • 電子ビューファインダーは改善されてきているが、最高品質の光学ファインダーの見え方には届いていない。
  • 改善されてきているものの、電子ビューファインダーに特有のタイムラグや撮影時の暗転がある。
  • 電子ビューファインダーが搭載されていない機種では、動体の撮影がしにくいとともに、手振れがしやすくなる。
  • ミラーを内蔵していなかったため、位相差方式オートフォーカスを搭載できず、デジタル一眼レフと比べオートフォーカス動作が遅かった。しかし、コントラスト方式のオートフォーカススピードもかなり改善されてきたとともに、ニコンのV2J3キヤノンのEOS Mのようにイメージセンサー自体に位相差方式センサーを組み込んだ製品も出てきている。
  • 小型化にはレンズマウントの変更が必須であり、今までのレンズ資産をそのまま利用できない。


【ミラーレスカメラと一眼レフはどこが違う?】


ミラーレスカメラと一眼レフカメラの違い

 ミラーレスカメラと一眼レフカメラとの違いを改めて整理すると、次のようになります。
  • 一眼レフカメラには光学ファインダーがあるが、ミラーレスには光学ファインダーがない。
  • ミラーレスカメラには電子ビューファインダーを内蔵していたり、搭載できるものもある。
  • 一眼レフカメラよりもミラーレスカメラの方が、小型・軽量である。
  • 一眼レフカメラよりもミラーレスカメラの方が、廉価となる場合が多い。
  • ミラーレスは新しいシステムのため、現時点でのレンズ選択の余地は、あまり広くない。
キヤノン EOS M キヤノン EOS Kiss X6i
 EOS M(左側)とEOS Kiss X6i(右側)。

ミラーレスカメラの方が一眼レフより適している7つのケース

  • コンパクトカメラの画質には少々物足りなさを感じているが、一眼レフのような本格的なカメラには少々抵抗感がある。
  • できるだけ小型軽量のカメラであってほしい。
  • 被写体の負担にならないよう、できるだけ静かに撮影したい。
  • 本格的なレースや、極めて激しく動き回るスポーツなどは、あまり撮影しない。
  • 静止画と同じように動画撮影も楽しみたい。
  • ファインダーはなくても構わない。あるいは電子ビューファインダーでも違和感を感じない。
  • できるだけ安価に一式揃えたい。

一眼レフの方がミラーレスカメラより適している7つのケース

  • 大口径レンズや超望遠レンズなど、様々なレンズを楽しみたい。
  • 本格的なレースや、極めて激しく動き回るスポーツも撮影したい。
  • 大きさ、重さはあまり気にならない。
  • 光学ファインダーならではのクリアな視界が好きだ。
  • レンズ交換式カメラの中でハイエンドの機能や性能の機種が欲しい。
  • 動画も撮影するものの、メインは静止画。
  • できるだけ解像度の高い写真を撮りたい。


【ミラーレスとコンパクトはどこが違う?】


ミラーレスカメラとコンパクトの違い

 ミラーレスカメラとコンパクトとの違いを改めて整理すると、次のようになります。
  • コンパクトカメラはレンズ交換できないが、ミラーレスカメラはレンズ交換可能。
  • ミラーレスカメラの方が、オールラウンドに使用できる。
  • コンパクトカメラの方が、小型・軽量である。
  • コンパクトカメラの方が、廉価となる場合が多い。
  • ミラーレスカメラの方が、全般的に動作スピードが速くテンポよく撮影できる。
  • ミラーレスカメラは、外付フラッシュやGPSユニットなど、アクセサリー類が豊富にある。
パナソニック LUMIX DMC-LX7 キヤノン EOS M
 高級コンパクトDMC-LX7(左側)とEOS M(右側)。

ミラーレスカメラの方がコンパクトカメラより適している7つのケース

  • ボケを生かした写真など、よりこだわった撮影も楽しみたい。
  • よりよい画質の写真を撮影したい。
  • ちょっと暗い場所でも撮影する機会が多い。
  • 外付フラッシュなどを使いたい。
  • 一台のカメラをあらゆる場面で徹底的に使いこなしたい。
  • スポーツなどの写真を撮る機会が多い。
  • なにしろ安く、というほどには予算にこだわらない。

コンパクトカメラの方がミラーレスカメラより適している7つのケース

  • 大きくのばしてプリントする機会はそれほどない。
  • 何が写っているかがわかることが重要。
  • ポケットに入るくらいのサイズが良い。
  • テンポよく撮影できることは、それほど重視しない。
  • 動き回るものは、あまり撮影しない。
  • なにしろ安く揃えたい。
  • 防水カメラ、超望遠カメラなど、特化した使い方をメインに考えている。


【ミラーレスカメラの種類と選び方】


 最近では、ミラーレスカメラコーナーを設けているカメラ売り場も増えてきました。各社から販売されている多様なミラーレスカメラを目にすると、いったいどの機種を買うのが良いのか迷ってしまうことと思います。しかし、意外とミラーレスカメラの選択は難しくはありません。ここでは、ミラーレスカメラの選択にあたって、どういうポイントに着目したらよいのかを整理したいと思います。

 まず、ミラーレスカメラを大きく分類すると、

◎小型化を最優先に設計されたもの。


◎カメラとしての機能性を重視したもの。


◎一眼レフに準じた操作性を持たせたもの。

 の3つに大別されます。これらの条件は関連してはいますが、必ずしも相反するわけではないことに注意が必要です。

形状の違い:電子ビューファインダーを内蔵しているか

 ミラーレスカメラの特長の一つは、より自由にボディデザインを設計できるということです。その自由度を、小型軽量なカメラを実現する方向に向けていくのかどうか、という点で、カメラの方向性が大きく異なってきます。それを判断する試金石ともいうべきものが、電子ビューファインダーの有無となります。

Nikon 1 V1
 内蔵式の電子ビューファインダー(Nikon 1 V1)。

 具体的には、電子ビューファインダーを搭載しているミラーレスカメラは、小型化最優先で設計されていないということを示しています。といっても、単に電子ビューファインダーの分だけ小さいということではなく、カメラの基本設計全体にかかわってくるのです。小型化の扱いは、カメラの性格付けを大きく分ける特徴でもありますので、ミラーレスカメラを選択するに当たっては、まず電子ビューファインダーの有無に着目する必要があります。

機能の違い:電子ビューファインダー機能を利用できるか

 もう一つの視点が、電子ビューファインダー機能を利用できるか、という機能面での違いとなります。上記の「形状の違い」では電子ビューファインダーを内蔵しているかどうか、が見分けるポイントと述べましたが、機能面での違いでは、機能として電子ビューファインダーを利用できるかどうかがポイントとなります。

 もちろん、電子ビューファインダーを内蔵しているカメラは、当然電子ビューファインダー機能を利用できます。しかし、内蔵していない機種でも、外付の電子ビューファインダーに対応しているミラーレスカメラは少なくありません。そして、電子ビューファインダーの機能を利用できるミラーレスカメラは、基本的にカメラとしての機能面も重視した設計がされています。

インターフェースの違い:コマンドダイヤルを搭載しているか

 3つめの視点が、インターフェースの違いです。これについては、やはりコマンドダイヤルを搭載しているかどうかという点で、ある程度の判別が可能です。コマンドダイヤルは、一眼レフタイプのカメラには必ずと言ってよいほど搭載されたインターフェースです。コンパクトカメラでも、いわゆる上級者向けの高級コンパクトのほとんどは、コマンドダイヤルを搭載しています。

富士フイルム X-Pro1
 コマンドダイヤルなど直接的なインターフェース(富士フイルム X-Pro1)。

 コマンドダイヤルのメリットは、ユーザーが意識的に設定を変えるとき、直接的に操作を行えるということです。逆に言えば、カメラが自動選択した設定で撮影をするのであれば、使うことのない部品となります。ですから、想定しているユーザーが、積極的に設定を選択する使い方をするのであれば、多少サイズが大きくなったりコストアップしたとしても、優先的に搭載されることになります。

3つの視点で見た各機種の位置づけ

 以上の3つの視点から、6社から発売されている18種類の現行機種を分類すると、次のようになります。

電子ビューファインダー内蔵
(小型化は最優先でない)
電子ビューファインダー非内蔵
(優先的に小型化)
電子ビューファインダー対応
(高機能を追及)
ソニー αNEX-7
ソニー αNEX-6
ニコンV2
ニコン V1
パナソニック G5
パナソニック GH3

富士フイルム X-Pro1
富士フイルム X-E1
オリンパス OM-D E-M5

オリンパス E-P3
オリンパス E-PL5
オリンパス E-PM2
ソニー αNEX-5N/5R
ソニー αNEX-F3
パナソニック GX1


電子ビューファインダー非対応
(機能性は最優先ではない)

キヤノン EOS M
ニコン J1/J2
パナソニック GF5
ペンタックス Q/Q10
ペンタックス K-01

(◎はコマンドダイヤル搭載機)

 もし、小型なカメラを求めているのであれば、右側上下(緑色または黄色)の枠から選択することになります。高機能なカメラを求めているのであれば、上段左右(水色または緑色)の枠から選択することになります。そして、一眼レフタイプの操作性を求めているのであれば、◎のついたカメラが希望するカメラとなるわけです。

 たとえば、小型で多機能、一眼レフに準じたインターフェースのカメラ、ということでは、オリンパスのE-P3、E-PL5、パナソニックのGX1に、まず絞り込めることになります。

 なお、ペンタックスのQ7/Q10/QとK-01については、この分類では例外的な位置づけとなります。Q7/Q10/Qは、本来であれば、電子ビューファインダーに対応する性格のカメラですが、おそらくサイズ面での制約から、それを見送ったのだろうと思われます。また、K-01は、一眼レフのマウントをそのままに、小型軽量化を目指したカメラで、新しいミラーレスのあり方となるかもしれません。上の表では、わかりやすいよう黄色の枠の中に入れてありますが、ポジションとしてはどちらも緑色のところに該当するカメラであると考えてよいと思います。


オリンパスのミラーレスカメラの選び方】


オリンパスのミラーレスカメラの5つの特徴

 オリンパスは、次に紹介するパナソニックとともに、フォーサーズ規格に基づくレンズ交換式デジタルカメラを展開しています。2003年に登場したフォーサーズ規格は、従来の一眼レフと同様のカメラ構造を想定していましたが、これのミラーレス版がマイクロフォーサーズ規格となります。

 2008年にマイクロフォーサーズ規格が登場したのちも、オリンパスはフォーサーズ規格のカメラをリリースしていましたが、2012年3月にミラーレスの新シリーズ「OM-D E-M5」が登場したことで、オリンパスも事実上ミラーレスカメラへと大きくシフトしました。現時点では、電子ビューファインダーを内蔵した機種はOM-D E-M5のみとなりますが、この機種は市場で高い評価を受けており、発売後しばらくは予約してもなかなか入手できないほどの人気機種となったことは記憶に新しいと思います。

 オリンパスとしては、今後もフォーサーズ規格に対応した製品を登場させる、と発表していますが、現実的にはなかなか厳しいかもしれません。OM-D E-M5予約購入者には、フォーサーズ対応マウントアダプターが無償でプレゼントされたことを見ても、基本的にはマイクロフォーサーズ規格に一本化したと考えてよいと思います。

※【追記:2013年9月10日】オリンパスは「OM-D E-M1はデジタル一眼レフE-5の後継機でもあり、今後はフォーサーズ規格のカメラボディやレンズはリリースしない」と正式発表しました。

●オリンパスのミラーレスの特徴1:小型軽量

 オリンパスはフィルムカメラの時代から「小型軽量」を重視した商品展開を行っていました。電子ビューファインダーを内蔵しないPENシリーズはもちろんのこと、電子ビューファインダー内蔵機であるOM-D E-M5も、かなり小型軽量なモデルといえます。

●オリンパスのミラーレスの特徴2:電子ビューファインダーに対応

 オリンパスのミラーレスカメラは、すべて電子ビューファインダーに対応しています。OM-D E-M5のように、EVFを内蔵している機種はもちろんですが、初代E-P1を除きPENシリーズの全機種も外付電子ビューファインダーを装着できるようになっています。
 なお、電子ビューファインダーはアクセサリーシューに装着するため、フラッシュが外付となるE-PL5/E-PL6とE-PM1/E-PM2では、電子ビューファインダーとフラッシュを併用することはできない点に注意が必要です。

●オリンパスのミラーレスの特徴3:ミラーレスとしては平均的なセンサーサイズ

 マイクロフォーサーズのイメージセンサーは、フォーサーズ規格と同じ4/3型となります。センサーサイズを比較すると、ソニーやキヤノン、ペンタックスK-01が採用しているAPS-Cサイズの約6割、ニコン1の約1.8倍となり、両者のちょうど中間的なセンサーサイズであるといえます。


(緑色がマイクロフォーサーズの4/3型センサー)

●オリンパスのミラーレスの特徴4:画質は同じ。機能面で機種間の差別化。

 オリンパスのPENシリーズは、同世代の製品であれば基本的に同じイメージセンサーを搭載しており、画像処理エンジンも同じものとなっています。描写力では大きな違いはありませんので、ラインアップを構成している機種間の差は、液晶モニターの機能や連写性能、内蔵フラッシュの有無など、カメラとしての機能面にあります。

 2012年3月に登場したOM-D E-M5では、有効1605万画素CMOSセンサー(ソニー製と言われています)が搭載されており、PENシリーズよりも一歩先をいくセンサーが搭載されていました。しかし、これはOM-D E-M5がPENシリーズの上位機種だからではなく、製品開発時期がより新しいためです。実際に、2012年10月にはPEN Lite E-PL5やPEN mini E-PM2が同じイメージセンサーを搭載してリリースされました。

●オリンパスのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はカメラ側で実現

 オリンパスは、フォーサーズ規格のカメラを含め、手振れ補正機能はすべてカメラ側で実現しています。そのため、パナソニックのレンズを含め、どのレンズを装着しても、手振れ補正機能を働かせることができます。なお、手振れ補正機能を内蔵しているレンズを使用する場合には、ボディ側かレンズ側どちらかの手振れ補正機能をとめて使用することが推奨されています。

オリンパスのミラーレスカメラの選び方

 それでは、どのような点に着目してオリンパスの4機種から選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。

●「とにかく小型軽量なカメラが欲しい」方に、E-PM2

オリンパス PEN mini E-PM2
 オリンパスのPENシリーズは、いずれも小型軽量ですが、その中でも一番薄く仕上げられているのがE-PM2です。ボディは薄いものの、基本的な撮影機能は上位機種と変わりませんので、しっかりとした撮影に使うことも可能です。また、E-PM2はコンパクトカメラと似たインターフェースとなっているため、コンパクトカメラの操作性に慣れている方も、積極的にE-PM2を選択されると良いと思います。

●「普段は気軽に、時にはこだわりたい」方に、E-PL5/E-PL6

オリンパス PEN Lite E-PL5
 E-PL5/E-PL6は自分撮り可能なチルト液晶を搭載している分、E-PM1/E-PM2よりもやや厚いカメラボディですが、サイズ自体はほぼ同じとなっています。また、E-PL5/E-PL6はE-P3/E-P5と同様に、モードダイヤルをはじめ一眼レフに似たインターフェースとなっていますので、上級者にとっても使いやすいカメラです。基本的には気軽に持ち運びたいものの、時にはこだわりたい方にお勧めの機種となります。
 E-PL5/E-PL6は、OM-Dと同じトップレベルの描写性能である点も魅力的です。

●「どんなシーンでも安心して撮影したい」方に、E-P3/E-P5

オリンパス PEN E-P5
 PENシリーズのフラグシップの位置を占めているのがE-P3/E-P5です。サイズはやや大きく、重さも一番重い機種ですが、しっかりとしたグリップをはじめ、長時間構えていても疲れにくいボディデザインとなっています。また、液晶モニターがタッチパネルであるとともに、フラッシュも内蔵しているなど、フラグシップ機ならではの充実した機能を持っています。どんなシーンでも安心して撮影したい方に、お勧めの機種です。

●「一眼レフと同じように撮影したい」方に、OM-D E-M5/OM-D E-M1

 2012年3月に新たに登場したのがOM-D E-M5です。位置づけ的には、パナソニックのDMC-G3と似ていますが、今まで一眼レフを使っていた方に、より小型軽量なシステムを提供するものとなっています。ファインダーを覗いての撮影に馴染まれている方は、高精細電子ビューファインダーを内蔵しているOM-Dが最適です。また、アクセサリー類が充実しているのも、OM-D E-M5の特長と言えるかもしれません。

「オリンパスのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もぜひご覧ください。


キヤノンのミラーレスカメラの選び方】


キヤノンのミラーレスカメラの5つの特徴

 キヤノンのミラーレスカメラは以前よりもいろいろと噂されてきましたが、いよいよ2012年9月に登場する見込みです。まずは、EOS Mボディと2本の専用レンズがリリースされ、あわせてEFマウントアダプターやフラッシュなどのアクセサリーも登場します。スタート時点としては、ややさびしい気もしますが、APS-Cサイズの大型イメージセンサーを搭載し、デジタル一眼レフEOS Kiss X6iと同等レベルの描写性能をもつカメラが、大幅に小型軽量化された点には驚かされました。
 開発陣のインタビューでも今後の展開については一切具体的なことは語られていませんでしたが、ネット上の噂情報によれば、より上位機種も用意されているとのことであり、レンズラインアップの充実を含め期待したいところです。

キヤノン Canon EOS M

●キヤノンのミラーレスの特徴1:大型イメージセンサーを搭載

 キヤノンのミラーレスカメラは、PowerShotG1Xと同じ1.5型イメージセンサーを搭載するという事前情報もありましたが、実際には一般的なデジタル一眼レフと同じAPS-Cサイズのイメージセンサーでした。これはEOS Kiss X6iのものとほぼ同じもので、センサーモジュールのサイズを小さくするために基盤を小型化しているとのことでした。画像処理エンジンもDIGIC5であり、EOS Mから生み出される画像は、デジタル一眼レフと同じクオリティのものとなります。


●キヤノンのミラーレスの特徴2:EFレンズの機能を完全に活かすマウント設計

 キヤノンのEFマウントは、1987年に登場した時から完全電子制御マウントであり、物理的な連動の仕組みは使われていませんでした。今回、新たにEF-Mレンズが登場しましたが、この電子連動の仕組みを活かし、マウントアダプター経由でEFシネマレンズを除くすべてのEFレンズ、EF-Sレンズが使用できます。
 
 EOS M(左側)とEOS Kiss X6i(右側)のマウント部。サイズは一回り違うが、爪の構造はほぼ同じ。なお、電子接点の数は、EFマウントは8点であるのに対し、EF-Mマウントは9点と1つ増えている。フランジバックは、EFマウントの44mmに対し、EF-Mは18mm。

●キヤノンのミラーレスの特徴3:センサーサイズに比較して小型なボディ

 EOS Mは、APS-Cサイズのイメージセンサーを搭載していますが、ボディサイズ自体は他のミラーレスカメラとほぼ同等レベルとなっています。マイクロフォーサーズ規格のパナソニックDMC-GF5と同じサイズで、1型センサーのニコンJ2/J1よりもやや大きい程度に収まっています。

●キヤノンのミラーレスの特徴4:まずはエントリークラスでリリース

 今後のロードマップは公表されていませんが、まずはエントリークラスの製品がリリースされました。このあたりは、同じくデジタル一眼レフが好調なニコンが、V1やJ1でミラーレス市場に参入したのと、似た状況かもしれません。
 とはいえ、今後市場全体がよりミラーレスカメラにシフトしていく中で、徐々に上位機種についてもラインアップに加えられていくものと思われます。

●キヤノンのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で実現

 キヤノンは、EOSシリーズと同様にボディ内には手振れ補正機能を搭載しませんでした。キヤノンEFレンズでは、手振れ補正に対応しているものも多いことも、ボディ内搭載を見送った理由の一つかもしれません。
 手振れ補正機能を、ボディ側とレンズ側のどちらで実現するかについては、各々のメリットのどこを重視するかによります。

キヤノンEOS M詳細レビュー記事はこちらをご参照ください。

「キヤノンのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もぜひご覧ください。


ソニーのミラーレスカメラの選び方】


ソニーのミラーレスカメラの5つの特徴

 まず、ソニーのミラーレスカメラの特徴について、整理することにしましょう。
 ソニーは、レンズ交換式デジタルカメラとしては、従来型の一眼レフタイプのシリーズと、新しいミラーレスのシリーズの両方を展開しています。パナソニック以外の各社は、現時点では同じように両にらみの戦略をとっていますが、オリンパスのように重心をミラーレスカメラに移しているメーカーや、ニコンやキヤノン、ペンタックスのように、ミラーレスカメラ分野にも商品を展開し始めたメーカーなど、ミラーレスカメラの位置づけはさまざまです。

 こうした中でソニーは、ちょうど中間的な立場となっています。完全にミラーレスカメラに移行しつつあるわけではないものの、開発力の少なくない部分をミラーレスカメラに投入しており、これがソニーのミラーレスカメラの特徴につながっています。

●ソニーのミラーレスの特徴1:エントリーから上級まで幅広くカバー

 ソニーのミラーレスカメラの現行ラインは、3機種で構成されています。エントリー機となるαNEX-F3、中級機であるαNEX-5N、上級機のαNEX-7と、各々の機種のポジションが明確に分かれています。こうしたミラーレスカメラの品ぞろえは、パナソニックと似ているかもしれません。つまり、ミラーレスカメラをレンズ交換式カメラの入門機としてだけ位置づけるのではなく、中・上級者のニーズにも目配りしているといえます。

●ソニーのミラーレスの特徴2:デジタル一眼レフと同じ大型センサーを搭載

 ソニーのミラーレスカメラが搭載しているイメージセンサーは、APS-Cサイズのセンサーで、これは他社の製品を含め一般的なデジタル一眼レフが搭載しているものと同じセンサーです。センサーサイズが大きければ、階調性や解像力などの描写力や、高感度性能の面で有利になります。また、ボケを活かした撮影も比較的容易となります。
 イメージセンサーのサイズが大きくなれば、レンズを含めたシステム全体の小型化にはマイナスとなりますが、ミラーレスカメラだからと言って画質面で妥協はしない、というのがソニーのメッセージだと思います。

●ソニーのミラーレスの特徴3:既存のレンズ資産に配慮

 ソニーのミラーレスカメラは2010年6月に登場したということもあり、レンズのラインアップに課題があります。そのため、既存のデジタル一眼レフAマウント用のレンズの使い勝手に配慮がされています。当初から、Aマウントレンズを装着するためのレンズアダプターを用意していましたが、新たに位相差方式のオートフォーカスユニットを内蔵したレンズアダプターもリリースされています。このアダプターを使うことで、既存のレンズ資産をそのままαNEXシリーズで使用可能になりました。
 ただし、ソニーのAマウントカメラはボディ内手振れ補正方式ですので、基本的にAマウント用レンズ自体には手振れ補正機能がありません。αNEXシリーズはカメラ本体内に手振れ補正機能がないため、Aマウント用レンズ使用時には、手振れ補正が使えないという点に注意が必要です。

●ソニーのミラーレスの特徴4:動画撮影機能を重視

 ソニーのデジタルカメラ全般に共通する部分となりますが、静止画だけでなく動画撮影機能も重視した製品となっています。現行3機種すべてがフルHD動画撮影に対応しているだけでなく、αNEX-5NとαNEX-7ではプログレッシブ60pでの撮影も可能です。また、3機種ともステレオマイクを内蔵しており、AVメーカーとしての特長を活かした製品になっています。

●ソニーのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で実現

 ソニーのデジタル一眼レフAマウントカメラはボディ内手振れ補正方式でしたが、ミラーレスカメラαNEXシリーズではレンズ内手振れ補正方式へと変えられています。どちらの方式にもメリットはありますが、ミラーレスカメラでレンズ内手振れ方式に変更された理由は、ボディの薄型化とともにイメージセンサーの排熱対策からではないかと思われます。センサーシフト方式ではセンサー自体が動くため、センサーユニットに大型のヒートシンクを付けることは難しく、とくに動画撮影時にはオーバーヒートする危険性が高くなります。これに対し、レンズ方式ではイメージセンサーをボディ筐体金属に密着させることもでき、排熱対策が容易となるためです。
(手振れ補正の両方式の特長は、「デジカメ質問箱手振れ補正機能はボディ内の方が有利?」をご参照ください。)

ソニーのミラーレスカメラの選び方

 それでは、どのような点に着目してソニーの3機種から選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。

●「コンパクトカメラのように気軽に撮影したい」方に、αNEX-3N/αNEX-F3

 現在、コンパクトカメラを使っていて、「もう少し高画質なカメラが欲しい」と思っているのであれば、αNEX-F3が第一候補になります。前機種のαNEX-C3では、電子ビューやフルHDに非対応でしたが、F3ではこれらの点にも対応しています。αNEX-5と比べボディサイズやや大きいですが、カメラとしての基本性能はほぼ同等となっていますので、コストパフォーマンスの良い選択です。また、フラッシュを内蔵していたり、180度回転させ「自分撮り」が容易である点も、αNEX-F3ならではの特長となっています。なお、αNEX-F3は携帯電話や一部のコンパクトデジカメと同じように、ボディ内充電方式に対応していますので、毎日持ち歩くという使い方であれば、便利だと思います。

●「普段は気軽に、時にはこだわりたい」方に、αNEX-5T/αNEX-5R

 基本的にはコンパクトカメラと同じように気軽に使いたい、という点では上記パターンと同じですが、それに加えてこだわった撮影にも使ってみたい、ということであれば、αNEX-5Rをお勧めします。基本的なインターフェースはαNEX-F3と同じですが、タッチパネル液晶を搭載しているとともに、高感度性能、連写性能もブラッシュアップされています。また、NEXシリーズの中では、もっとも小型軽量である点も魅力的です。
 前機種NEX-5Nの機能に加え、新たにWi-Fi機能を搭載した点や、ユーザーが機能追加を行える「PlayMemories Camera Apps」も注目点です。また、NEX-F3と同様に液晶パネルのチルト角度が広がったことで、自分撮りもできるようになりました。さらに、ダイヤル搭載による操作性の向上や、像面位相差方式によるオートフォーカス速度の高速化もポイントになります。

●「手軽に電子ビューファインダーを使いたい」方に、αNEX-6

 カメラとしての機能的には、NEX-5Rに電子ビューファインダーを搭載した機種と言えますが、むしろNEX-7に近い中身となっています。イメージセンサーこそ有効1610万画素ですが、オートフォーカス性能やWi-Fi機能など、新しい機種としてNEX-7を超える実力も備えています。また、同時に発売となった、16-50mmのパワーズームレンズも、小型化と描写性能を両立させてレンズとして魅力的です。

●「一眼レフのような使い勝手が欲しい」方に、αNEX-7

 いわゆる高級コンパクトカメラやデジタル一眼レフを使用していて、同じような操作性のミラーレスカメラを求めているのであれば、現時点ではαNEX-7の一択となります。電子ビューファインダーを搭載しているにもかかわらず上面がフラットなボディデザインは、今までの一眼レフとは異なる新しいカメラであることを強くアピールしています。また、背面と上面に搭載されている3つのダイヤルは、直感的な操作を可能としており、上級者にとっても抵抗なく使えるカメラに仕上がっています。
 他の機種と比べ、やや高価格であることが難点ではありますが、本格的にミラーレスカメラを活用するのであれば、お勧めの機種となります。

「ソニーのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もぜひご覧ください。


ニコンのミラーレスカメラの選び方】


ニコン・ミラーレスカメラの新しい展開

コンスタントに充実してきたニコンのミラーレス・システム

 ニコンのミラーレスカメラが登場して1年が経過しました。当初はやや伸び悩んだかのように見えましたが、積極的な価格政策も功を奏して、現在はミラーレスカメラ分野においてトップグループの一社に入っているようです。実際に、量販店のPOSデータによる販売ランキングでは、2012年に一番売れたレンズ交換式カメラはニコンJ1でした。
 また、2012年11月にはV2が発売され、2013年2月には、J3とS1も登場します。レンズも徐々に充実してきていますので、誰にでも勧めることができるミラーレスカメラとなってきていると思います。

ニコン S1

新登場のニコン 1 S1(カーキー)

 今までの商品展開を振り返ると、次のように進められてきています。
○2011年10月 ニコン1シリーズのリリース。
V1とJ1、標準ズーム、望遠ズーム、薄型広角レンズ、高倍率パワーズームの4本のレンズが登場。
○2012年9月 新型ボディとレンズのリリース。
J2と小型標準ズームが登場。
○2012年11月 新型ボディとレンズのリリース。
V2と標準レンズが登場。
○2013年2月 新型ボディとレンズのリリース。(予定)
J3とS1、小型高倍率ズームレンズが登場。
○2013年3月 新型レンズのリリース。(予定)
広角ズームレンズが登場。
 これ以外にも、32mmF1.2(35mm換算で86mm相当)やマクロレンズも予定されており、他社製品では400mmF8のミラーレンズ(ケンコー)もすでに販売されています。

ニコンのミラーレス戦略は?

 ニコンはキヤノンとともに、デジタル一眼レフの膨大な資産を持っています。そして、現時点でもなお、それらは主要な稼ぎ手であることから、「デジタル一眼レフ市場を前提としてミラーレスカメラに取り組む」ということがニコンの基本的な立場となります。ニコン初のミラーレスカメラであるV1とJ1は、コンパクトカメラからのステップアップユーザーにフォーカスした製品でしたが、これも「既存デジタル一眼レフへの影響を避けるため」と考えられます。ちなみに、キヤノンのEOS Mも、ほぼ同じスタンスの製品であると言えるかもしれません。

 今回、V2やJ3、S1を登場させたことで、ニコンのミラーレスカメラは幅を拡げています。
V2のリリースで、上級者へとターゲットを拡大
 まず、2012年11月にV2をリリースすることで、上級者をターゲットに入れました。コンパクトカメラからのステップアップユーザーにアピールするだけでなく、ミラーレスの「小型軽量」を活かすことで、既存のデジタル一眼レフユーザーの新たなニーズを掘り起こそうとしているのです。

ニコンのミラーレスカメラの位置づけ

V2のリリースで、「デジタル一眼レフよりも小型で、デジタル
一眼レフと同じように高機能なカメラ」というニーズにも対応



 今まで、デジタル一眼レフとコンパクトカメラの間には、大きな隔たりがありました。高級コンパクトカメラの登場で、ややその距離は縮まったとはいえ「レンズ交換による多様な対応力」を求めるのであれば、ニコンユーザーは「重く大きい」デジタル一眼レフしか選択肢がありませんでした。

 V2が登場したことで、ミラーレスカメラのメリットである小型軽量(カメラ本体だけでなく、レンズを含めたシステム全体として)や、電子ビューファインダーによる使い勝手の良さ、動画撮影への適応力など、デジタル一眼レフでは不得意な分野でもミラーレスカメラで対応可能となったといえます。

 ニコンがこうした戦略をとることができたのは、やはり比較的小型の1型センサーを採用したからです。ニコンのデジタル一眼レフシステムは、エントリークラスでさえ有効2416万画素のイメージセンサーを搭載するなど、今まで以上に画質を重視する方向にシフトしています。つまり、デジタル一眼レフとミラーレスカメラの差別化を、サイズと画質で行っているのだと思います。
 ニコンのミラーレスカメラが搭載する1型センサーは、一般的なコンパクトカメラとは比較できないほど高画質であるものの、「さらに高画質を求めるのであればデジタル一眼レフへ」というストーリーは、ユーザーにとってもわかりやすいかもしれません。
J3とS1のリリースで、ラインアップを強化
 2013年2月に登場するJ3とS1によって、ミラーレスカメラのラインアップが強化されます。J3とS1の主な違いは、イメージセンサーの画素数、モードダイヤルの有無、液晶パネルの精細さ、ボディサイズと重さ、といった点ですが、「コンパクトカメラからのステップアップユーザー」にはS1を、ファインダーを省略して「より小型軽量なボディを求めるユーザー」にはJ3を推奨するというメッセージが込められています。

ニコンのミラーレスカメラの5つの特徴

●ニコンのミラーレスの特徴1:ミラーレスとしてはやや小型のセンサーサイズ

 1型サイズであるCXセンサーをAPS-CサイズのDXセンサーと比べると、面積では約1/3となります。また、同じくCXセンサーをコンパクトカメラで標準的な1/2.3型センサーと比べると、面積では約4倍となります。つまり、ざっくり表現すると、ニコン1のイメージセンサーは、一眼レフタイプとコンパクトカメラとの概ね中間に位置しています。
 1型センサーは、ミラーレスカメラの中ではやや小型ですが、一般的なユーザーがミラーレスカメラに求める画質レベルは十分クリアしていると言えます。


(水色がニコン1の1型センサー)

●ニコンのミラーレスの特徴2:一眼レフと同等な高速オートフォーカス。

 ニコンのミラーレスカメラに搭載されているイメージセンサーには、像面上に位相差方式のオートフォーカス素子が組み込まれています。キヤノンをはじめ像面位相差方式センサーを採用したカメラも増えてきましたが、高速性という点ではニコンが一歩先んじています。とくに前後に動く被写体を撮影する時でも、デジタル一眼レフと同じような使い勝手である点は大きな特長です。

●ニコンのミラーレスの特徴3:エントリーから上級者まで、幅広い対応

 コンパクトカメラからのステップアップユーザーを想定したS1、小型ボディを求めるユーザー向けのJ3、デジタル一眼レフに準じたインターフェースを搭載したV2によって、幅広いニーズに対応しています。まだラインアップはそれほど厚くはありませんが、今後さらに幅が拡げられていくものと思われます。

●ニコンのミラーレスの特徴4:手振れ補正機能はレンズ側で実現

 ニコンのミラーレスカメラは、デジタル一眼レフと同様、本体に手振れ補正機能を搭載していません。このため、手振れ補正機能を利用するためには、この機能を搭載したレンズを選ぶ必要があります。現行レンズでは、10mmの薄型レンズと11-27.5mm標準ズームレンズは手振れ補正機能を持っていません。

●ニコンのミラーレスの特徴5:デジタル一眼レフのレンズ資産を活用可能

 ニコンには純正マウントアダプターFT1が用意されており、既存のFマウントレンズを活用できます。オートフォーカスや手振れ補正機能などもきちんと機能しますので、安心して使えます。V2の登場により、デジタル一眼レフのサブカメラとしての使われ方が増えていく中、デジタル一眼レフ用レンズも使えるということは大きなメリットになります。
 たとえば300mmの焦点距離のレンズをAPS-Cサイズのカメラに装着すると、画角は450mm相当となりますが、これがニコン1であれば870mm相当の超望遠レンズに早変わりします。

ニコンのミラーレスカメラの選び方

 それでは、どのような点に着目して選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。

●「コンパクトからのステップアップ」ユーザーに、ニコン 1 S1

Nikon 1 S1 2013年2月に登場予定の新型機です。J1やV1と同等の10メガ画素モデルですが、コンパクトカメラに搭載されている小型センサーとは描写力が違います。特に、暗いシーンでの撮影やボケを楽しむといった使い方は、ミラーレスカメラならではとなります。 また、連写性能や連続撮影枚数もエントリークラスのデジタル一眼レフと遜色ありませんので、長期間使える機種だと思います。
 発売直後はやや高めですが、早い段階で値ごろ感が出てくるものと思われます。

●「とにかく小型軽量なカメラが欲しい」ユーザーに、ニコン 1 J3

Nikon 1 J3 2013年2月に登場予定の新型機です。V2と同じ14メガ画素センサーを搭載していますので、V2と同じ描写性能を持っています。ボディサイズはJ1/J2よりもさらに小型化されており、コンパクトなレンズと合わせて可搬性に富んだシステムの構築が可能です。
 ユーザーインターフェースはS1に準じていますが、モードダイヤルを搭載するとともに、液晶モニターも高精タイプとなっています。基本的には「電子ビューファインダーを搭載していないV2」といった面を持っています。
 やはり発売直後はやや高めですが、新しい小型高倍率ズームのセットは、最初からコストパフォーマンスに優れています。

●「本格的にカメラを使いこなしたい」ユーザーに、ニコン 1 V2

Nikon 1 V2 電子ビューファインダーを内蔵していますが、他機種との違いはデジタル一眼レフに準じたインターフェースである点です。モードダイヤルやコマンドダイヤル、ボタン類の配置は、ミドルクラスのデジタル一眼レフと同等レベルとなっています。また、大型のグリップやグリップ上に置かれたシャッターボタンなど、「コンパクトなデジタル一眼レフ」としての魅力を持っています。
 ミラーレスカメラを「入門用レンズ交換式カメラ」ではなく、「小型レンズ交換式カメラ」として本格的に使いこなしたい方に適したミラーレスです。

ニコン1 V2 詳細レビュー記事はこちらをご覧ください。

 これら以外にも、J1、J2、V1の3機種がリリースされています。すでに後継機種が登場していますので、いずれはフェードアウトしていくものと思われますが、現時点では店頭在庫も豊富にあるようです。とくに第一世代機であるV1とJ1は、かなり値ごろ感もありますので、お買い得機種だと思います。

●「とくに予算面を重視する」方に、ニコン 1 J1

Nikon 1 J1 2011年10月に登場した時には、標準ズームキットで6万円台でしたが、現時点では2万円台、望遠ズームも付いたダブルズームキットも3万円台で購入できるようです。J2やJ3と比較すると、沈胴レンズに連動して電源が切れない点や液晶パネルの精細度がやや低い点などの違いはありますが、カメラとしての基本機能は現行機種と同等レベルであると思います。J2やJ3、S1に値ごろ感が出てくるまでは、積極的にJ1を選択し、ある程度使いこなした段階でボディを買い増しするということでも良いかもしれません。

ニコン1 J1 詳細レビュー記事はこちらをご覧ください。

●「ファインダーがほしい」方に、ニコン 1 V1

Nikon 1 V1 V1も買いやすい価格が魅力的です。2011年10月の発売開始時は、薄型レンズキットが9万円程度でしたが、現在は3万円台で購入できます。また、2本のズームレンズがついたダブルズームキットも4万円台ですので、J1+1万円で電子ビューファインダー付のボディを購入できることになります。
 カメラとしての中身は、ほぼJ1やJ2と同じですが、電子シャッターに加えメカニカルシャッターを搭載している点や、ダスト処理機構を内蔵しているなど、電子ビューファインダー以外にも違いがあります。
 電子ビューファインダーのメリットは、明るい屋外でも視認しやすいこと、安定したスタイルで撮影できるので手ぶれしにくいこと、動画や望遠レンズでの撮影時に被写体の追随が容易であることなどがあります。その分やや大きくなりますが、J1/J2/J3やS1には外付電子ファインダーが装着できないことも考慮に入れる必要があります。

ニコン1 V1 詳細レビュー記事はこちらをご覧ください。

●「とくに予算面を重視する」方に、ニコン 1 J2

Nikon 1 J2 2012年9月に、J1の後継機としてリリースされた機種です。液晶パネルが高精細なものに置き換えられるとともに、沈胴レンズに連動して電源を切ることも可能になっています。また、ソフトウェア面でも強化されていますので、もし予算が許すのであれば、J1のかわりにJ2の選択をお勧めします。
 J3では、ボタンやレバー類が統合され、従来タイプのリモコンも使用できなくなりましたので、この点を重視されるのであれば、J2/J1を選ぶ必要があります。

「ニコンのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」

2012年12月版「ニコンのミラーレスカメラの選び方」

2012年10月版「ニコンのミラーレスカメラの選び方」


【パナソニックのミラーレスカメラの選び方】


パナソニックのミラーレスカメラの5つの特徴

 パナソニックは、オリンパスとともにフォーサーズ規格に基づくレンズ交換式デジタルカメラを展開していました。しかし、パナソニックはオリンパスとは異なり、マイクロフォーサーズ規格誕生後は、すべての新製品をマイクロフォーサーズ規格で設計しています。つまり、実質的にマウント規格の切換を行ったわけですが、そのことに対する是非はともかく、単一マウント規格に統一したことは新しいユーザーにとってわかりやすいかもしれません。

 そのため、パナソニックは、従来の一眼レフが担っていたニーズに対応する商品も、ミラーレスカメラで提供しなければなりません。オリンパスのミラーレスカメラが、当初は小型軽量モデルに特化していたのに対し、パナソニックは必ずしも小型化最優先で設計していない製品もラインアップに含めている、という違いとなってあわられていました。その後、オリンパスからも電子ビューファインダーを内蔵したOM-D E-M5がリリースされたことにより、こうした違いはやや薄れてきたと言えるかもしれません。

●パナソニックのミラーレスの特徴1:ラインアップの幅が広い

 パナソニックには、電子ビューファインダーを内蔵しているDMC-G5とDMC-GH2、内蔵していないものの外付の電子ビューファインダーに対応しているDMC-GX1、背面液晶モニターだけのDMC-GF5があり、ユーザーの幅広いニーズに対応できるようになっています。さすがに他社におけるハイエンド規格のカメラは、まだマイクロフォーサーズではリリースされていませんが、エントリーから中・上級機まで、幅広く品ぞろえされている点が、パナソニックの大きな特徴です。

●パナソニックのミラーレスの特徴2:電子ビューファインダー内蔵モデルも展開

 マイクロフォーサーズのミラーレスカメラとしては、パナソニックだけが電子ビューファインダー内蔵モデルを展開していました。オリンパスからも電子ビューファインダーを内蔵したOM-D E-M5が登場しましたが、当初から内蔵モデルと非内蔵モデルの両方を展開してきた点は、パナソニックの製品を選ぶ上でしっかりと見ておかなければならない点です。
 液晶モニターの高画素化や視認性等の性能が上がっているものの、やはりファインダーを使ってしか撮影できないシーンも少なくありません。その場合、外付電子ビューファインダーでも対応できますが、内蔵タイプのファインダーにはしっかりとカメラをホールディングできるメリットがあります。

●パナソニックのミラーレスの特徴3:ミラーレスでは平均的なセンサーサイズ

 マイクロフォーサーズのイメージセンサーは、フォーサーズ規格と同じ4/3型となります。センサーサイズを比較すると、ソニーが採用しているAPS-Cサイズの約6割、ニコン1の約1.8倍となり、両者のちょうど中間的なセンサーサイズであるといえます。


(緑色がマイクロフォーサーズの4/3型センサー)

●パナソニックのミラーレスの特徴4:動画撮影機能を重視。

 パナソニックの現行機種は、すべてフルHD動画の撮影が可能です。また、DMC-GF3ではモノラルマイクでしたが、後継機のDMC-GF5を含む現行機種すべてが、ステレオマイクも内蔵しています。パナソニックは、マイクロフォーサーズ規格の業務用HDカメラレコーダーもリリースしており、静止画と同様に動画撮影も重視した製品となっています。

●パナソニックのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で実現

 パナソニックはオリンパスと異なり、本体には手振れ補正機能が搭載されていません。そのため、手振れ補正機能を有するレンズとの組み合わせでのみ、機能を利用できます。理由はソニーと同様に、イメージセンサーの排熱対策からではないかと思われます。ボディ内手振れ補正方式ではセンサー自体が動くため、センサーユニットに大型のヒートシンクを付けることは難しく、とくに動画撮影時にはオーバーヒートする危険性が高くなります。これに対し、レンズ方式ではイメージセンサーをボディ筐体金属に密着させることもでき、排熱対策が容易となるためです。

パナソニックのミラーレスカメラの選び方

 それでは、どのような点に着目してオリンパスの3機種から選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。

●「とにかく小型軽量なカメラが欲しい」方に、DMC-GF6/DMC-GF5

 パナソニックのラインアップの中で、最小最軽量で、かつ最廉価なのが、DMC-GF5です。画素数こそ有効1210万画素と、他機種よりも少ないものの、実質的な描写力は遜色ありません。また小型ではあるものの、他機種同様、内蔵フラッシュやタッチパネル液晶も搭載しています。

●「普段は気軽に、時にはこだわりたい」方に、DMC-GX1

 上面がフラットなボディの中に、DMC-G3と同様の機能を搭載したのがDMC-GX1です。最新機種ということもあり、画質も最高レベルとなっています。DMC-GX1は外装の質感にもこだわっており、レンズ交換式の高級コンパクトカメラのような趣もあります。普段は気軽に撮影し、こだわった撮り方にも対応できるのがDMC-GX1です。

●「どんなシーンでも安心して撮影したい」方に、DMC-GX7/DMC-G6/DMC-G5


 一般的なデジタル一眼レフの形をしているため、どのようなシーンでも安心して撮影することができます。とくに電子ビューファインダーを内蔵しており、カメラを安定的に保持することも可能です。とはいえ、カメラのサイズはコンパクトですので、ミラーレスカメラの特徴である「小型軽量」を楽しむこともできます。前機種のDMC-G3からデザインが一新されるとともに、液晶モニターが高精細化されるなど、よりブラッシュアップされたカメラに仕上がっています。

●「動画撮影の機会が多く、重視したい」方に、DMC-GH3/DMC-GH2


 ボディ形状はDMC-G3と似ていますが、しっかりとしたグリップをはじめ、全体にひとまわり大きくなります。DMC-GH2は特に動画撮影を視野に入れたカメラで、フルHD動画対応はもちろんのこと、高速なオートフォーカスも搭載しています。静止画を撮影する機会と同じくらい動画撮影を考えているのであれば、DMC-GH2が最適なカメラとなります。

「パナソニックのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もぜひご覧ください。


富士フイルムのミラーレスカメラの選び方】


 富士フイルムのミラーレスカメラの5つの特徴

 富士フイルムは画質を重視したデジタルカメラ「Xシリーズ」の一環として、2012年2月にミラーレスカメラX-Pro1を市場に投入しました。発売時点で3本の単焦点レンズをリリースし、さらにズームレンズを含む7本のレンズのロードマップを明らかにするなど、マイクロフォーサーズ陣営やソニーEシリーズに次き、急ピッチでシステム強化が進められようとしています。Xシリーズ1号機であるFinePixX100が登場した2011年3月時点では、ここまで全面的にシーリーズ強化が進められるとは、正直予想しませんでしたので、まさに「嬉しい誤算」と言えそうです。

 2012年11月には、新たにX-E1も販売開始となる予定です。こちらはファインダーを一般的な電子ビューファインダーにすることで小型軽量化するとともに、価格面でも期待できそうです。


富士フイルムX-Pro1

●富士フイルムのミラーレスの特徴1:レンズ交換式カメラはミラーレスのみ展開

 富士フイルムは社名の通りフィルムをはじめとする感材メーカーというイメージが強いですが、フィルム時代にはコンパクトカメラだけでなく一眼レフ等のレンズ交換式カメラもラインアップしていました。カメラ市場の重点がデジカメ移行してからは、ニコンからボディ供給を受けたFinePixSシリーズを除き、コンパクトカメラだけを展開してきました。そのため、たとえばネオ一眼タイプも常にカタログに掲載されているなど、幅広い品揃えが特徴だったと言えます。
 その富士フイルムが、改めてレンズ交換式カメラ市場に再投入したのがX-Pro1やX-E1などのミラーレスカメラとなります。おそらく今後も含め、レンズ交換式カメラはミラーレスカメラだけで展開していくことになると思います。その分、経営資源が重点的に注がれることが期待できます。リリース時点からレンズのロードマップを発表したのも、そうした意気込みのあらわれでしょう。

●富士フイルムのミラーレスの特徴2:大型イメージセンサーを搭載

 X-Pro1やX-E1が搭載するXマウントは、一般的なデジタル一眼レフが搭載しているAPS-Cサイズのイメージセンサーを搭載しています。現行のミラーレスカメラの中では最大サイズのセンサーであり、高い描写性能を実現しています。また、ローパスフィルターを搭載しないとともに、6X6型のカラーフィルターを用いるなど、解像感が高くモアレや偽色の発生を抑制した画像が得られます。


 一般的なデジカメでは2x2の画素を単位としたカラーフィルターを搭載していますが、富士フイルムは6X6の画素を単位としたフィルターのため、非周期性が高く、モアレの発生が軽減されます。また、縦横方向に必ずRGBのすべての画素が存在するため、偽色の発生も抑えることが可能となっています。

●富士フイルムのミラーレスの特徴3:ファインダーを内蔵

 X-Pro1では、FinePixX100のハイブリッドビューファインダーをさらに複数画角に対応させたハイブリッドマルチビューファインダーが搭載されています。これは、電子ビューファインダーと実像式光学ファインダーを切り替えられる構造となっており、クリアーに見えるだけでなく実用性も高いファインダーです。X-E1では、一般的な電子ビューファインダーのみとなりましたが、それでも0.5型236万ドットの大型高精細タイプが搭載されており、やはりトップレベルの見え方が確保されています。

●富士フイルムのミラーレスの特徴4:ハイクラス製品のみを展開

 富士フイルムが発表したレンズロードマップによれば、2013年までに単焦点レンズ7本、ズームレンズ3本の計10本の交換レンズがリリースされます。他社のミラーレスカメラでは、標準的な明るさのズームレンズが基本で、これに描写性を重視したレンズが加えられる、というラインアップ方式であるのと対照的です。また、ズームレンズもいわゆる一般的なキットレンズよりも明るいレンズとなっています。こうしたレンズの品揃えを見ますと、おそらくこれからもハイクラスの製品が重点的に揃えられていくものと思われます。

●富士フイルムのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で対応

 富士フイルムのカメラボディには手振れ補正機能は搭載されていません。そのため、もし手振れ補正機能を使いたいのであれば、対応しているレンズを選択する必要があります。現在発表されている10本のレンズのうち、手振れ補正機能を搭載しているのは3本のズームレンズのみとなります。この点は留意が必要です。

富士フイルム X-Pro1 詳細レビュー記事はこちらをご参照ください。

富士フイルム X-E1 詳細レビュー記事はこちらをご参照ください。

富士フイルム X-M1 詳細レビュー記事はこちらをご参照ください。


ペンタックスのミラーレスカメラの選び方】


ペンタックスのミラーレスカメラの5つの特徴

 ペンタックスは、オリンパス、パナソニック、ソニーに続き、4番目にミラーレスカメラに参入しました。2011年8月に登場したQと、2012年3月登場のK-01の2つの製品が展開されています。

 ペンタックスのレンズ交換式デジタルカメラの特徴は、Qのような小型モデルだけでなく、APS-CサイズのK-5やK-r、さらには中判モデルである645Dと、幅広いラインアップを展開している点にあります。
 ペンタックスが新たにリリースしたK-01は、デジタル一眼レフのマウントはそのままに、ファインダーとミラーボックスを取り除いて小型軽量化したモデルです。今までにないミラーレスカメラへのアプローチであり、今後の展開が注目されます。今のところは、ミラーボックスの部分が単なる空洞となっていますが、今後バックフォーカスの短い専用レンズも予定されており、トータルシステムとしてはさらに小型化されることが期待されます。いずれにせよ、既存のレンズ資産がそのままの形で利用できる点は、大きなポイントになると思います。

●ペンタックスのミラーレスの特徴1:小型軽量重視と画質重視の2ライン

 ペンタックスの展開しているミラーレスカメラは、他社を含めダントツで小型軽量なQと、ミラーレスカメラの中でトップレベルの画質となるK-01であり、この2機種は両極端ともいうべき特徴をもっています。いうまでもなく、ペンタックスQは、レンズ交換式カメラの中で、世界最小最軽量となります。そして、今後もQマウントを搭載したカメラ以外で、この記録を更新するカメラは当分出てこないと思われます。レンズを付けたまま気軽にポケットに入れられるカメラということであれば、最適なカメラとなります。

●ペンタックスのミラーレスの特徴2:Q 趣味性を重視したカメラ

 ペンタックスQは小型ボディではありますが、マグネシウムボディやモードダイヤルの採用、純正アクセサリー類の用意など、趣味性にも配慮したカメラとなっています。その意味では、レンズ交換式デジタルカメラを小型化したという意味付けだけでなく、趣味性のあるカメラを追求した結果レンズ交換式になった、といった表現もできるカメラです。

 なお、2012年9月に開催されたフォトキナで、後継機Q10が登場しました。Qからデザインが一新されカラーコーディネートが可能になるとともに、高感度性能とオートフォーカススピードが向上しています。10月中旬から順次発売が予定されています。

ペンタックス Q7 詳細レビュー記事はこちらをご参照ください。


●ペンタックスのミラーレスの特徴3:K-01 デジタル一眼レフと同じレンズ

 ペンタックスK-01の特長は、ペンタックスのデジタル一眼レフ用のレンズがそのまま使える点です。マウントアダプターなしに同じ画角の撮影ができるカメラボディとして、ペンタックスのデジタル一眼レフとシームレスに使うことが可能です。K-01のミラーボックスは単なる空洞となっていますが、今後はこの空洞を生かした専用小型レンズもリリースが予定されているようです。

●ペンタックスのミラーレスの特徴4:手振れ補正機能はカメラ側で実現

 ペンタックスQとペンタックスK-01は、どちらもボディ内手振れ補正方式を採用しています。そのため、ペンタックス用のすべてのレンズで手振れ補正を活用した撮影が可能です。また、ボディ内手振れ方式は、回転方向の手振れにも対応可能ですので、より効果的な補正効果が期待できます。

●ペンタックスのミラーレスの特徴5:マルチフォーマット

 ペンタックスQは1/2.3型イメージセンサー、ペンタックスK-01はAPS-Cサイズのイメージセンサーと、サイズだけ見ても大きく異なるラインアップとなっています。また、ペンタックスは国内メーカーで唯一中判デジタルカメラを展開している企業であり、もともとマルチフォーマットに対する経験が蓄積されている会社でもあります。これからも、35mmフルサイズをはじめ、新たなフォーマットの製品を展開する可能性も少なくないと思います。

「ペンタックスのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もぜひご覧ください。