描写力チェック1:高感度性能
サイバーショットDSC-RX100M3の基本感度はISO125で、ISO12800まで設定可能となっています。これに加えて拡張設定でISO80、ISO100に設定することもできます。前機種のDSC-RX100M2は基本感度がISO160でしたので、M3では低感度側に拡張されています。
ノイズ低減処理方法としては、カメラ内での設定と、RAWで撮影しパソコン上での現像段階で行う方法があります。なお、カメラ内で設定した場合でも、RAWファイルには変更は加えられません。
カメラ内でのノイズ低減は、撮影メニューの中にある「高感度ノイズリダクション」と「長秒時ノイズリダクション」の設定で行います。
「高感度ノイズリダクション」は「切」「弱」「標準」の3種類があります。DSC-RX100M2では「切」の代わりに「強」がありましたが、カメラのクラスを考えるとM3方式の方が使い勝手が良いと思います。「長秒時ノイズリダクション」は「入」と「切」のどちらかを設定します。「入」にすると、1/3秒以上のシャッタースピードの場合、ノイズ軽減処理が行われることになります。
DSC-RX100M3に搭載されている1型イメージセンサーの画素数はDSC-RX100M2と同じ総画素数2090万画素、有効画素数2020万画素の裏面照射型CMOS「ExmorR」です。M2の「弱」「標準」をM3のものと比較すると、画像処理エンジンが強化されたためか、僅かながら高感度性能の向上を実感しました。
高感度ノイズ低減処理を「切」にすると、ISO400まではほとんどノイズ感はありません。ISO800あたりから徐々にノイズ感が出てきますが、ISO1600あたりまではそのままで常用可能であると思います。ISO3200になると、ぐっとノイズが増えますが解像感の低下はそれほど大きくありません。それ以上になると、「切」では活用方法に工夫が必要であると感じました。
高感度ノイズ低減を「弱」にすると2段分程度ノイズが低減化されます。とくに高感度側で改善がされるため、ややノイズ感はあるもののISO6400でも等倍画像で活用可能であると感じました。解像感の低下もそれほど目立ちません。
高感度ノイズ低減を「標準」(出荷状態)にすると、さらに1段程度ノイズ感が軽減されます。やや解像感が低下しているものの、ISO12800の等倍画像でも活用可能なノイズレベルであると思います。
テストをした実感としては、ISO25600の設定も欲しいくらいのノイズ感であり、このあたりはDSC-RX100M2と同様です。
下記のサンプルは、高感度ノイズ低減を「切」、「弱」、「標準」の3段階で各ISO感度の撮影を行ったものとなっています。表示画像はほぼ等倍画像ですが、クリックすると全体画像が表示されますので、あわせて比較をしていただければと思います。

サンプル画像。左下の赤枠の部分を切り出しています。
画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
ISO080
(「切」「弱」「標準」)

ISO125
(「切」「弱」「標準」)

ISO200
(「切」「弱」「標準」)

ISO400
(「切」「弱」「標準」)

ISO800
(「切」「弱」「標準」)

ISO1600
(「切」「弱」「標準」)

ISO3200
(「切」「弱」「標準」)

ISO6400
(「切」「弱」「標準」)

ISO12800
(「切」「弱」「標準」)

描写力チェック2:歪曲収差
ソニー サイバーショット DSC-RX100M3は、35mm換算で24-70mm、光学2.9倍ズームレンズを搭載しています。開放F値はF1.8-2.8と明るいレンズですが、ズーム全域で歪曲収差は極めて良好に補正されていました。このあたりは初代DSC-RX100やDSC-RX100M2と同じです。
コンパクトカメラの場合、電子的な補正がかけられているかどうか公表されていないケースが多いですが、おそらくDSC-RX100M3でも電子的な補正が加味されているものと思われます。
なお、カメラ内にレンズの収差補正に関する設定項目はありません。
8.8mmF1.8(24mm相当)
10.2mmF2.5(28mm相当)
12.8mmF2.8(35mm相当)
18.5mmF2.8(50mm相当)
25.7mmF2.8(70mm相当)
描写力チェック3:解像力
解像力テストでは、イメージセンサーとレンズの両方の実力が試されることになります。いつもの通りISO12233準拠チャートを使用して解像力チェックを行いました。今回、24-70mm相当F1.8-2.8という明るいレンズに変わったことで、描写性能の低下が起きているのではないかと危惧しましたが、実際にチェックしてみると、解像力の点でも有効2020万画素を活かした素晴らしい描写性能力を示しています。今までのRX100シリーズと同様、コンパクトカメラとしてはトップレベルの解像力となっています。
画像中心部に関しては、広角端から望遠端まで、絞り開放で2500本のラインも楽々と識別できました。広角端から望遠端に移るにつれ、やや解像力は低下するものの、それでも望遠端でも素晴らしい解像力となっています。とくに開放端で1段程度絞った画像は、APS-Cサイズのセンサー搭載機と互角に渡り合えるレベルとなっています。
画像周辺部に関しては、中心部と比べるとやや画像が甘くなります。広角端では2〜3段程度絞ると、かなり鮮明度が上がります。レンズが広角側にシフトしたことで、広角端画面周辺部の解像感はM2のレンズに譲りますが、それでも画像が流れているわけではありませんので絞り開放でも十分活用できる描写性能であると思います。
標準域あたりになると1段程度、望遠端では絞り開放から画面周辺まで鮮明な画像となっています。M2の70mm相当と比較すると、レンズが明るいにもかかわらず、絞り開放ではM3の方が鮮明な画像であると感じました。
なお、下記のテストチャートは、中央部と左上を切り出したものです。画像は等倍ですが、クリックすると元データ全体も表示されます。

ISO12233準拠チャート。中央と左上の赤枠の部分を切り出
してある。画像をクリックすると、元画像の全体が開きます。
8.8mm F1.8 (35mm換算24mm相当)

8.8mm F2.5 (35mm換算24mm相当)

8.8mm F3.5 (35mm換算24mm相当)

8.8mm F5.0 (35mm換算24mm相当)

8.8mm F7.1 (35mm換算24mm相当)

18.5mm F2.8 (35mm換算50mm相当)

18.5mm F4.0 (35mm換算50mm相当)

18.5mm F5.6 (35mm換算50mm相当)

18.5mm F8.0 (35mm換算50mm相当)

25.7mm F2.8 (35mm換算70mm相当)

25.7mm F4.0 (35mm換算70mm相当)

25.7mm F5.6 (35mm換算70mm相当)

25.7mm F8.0 (35mm換算70mm相当)

機能チェック(おまけ):連続撮影枚数
ソニーによると、サイバーショット DSC-RX100M3の連写性能は次の通りです。
- 速度優先連続撮影時:最高10コマ/秒。
- 連続撮影時:最高2.9コマ/秒(AF-S時)。
使用したメモリーカードは高速タイプのものです。
(SanDisk ExtremePro Class10 Read 95MB/s Write 90MB/s)
【DSC-RX100M3の連写性能と連続撮影可能枚数】
|
RAW+JPEG(ExtraFine L) |
RAW |
JPEG(ExtraFine L) |
速度優先連続撮影 |
6.8コマ/秒で24枚連写。その後は概ね1.3コマ/秒のペースで容量一杯まで連写。 |
6.8コマ/秒で26枚連写。その後は概ね1.9コマ/秒のペースで容量一杯まで連写。 |
10コマ/秒で47枚連写。その後は概ね1.9コマ/秒のペースで容量一杯まで連写。 |
連続撮影 |
2.8コマ/秒で36枚連写。その後は概ね1.3コマ/秒のペースで容量一杯まで連写。 |
2.8コマ/秒で52枚連写。その後は概ね1.9コマ/秒のペースで容量一杯まで連写。 |
3.3コマ/秒で78枚連写。その後は概ね1.9コマ/秒のペースで容量一杯まで連写。 |
※上記のテスト結果は、撮影環境や被写体によっても左右されます。
DSC-RX100M3では、とくに連続撮影可能枚数が大幅に強化されています。この点だけでも、DSC-RX100M2やDSC-RX100から買い替える価値があるかもしれません。
一番データ容量が大きいRAW+JPEGでも、速度優先連続撮影で24枚、通常の連写時であれば36枚の撮影が可能です。初代や二代目では概ね10枚前後でしたので、2倍から3倍も増えており、レンズ交換式カメラと同等レベルとなっています。また、バッファーメモリーが一杯になった後の連写速度も2倍以上高速化されており、撮影時に感じるストレスが大幅に緩和されています。連写性能を数値で比べるとあまり変わっていないように見えますが、実際に並べて使ってみるとキビキビとした動作感に大きな違いが感じられると思います。
なお、バッファーが一杯になっても停止せずに連写できますし、撮影後のバッファー開放も速いため、使い勝手は良好だと思います。
【参考:同環境でのDSC-RX100M2、DSC-RX100の連写性能と連続撮影可能枚数】
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RAW+JPEG(Fine L) |
RAW |
JPEG(Fine L) |
DSC-RX100M2 |
速度優先
連続撮影 |
5.1コマ/秒で8枚連写。その後は概ね1.5秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
5.1コマ/秒で9枚連写。その後は概ね1.3秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
10コマ/秒で9枚連写。その後は概ね1秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
連続撮影 |
2.3コマ/秒で9枚連写。その後は概ね1.5秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
2.4コマ/秒で12枚連写。その後は概ね1.3秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
2.9コマ/秒で13枚連写。その後は概ね1秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
DSC-RX100M |
速度優先
連続撮影 |
5.1コマ/秒で8枚連写。その後は概ね1.7秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
5.1コマ/秒で9枚連写。その後は概ね1.3秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
10コマ/秒で9枚連写。その後は概ね1秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
連続撮影 |
2.1コマ/秒で9枚連写。その後は概ね1.7秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
2.1コマ/秒で12枚連写。その後は概ね1.3秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
2.6コマ/秒で13枚連写。その後は概ね1秒毎に1コマのペースで容量一杯まで連写。 |
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