ミラーレスカメラの明確な定義はありませんが、前項では次のように整理しました。
条件1:レンズ交換式であること。
条件2:ミラーレスであること。
条件3:描写力に力を入れていること。
それでは、ミラーレスカメラについて、さらに掘り下げて特徴と仕組みを見てみたいと思います。少々難解な言葉もでてくるかもしれませんが、カメラが得意とする使い方を知っているかどうかで、写真の出来も大きく変わってきます。できるだけわかりやすく表現しますので、しばらくの間お付き合いをお願いします。
ミラーレスカメラの特徴
はじめてのミラーレスカメラは、2008年10月に発売となったパナソニックLUMIX DMC-G1です。当時、必ずしも順風満帆ではなかったフォーサーズ陣営から、起死回生の切り札として発表されたカメラでした。振り返ってみれば、それからまだ5年しか経っていないことに、改めて驚きを禁じえません。
ミラーレスカメラの市場を切り開いたパナソニック LUMIX DMC-G1
ミラーレスカメラの最大の特徴は、「レンズ交換式カメラとしては小型である 」点にあります。なぜ、ミラーレスカメラが小型化できたのかといえば、一眼レフカメラにおいて必須だったミラー(レフレックス)とミラーボックスを無くしたからに他なりません。
レンズ交換式カメラにおいて、レンズを装着する基準面となるマウントと、イメージセンサーとの間の距離をフランジバック といいますが、ミラーが回転するスペース分、つまり最低でもミラーの縦長分は間を開ける必要があります。フランジバックが比較的短かったキヤノンEFマウントで44mm、フォーサーズマウントでも38.67mmとなっており、ボディサイズが厚くなる一番の要因でした。
同じサイズのイメージセンサーを搭載したEOS M(左側)とEOS Kiss X6i(右側)。ボディが小型化されただけでなく、レンズを含めたシステム全体がコンパクトになっています。(どちらも18-55mmの標準ズームレンズを装着)。
フランジバックが短くなると、レンズ設計の自由度も上がります。とりわけ焦点距離の短い広角系のレンズでは、ミラーと干渉しないように焦点位置をできるだけ後ろにずらすことが必要であり、レンズ設計上の制約となっていました。ミラーレスカメラ用レンズではこうした制約がなくなるため、結果的に高性能のレンズをよりコンパクトに作ることが可能になりました。
ミラーレスカメラが小型化されたのと同じ理由で、デザイン面での自由度も大きく広がりました。「コンパクトカメラの画質からステップアップしたいものの、一眼レフのような本格的カメラではちょっと」というユーザーは少なくありませんでしたが、こうした潜在的ユーザーのニーズにマッチしたのです。ミラーレスカメラが急速に広がったのは、単にカメラが小型化されたというだけでなく、「いかにもカメラ」的でない高画質カメラが実現できたことも大きく関係しています。
市場拡大に貢献したオリンパス PEN E-P1
実際に、ミラーレスカメラ初代のDMC-G1は、既存の一眼レフを小型化したデザインでしたが、次のDMC-GF1やオリンパスのPEN E-P1は上面がフラットなデザインとなり、これらの機種の登場をきっかけに、ミラーレスカメラが爆発的に売れはじめました。
ミラーレスカメラの仕組み
ミラーレスカメラの基本的な構造は、コンパクトカメラをレンズ交換式に変えたものです。下図は前に掲載したミラーレスカメラの模式図ですが、これを見てもレンズ交換機構の有無以外は、コンパクトカメラと同じであることがわかると思います。
被写体からくる光は、すべてイメージセンサーに導かれ、イメージセンサーで得られた画像情報を、背面の液晶モニターや電子ビューファインダーに表示させ、構図やピントの確認をします。
実は、こうした仕組みは、最近の一眼レフでも一部取り入れています。いわゆる「ライブビュー機能」や動画撮影機能がそれです。ライブビューや動画撮影では、被写体からの光をイメージセンサーに導かなければなりませんので、ミラーを上に跳ね上げた状態で被写体を確認することになります。
ミラーレスカメラの構造は、レンズ交換式である点以外はコンパクトカメラと同じ。
ミラーレスカメラの長所
ミラーがなくなったことにより、小型化できる。
光学ファインダーを必要としないため、小型化できる。
カメラ上面をフラットにするなど、デザイン面での自由度が高まる。
一眼レフのようなミラー動作機構がないため、コスト削減がしやすい。
ミラー動作がないため、音が小さくブレにくくなる。
静止画撮影と動画撮影をシームレスに行うことができる。
常にイメージセンサーが被写体からの光を受けているため、顔認識など画像認識機能を働かせられる。
光学ファインダーと比較すると、電子ビューファインダーはコスト削減がしやすい。
記録される画像を確認しながら撮影することができる。(デジタル一眼レフのライブビュー撮影でも可能。)
イメージセンサーの高感度特性が向上するに伴い、肉眼では識別できないような暗いシーンも視認できる。(デジタル一眼レフのライブビュー撮影でも可能。)
フランジバックが短くなるため、レンズの設計が容易になるとともに、レンズを含めたシステム全体の小型化が可能。
ミラーレスカメラの短所
電子ビューファインダーは改善されてきているが、最高品質の光学ファインダーの見え方には届いていない。
改善されてきているものの、電子ビューファインダーに特有のタイムラグや撮影時の暗転がある。
電子ビューファインダーが搭載されていない機種では、動体の撮影がしにくいとともに、手振れがしやすくなる。
ミラーを内蔵していなかったため、位相差方式オートフォーカスを搭載できず、デジタル一眼レフと比べオートフォーカス動作が遅かった。しかし、コントラスト方式のオートフォーカススピードもかなり改善されてきたとともに、イメージセンサー自体に位相差方式センサーを組み込んだ製品も増えてきている。
小型化にはレンズマウントの変更が必須であり、今までのレンズ資産をそのままでは利用できない。(各社とも、自社デジタル一眼レフ・レンズ用のマウントアダプターを用意しています。)
ミラーレスカメラと一眼レフカメラの違い
ミラーレスカメラと一眼レフカメラとの違いを改めて整理すると、次のようになります。
一眼レフカメラには光学ファインダーがあるが、ミラーレスには光学ファインダーがない。
ミラーレスカメラには電子ビューファインダーを内蔵していたり、搭載できるものもある。
一眼レフカメラよりもミラーレスカメラの方が、小型・軽量である。
一眼レフカメラよりもミラーレスカメラの方が、廉価となる場合が多い。
ミラーレスは新しいシステムのため、現時点でのレンズ選択の余地は、あまり広くない。
ミラーレスカメラEOS M(左側)とデジタル一眼レフEOS Kiss X6i(右側)。
ミラーレスカメラの方が一眼レフより適している7つのケース
コンパクトカメラの画質には少々物足りなさを感じているが、一眼レフのような本格的なカメラには少々抵抗感がある。
できるだけ小型軽量のカメラであってほしい。
被写体の負担にならないよう、できるだけ静かに撮影したい。
本格的なレースや、極めて激しく動き回るスポーツなどは、あまり撮影しない。
静止画と同じように動画撮影も楽しみたい。
ファインダーはなくても構わない。あるいは電子ビューファインダーでも違和感を感じない。
できるだけ安価に一式揃えたい。
一眼レフの方がミラーレスカメラより適している7つのケース
大口径レンズや超望遠レンズなど、様々なレンズを楽しみたい。
本格的なレースや、極めて激しく動き回るスポーツも撮影したい。
大きさ、重さはあまり気にならない。
光学ファインダーならではのクリアな視界が好きだ。
レンズ交換式カメラの中でハイエンドの機能や性能の機種が欲しい。
動画も撮影するものの、メインは静止画。
ミラーレスカメラとコンパクトの違い
ミラーレスカメラとコンパクトとの違いを改めて整理すると、次のようになります。
コンパクトカメラはレンズ交換できないが、ミラーレスカメラはレンズ交換可能。
ミラーレスカメラの方が、オールラウンドに使用できる。
コンパクトカメラの方が、小型・軽量である。
コンパクトカメラの方が、廉価となる場合が多い。
ミラーレスカメラの方が、全般的に動作スピードが速くテンポよく撮影できる。
ミラーレスカメラは、外付フラッシュやGPSユニットなど、アクセサリー類が豊富にある。
高級コンパクトDMC-LX7(左側)とミラーレスカメラEOS M(右側)。
ミラーレスカメラの方がコンパクトカメラより適している7つのケース
ボケを生かした写真など、よりこだわった撮影も楽しみたい。
よりよい画質の写真を撮影したい。
ちょっと暗い場所でも撮影する機会が多い。
外付フラッシュなどを使いたい。
一台のカメラをあらゆる場面で徹底的に使いこなしたい。
スポーツなどの写真を撮る機会が多い。
なにしろ安く、というほどには予算にこだわらない。
コンパクトカメラの方がミラーレスカメラより適している7つのケース
大きくのばしてプリントする機会はそれほどない。
何が写っているかがわかることが重要。
ポケットに入るくらいのサイズが良い。
テンポよく撮影できることは、それほど重視しない。
動き回るものは、あまり撮影しない。
なにしろ安く揃えたい。
防水カメラ、超望遠カメラなど、特化した使い方をメインに考えている。
最近では、ミラーレスカメラコーナーを設けているカメラ売り場も増えてきました。各社から販売されている多様なミラーレスカメラを目にすると、いったいどの機種を買うのが良いのか迷ってしまうことと思います。しかし、意外とミラーレスカメラの選択は難しくはありません。ここでは、ミラーレスカメラの選択にあたって、どういうポイントに着目したらよいのかを整理したいと思います。
まず、ミラーレスカメラを大きく分類すると、
◎小型化を最優先に設計されたもの。
◎カメラとしての機能性を重視したもの。
◎一眼レフに準じた操作性を持たせたもの。
の3つに大別されます。これらの条件は関連してはいますが、必ずしも相反するわけではないことに注意が必要です。
形状の違い:電子ビューファインダーを内蔵しているか
ミラーレスカメラの特長の一つは、より自由にボディデザインを設計できるということです。その自由度を、小型軽量なカメラを実現する方向に向けていくのかどうか、という点で、カメラの方向性が大きく異なってきます。それを判断する試金石ともいうべきものが、電子ビューファインダーの有無となります。
内蔵式の電子ビューファインダー(Nikon 1 V1)。
具体的には、電子ビューファインダーを搭載しているミラーレスカメラは、小型化最優先で設計されていないということを示しています。といっても、単に電子ビューファインダーの分だけ小さいということではなく、カメラの基本設計全体にかかわってくるのです。小型化の扱いは、カメラの性格付けを大きく分ける特徴でもありますので、ミラーレスカメラを選択するに当たっては、まず電子ビューファインダーの有無に着目する必要があります。
機能の違い:電子ビューファインダー機能を利用できるか
もう一つの視点が、電子ビューファインダー機能を利用できるか、という機能面での違いとなります。上記の「形状の違い」では電子ビューファインダーを内蔵しているかどうか、が見分けるポイントと述べましたが、機能面での違いでは、機能として電子ビューファインダーを利用できるかどうかがポイントとなります。
もちろん、電子ビューファインダーを内蔵しているカメラは、当然電子ビューファインダー機能を利用できます。しかし、内蔵していない機種でも、外付の電子ビューファインダーに対応しているミラーレスカメラは少なくありません。そして、電子ビューファインダーの機能を利用できるミラーレスカメラは、基本的にカメラとしての機能面も重視した設計がされています。
インターフェースの違い:コマンドダイヤルを搭載しているか
3つめの視点が、インターフェースの違いです。これについては、やはりコマンドダイヤルを搭載しているかどうかという点で、ある程度の判別が可能です。コマンドダイヤルは、一眼レフタイプのカメラには必ずと言ってよいほど搭載されたインターフェースです。コンパクトカメラでも、いわゆる上級者向けの高級コンパクトのほとんどは、コマンドダイヤルを搭載しています。
コマンドダイヤルなど直接的なインターフェース(富士フイルム X-Pro1)。
コマンドダイヤルのメリットは、ユーザーが意識的に設定を変えるとき、直接的に操作を行えるということです。逆に言えば、カメラが自動選択した設定で撮影をするのであれば、使うことのない部品となります。ですから、想定しているユーザーが、積極的に設定を選択する使い方をするのであれば、多少サイズが大きくなったりコストアップしたとしても、優先的に搭載されることになります。
3つの視点で見た各機種の位置づけ
以上の3つの視点から、6社から発売されている18種類の現行機種を分類すると、次のようになります。
(◎はコマンドダイヤル搭載機)
もし、小型なカメラを求めているのであれば、右側上下(緑色または黄色)の枠から選択することになります。高機能なカメラを求めているのであれば、上段左右(水色または緑色)の枠から選択することになります。そして、一眼レフタイプの操作性を求めているのであれば、◎のついたカメラが希望するカメラとなるわけです。
たとえば、小型で多機能、一眼レフに準じたインターフェースのカメラ、ということでは、オリンパスのE-P5、E-PL6、パナソニックのGX1に、まず絞り込めることになります。
なお、ペンタックスのQ-S1とK-01については、この分類では例外的な位置づけとなります。Q-S1は、本来であれば、電子ビューファインダーに対応する性格のカメラですが、おそらくサイズ面での制約から、それを見送ったのだろうと思われます。また、K-01は、一眼レフのマウントをそのままに、小型軽量化を目指したカメラで、新しいミラーレスのあり方となるかもしれません。上の表では、わかりやすいよう黄色の枠の中に入れてありますが、ポジションとしてはどちらも緑色のところに該当するカメラであると考えてよいと思います。
また、ここには掲載しませんでしたが、ソニーのレンズカメラ、αQX1 ILCE-QX1もミラーレスカメラに含められるかもしれません。液晶モニターは内蔵していませんが、カメラとしての基本性能はEマウントのソニー・ミラーレスカメラと同等です。
ソニーのレンズスタイルカメラ ILCE-QX1。Eマウントレンズを使用します。
オリンパスのミラーレスカメラの5つの特徴
オリンパスは、次に紹介するパナソニックとともに、フォーサーズ規格に基づくレンズ交換式デジタルカメラを展開していました。2003年に登場したフォーサーズ規格は、従来の一眼レフと同様のカメラ構造を想定していましたが、これのミラーレス版がマイクロフォーサーズ規格です。イメージセンサーはフォーサーズ規格と同じ4/3型ですが、マウント自体は小型化されています。現時点では、オリンパス、パナソニック以外にも、ライカ、コシナ、シグマ、ケンコー・トキナー、タムロン、カール・ツァイスなどの企業が参加しています。
2008年にマイクロフォーサーズ規格が登場したのちも、オリンパスはフォーサーズ規格のカメラをリリースしていましたが、2012年3月にミラーレスの新シリーズ「OM-D E-M5 」をリリースしたことで、オリンパスもミラーレスカメラへと大きくシフトしました。その後、2013年10月には、フォーサーズのフラグシップ機「E-5 」の後継機を兼ねる「OM-D E-M1 」を登場させ、正式にミラーレスカメラへと一本化されました。現時点では、電子ビューファインダーを内蔵した機種はOM-D E-M1とE-M5、E-M10 の3機種となり、いずれも人気機種となっています。
●オリンパスのミラーレスの特徴1:小型軽量
オリンパスはフィルムカメラの時代から「小型軽量」を重視した商品展開を行っていました。電子ビューファインダーを内蔵しないPENシリーズはもちろんのこと、電子ビューファインダー内蔵機であるOM-D
E-M1やE-M5、E-M10も、かなり小型軽量なモデルといえます。
●オリンパスのミラーレスの特徴2:電子ビューファインダーに対応
オリンパスのミラーレスカメラは、すべて電子ビューファインダーに対応しています。OM-D E-M1やE-M5のように、EVFを内蔵している機種はもちろんですが、初代E-P1を除きPENシリーズの全機種も外付電子ビューファインダーを装着できるようになっています。
なお、電子ビューファインダーはアクセサリーシューに装着するため、フラッシュが外付となるE-PL5/E-PL6とE-PM1/E-PM2では、電子ビューファインダーとフラッシュを併用することはできない点に注意が必要です。
●オリンパスのミラーレスの特徴3:ミラーレスとしては平均的なセンサーサイズ
マイクロフォーサーズのイメージセンサーは、フォーサーズ規格と同じ4/3型となります。センサーサイズを比較すると、ソニーやキヤノン、ペンタックスK-01が採用しているAPS-Cサイズの約6割、ニコン1の約1.8倍となり、両者のちょうど中間的な大きさのセンサーサイズであるといえます。
(緑色がマイクロフォーサーズの4/3型センサー)
●オリンパスのミラーレスの特徴4:画質は同じ。機能面で機種間の差別化。
オリンパスのPENシリーズは、同世代の製品であれば基本的に同じイメージセンサーを搭載しており、画像処理エンジンも同じものとなっています。描写力では大きな違いはありませんので、ラインアップを構成している機種間の差は、液晶モニターの機能や連写性能、内蔵フラッシュの有無など、カメラとしての機能面にあります。
2012年3月に登場したOM-D E-M5では、有効1605万画素CMOSセンサー(ソニー製と言われています)が搭載されており、PENシリーズよりも一歩先をいくセンサーが搭載されていました。しかし、これはOM-D E-M5がPENシリーズの上位機種だからではなく、製品開発時期がより新しいためです。実際に、2012年10月にはPEN Lite E-PL5やPEN mini E-PM2が同じイメージセンサーを搭載してリリースされました。2013年10月に登場したOM-D E-M1では、さらに新しいイメージセンサーを搭載しましたが、今後出てくるPENシリーズの後継機でも採用されると思われます。
●オリンパスのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はカメラ側で実現
オリンパスは、フォーサーズ規格のカメラを含め、手振れ補正機能はすべてカメラ側で実現しています。そのため、パナソニックのレンズを含め、どのレンズを装着しても、手振れ補正機能を働かせることができます。なお、手振れ補正機能を内蔵しているレンズを使用する場合には、ボディ側かレンズ側どちらかの手振れ補正機能だけを使用することが推奨されています。
オリンパスのミラーレスカメラの選び方
それでは、どのような点に着目してオリンパスの4機種から選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。
●「とにかく小型軽量なカメラが欲しい」方に、E-PM2
オリンパスのPENシリーズは、いずれも小型軽量ですが、その中でも一番薄く仕上げられているのがE-PM2です。ボディは薄いものの、基本的な撮影機能は上位機種と変わりませんので、しっかりとした撮影に使うことも可能です。また、E-PM2はコンパクトカメラと似たインターフェースとなっているため、コンパクトカメラの操作性に慣れている方も、積極的にE-PM2を選択されると良いと思います。 E-PM2は2012年10月に登場した機種のため、実売価格もかなり買いやすくなっているのも魅力的です。
●「普段は気軽に、時にはこだわりたい」方に、E-PL6 /E-PL5
E-PL5/E-PL6は自分撮り可能なチルト液晶を搭載している分、E-PM1/E-PM2よりもやや厚いカメラボディですが、サイズ自体はほぼ同じとなっています。また、E-PL5/E-PL6はE-P5と同様に、モードダイヤルをはじめ一眼レフに似たインターフェースとなっていますので、上級者にとっても使いやすいカメラです。基本的には気軽に持ち運びたいものの、時にはこだわりたい方にお勧めの機種となります。
E-PL5/E-PL6は、OM-D E-M5と同じ高い描写性能である点も魅力的です。
●「どんなシーンでも安心して撮影したい」方に、E-P5
PENシリーズのフラグシップの位置を占めているのがE-P5です。サイズはやや大きく、重さも一番重い機種ですが、しっかりとしたグリップをはじめ、長時間構えていても疲れにくいボディデザインとなっています。また、液晶モニターがタッチパネルであるとともに、フラッシュも内蔵しているなど、フラグシップ機ならではの充実した機能を持っています。どんなシーンでも安心して撮影したい方に、お勧めの機種です。
OM-D E-M5は2012年3月に、最上位機種となるOM-D E-M1は2013年10月に、そしてローエンドモデルとなるE-M10は2014年2月に登場しました。位置づけ的には、パナソニックのDMC-G6と似ていますが、今までデジタル一眼レフを使っていた方に、より小型軽量なシステムを提供するものとなっています。ファインダーを覗いての撮影に馴染まれている方は、高精細電子ビューファインダーを内蔵しているOM-Dが最適です。また、アクセサリー類が充実しているのも、OM-D
シリーズの特長と言えるかもしれません。
現時点ではどの機種も店頭に並んでいますが、E-M1はオリンパスのフラグシップ・デジタル一眼レフE-5の後継機としても位置付けられています。イメージセンサー周りが新しくなるとともに、オートフォーカスやシャッター速度などの基本性能、Wi-Fi搭載といった機能面でも強化されています。その分、若干サイズと重さが増していますが、オリンパスらしいコンパクトさは踏襲されています。
E-M5とE-M10では、位置づけ的にはE-M5の方が上位となりますが、登場時期に2年の違いがあるため、E-M10の方が使いやすくなっている点も少なくありません。E-M10は最新機種と言うことで価格的にも逆転をしていますので、基本的には予算の都合にあわせて選択されるので良いと思います。
「オリンパスのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もご参照ください。
キヤノンのミラーレスカメラの5つの特徴
国内カメラ主要メーカーとして最後にミラーレス市場に参入したのがキヤノンです。2012年9月にEOS M をリリースし、2013年11月には後継機となるEOS M2 も登場しました。今のところズームレンズ2本と単焦点レンズ1本のみとなりますが、純正レンズマウントアダプターを使うことで潤沢なEFレンズが使用可能です。また、未確認情報となりますが近いうちに電子ビューファインダーを内蔵した上級機種が登場するとの噂もあります。いずれにしても、APS-Cサイズの大型イメージセンサーを搭載し、デジタル一眼レフEOS
KissX7iと同等レベルの描写性能をもつカメラが、大幅に小型軽量化された点には驚かされました。
開発陣のインタビューでも今後ラインアップの強化が予定されており、トップクラスのメーカーとしての実力が期待されます。
●キヤノンのミラーレスの特徴1:大型イメージセンサーを搭載
キヤノンのミラーレスカメラは、PowerShotG1Xと同じ1.5型イメージセンサーを搭載するという事前情報もありましたが、実際には一般的なデジタル一眼レフと同じAPS-CサイズのイメージセンサーをEOS Mは採用しました。これはEOS Kiss X7iのものとほぼ同じもので、センサーモジュールのサイズを小さくするために基盤を小型化しているとのことでした。画像処理エンジンもDIGIC5であり、EOS Mから生み出される画像は、デジタル一眼レフと同じクオリティのものとなります。
後継機となるEOS M2では、EOS KissX7相当のイメージセンサーとなり、とくに像面位相差方式のオートフォーカス性能がEOS Mの2.3倍に高速化されています。
●キヤノンのミラーレスの特徴2:EFレンズの機能を完全に活かすマウント設計
キヤノンのEFマウントは、1987年に登場した時から完全電子制御マウントであり、物理的な連動の仕組みは使われていませんでした。今回、新たにEF-Mレンズが登場しましたが、この電子連動の仕組みを活かし、マウントアダプター経由でEFシネマレンズを除くすべてのEFレンズ、EF-Sレンズが使用できます。
EOS M(左側)とEOS Kiss X6i(右側)のマウント部。サイズは一回り違うが、爪の構造はほぼ同じ。なお、電子接点の数は、EFマウントは8点であるのに対し、EF-Mマウントは9点と1つ増えている。フランジバックは、EFマウントの44mmに対し、EF-Mは18mm。
●キヤノンのミラーレスの特徴3:センサーサイズに比較して小型なボディ
EOS Mは、APS-Cサイズのイメージセンサーを搭載していますが、ボディサイズ自体は他のミラーレスカメラとほぼ同等レベルとなっています。マイクロフォーサーズ規格のパナソニックDMC-GF6と同じサイズで、1型センサーのニコンJ3/S1よりもやや大きい程度に収まっています。
●キヤノンのミラーレスの特徴4:まずはエントリークラスでリリース
今後のロードマップは公表されていませんが、まずはエントリークラスの製品がリリースされました。このあたりは、同じくデジタル一眼レフが好調なニコンが、V1やJ1でミラーレス市場に参入したのと、似た状況かもしれません。
とはいえ、今後市場全体がよりミラーレスカメラにシフトしていく中で、徐々に上位機種についてもラインアップに加えられていくものと思われます。
●キヤノンのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で実現
キヤノンは、EOSシリーズと同様にボディ内には手振れ補正機能を搭載しませんでした。キヤノンEFレンズでは、手振れ補正に対応しているものも多いことも、ボディ内搭載を見送った理由の一つかもしれません。
手振れ補正機能を、ボディ側とレンズ側のどちらで実現するかについては、各々メリットがありますので、どの点を重視するかによります。
参考「質問箱:手ぶれ補正はボディ内の方が有利?」もぜひご覧ください。
キヤノンEOS M詳細レビュー記事はこちらをご参照ください。
「キヤノンのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もご参照ください。
ソニーのミラーレスカメラの5つの特徴
まず、ソニーのミラーレスカメラの特徴について、整理することにしましょう。
ソニーは、レンズ交換式デジタルカメラとしては、従来型の一眼レフタイプのシリーズと、新しいミラーレスのシリーズの両方を展開しています。オリンパスやパナソニックのマイクロフォーサーズ陣営以外の各社は、現時点では同じように両にらみの戦略をとっていますが、ニコンやキヤノン、ペンタックスのように、ミラーレスカメラ分野にも商品を展開し始めたメーカーなど、ミラーレスカメラの位置づけはさまざまです。
こうした中でソニーは、ちょうど中間的な立場となっています。完全にミラーレスカメラに移行しつつあるわけではないものの、開発力の少なくない部分をミラーレスカメラに投入しており、これがソニーのミラーレスカメラの特徴につながっています。
●ソニーのミラーレスの特徴1:エントリーから上級まで幅広くカバー
2013年11月にフルサイズのα7が登場するまで、ソニーのミラーレスカメラの製品ラインは、3機種で構成されていました。エントリー機となるαNEX-3N、中級機であるαNEX-5T、上級機のαNEX-7とαNEX-6というように各々の機種が位置付けられていました。こうしたミラーレスカメラの品ぞろえは、パナソニックと似ているかもしれません。つまり、ミラーレスカメラをレンズ交換式カメラの入門機としてだけ位置づけるのではなく、中・上級者のニーズにも目配りしているといえます。
こうしたソニーの立場は、今回α7がリリースされたことで、さらにクリアーになったように思います。NEXシリーズもαシリーズに名称変更され、薄型コンパクトなNEXシリーズからフルサイズまで、ミラーレスカメラで幅広くカバーするラインアップと言えます。
2014年12月には、手ぶれ補正機構を内蔵したフルサイズ・ミラーレス、α7II ILCE-7M2 が登場しました。このカメラは、実質的にαAシリーズも包含できる実力を持っており、Aマウントレンズでも手ぶれ補正が活用できる点がポイントとなります。現時点では主要なEマウントレンズは手ぶれ補正機構を搭載していますので、α7IIの手ぶれ補正機構は、むしろAマウント用のレンズを視野に入れたものであるように思われます。
【参考記事:新たなソニーの挑戦 〜いよいよ統合されるレンズシステム 】
●ソニーのミラーレスの特徴2:デジタル一眼レフと同じ大型センサーを搭載
ソニーのミラーレスカメラが搭載しているイメージセンサーは、APS-Cサイズとフルサイズのセンサーで、これは他社の製品を含め一般的なデジタル一眼レフが搭載しているものと同じセンサーです。センサーサイズが大きければ、階調性や解像力などの描写力や、高感度性能の面で有利になります。また、ボケを活かした撮影も比較的容易となります。
イメージセンサーのサイズが大きくなれば、レンズを含めたシステム全体の小型化にはマイナスとなりますが、ミラーレスカメラだからと言って画質面で妥協はしない、というのがソニーのメッセージだと思います。
●ソニーのミラーレスの特徴3:既存のレンズ資産に配慮
ソニーのミラーレスカメラは2010年6月に登場したということもあり、レンズのラインアップに課題がありましたが、徐々に充実されてきています。また既存デジタル一眼レフAマウント用のレンズの使い勝手にも配慮がされています。当初から、Aマウントレンズを装着するためのレンズアダプターを用意していましたが、Aマウントカメラと同じ位相差方式のオートフォーカスユニットを内蔵したレンズアダプターもリリースされています。このアダプターを使うことで、既存のレンズ資産をそのままαNEXシリーズで使用可能になりました。
ただし、ソニーのAマウントカメラはボディ内手振れ補正方式ですので、基本的にAマウント用レンズ自体には手振れ補正機能 がありません。α7II以外のEマウントのαシリーズはカメラ本体内に手振れ補正機能がないため、Aマウント用レンズ使用時には、手振れ補正が使えないという点に注意が必要です。
●ソニーのミラーレスの特徴4:動画撮影機能を重視
ソニーのデジタルカメラ全般に共通する部分となりますが、静止画だけでなく動画撮影機能も重視した製品となっています。現行3機種すべてがフルHD動画撮影に対応しているだけでなく、ローエンドとなるα5000とNEX-3N以外の機種ではプログレッシブ60pでの撮影も可能です。α7とα7Rはフルサイズ・60pでの撮影にも対応しています。また、すべてステレオマイクを内蔵しており、AVメーカーとしての特長を活かした製品になっています。
●ソニーのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で実現
ソニーのデジタル一眼レフAマウントカメラはボディ内手振れ補正方式でしたが、ミラーレスカメラEマウントシリーズではレンズ内手振れ補正方式へと変えられています。どちらの方式にもメリットはありますが、ミラーレスカメラでレンズ内手振れ方式に変更された理由は、ボディの薄型化とともにイメージセンサーの排熱対策からではないかと思われます。センサーシフト方式ではセンサー自体が動くため、センサーユニットに大型のヒートシンクを付けることは難しく、とくに動画撮影時にはオーバーヒートする危険性が高くなります。これに対し、レンズ方式ではイメージセンサーをボディ筐体金属に密着させることもでき、排熱対策が容易となるためです。
(手振れ補正の両方式の特長は、「デジカメ質問箱 :手振れ補正機能はボディ内の方が有利? 」をご参照ください。)
ソニーのミラーレスカメラの選び方
それでは、どのような点に着目してソニーの3機種から選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。
●「コンパクトカメラのように気軽に撮影したい」方に、α5000 / αNEX-3N
現在、コンパクトカメラを使っていて、「もう少し高画質なカメラが欲しい」と思っているのであれば、αNEX-3Nが第一候補になります。前機種のαNEX-F3よりも小型化されたため、「最小最軽量のNEX」となります。デザイン面も改善され、NEX-5Tと同等の高級感を持っています。カメラとしての基本性能もほぼ同等ですので、コストパフォーマンスの点でも良い選択です。また、フラッシュを内蔵していたり、180度回転させ「自分撮り」が容易である点もαNEX-3Nの特長です。なお、αNEX-3Nもボディ内充電方式に対応していますので、毎日持ち歩くという使い方であれば、便利だと思います。
●「普段は気軽に、時にはこだわりたい」方に、αNEX-5T
基本的にはコンパクトカメラと同じように気軽に使いたい、という点では上記パターンと同じですが、それに加えてこだわった撮影にも使ってみたい、ということであれば、αNEX-5Tをお勧めします。基本的なインターフェースはαNEX-3Nと同じですが、タッチパネル液晶を搭載しているとともに、高感度性能、連写性能もブラッシュアップされています。また、NEXシリーズの中では、小型軽量である点も魅力的です。
基本的には前機種NEX-5Rと同等ですが、Wi-Fi機能にNFCが追加されたため、対応しているスマートフォンを使われている方であれば便利に使えます。ユーザーが機能追加を行える「PlayMemories Camera Apps」も注目点です。また、NEX-3Nと同様に液晶パネルのチルト角度が広く、自分撮りもできます。さらに、ダイヤル搭載による操作性や、像面位相差方式による高速なオートフォーカス速度もポイントになります。
●「電子ビューファインダーを使いたいが予算も重視する」方に、αNEX-6
カメラとしての機能的には、NEX-5Tに電子ビューファインダーを搭載した機種と言えますが、むしろα6000やNEX-7に近い中身となっています。イメージセンサーこそ有効1610万画素ですが、オートフォーカス性能やWi-Fi機能など、新しい機種としてNEX-7を超える実力も備えています。また、同時に発売となった、16-50mmのパワーズームレンズも、小型化と描写性能を両立させてレンズとして魅力的です。
●「一眼レフのような使い勝手が欲しい」方に、α6000 / αNEX-7
いわゆる高級コンパクトカメラやデジタル一眼レフを使用していて、同じような操作性のミラーレスカメラを求めているのであれば、αNEX-7か後継機のα6000からの選択となります。電子ビューファインダーを搭載しているにもかかわらず上面がフラットなボディデザインは、今までの一眼レフとは異なる新しいカメラであることを強くアピールしています。また、背面と上面に搭載されている3つのダイヤル・ホイールは、直感的な操作を可能としており、上級者にとっても抵抗なく使えるカメラに仕上がっています。
とくにα6000は、オートフォーカスもかなり高速化されており、使い勝手の点でも改良が加えられていますので、NEX-7のデザインにこだわりがなければ、α6000をお勧めします。
●「とにかく画質を重視したい」方に、α7 /α7R /α7S
以前から噂されていた機種ですが、フルサイズのミラーレスカメラということでは世界で唯一無二の存在となります。今までのNEXシリーズが搭載していたAPS-Cサイズと比べると、面積は2倍以上となりますので、高感度性能だけでなく階調性や解像感の点でもメリットがあります。
同じフルサイズのイメージセンサであるα99と比べると、ボディだけでも2まわりサイズが違います。フルサイズに対応したFEレンズはまだ少なく、高級クラスのものを中心に揃えられていくようですが、マウントアダプターを使うことで既存のAマウントレンズも使用できます。
各々の特徴は、次の通りとなります。
α7 :24メガ画素のフルサイズ・スタンダード機。
α7R :36メガ画素のフルサイズ・高画素対応機。
α7S :12メガ画素のフルサイズ・高感度対応機。4K動画撮影にも対応(外部記録)。
α7II :24メガ画素のフルサイズ・手ぶれ補正対応機。(事項もご参照ください。)
なお、α7は「monoxAwards2013 」で「ミラーレスカメラ大賞」に選定されています。
手ぶれ補正機構を搭載したフルサイズ・ミラーレスカメラとしては、世界初となります。単にEマウントカメラに手ぶれ補正が搭載されただけでなく、AマウントレンズをAマウントαボディに装着したのと同じように使える点がポイントとなります。「Eマウントレンズも装着できるAマウントカメラ」として運用できるフルサイズ機であり、αマウントの統合を視野に入れた製品であると言えます。
Eマウントレンズもラインアップが充実してきていますが、それでも歴史のあるAマウントレンズと比較すると、まだまだ差は小さくありません。Aマウントのデジタルカメラをメインに使っていたユーザーにとって、Eマウントへの橋渡しとなるカメラです。
「ソニーのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もぜひご覧ください。
ニコン・ミラーレスカメラの新しい展開
コンスタントに充実してきたニコンのミラーレス・システム
ニコンのミラーレスカメラが登場して2年が経過しました。当初はやや伸び悩んだかのように見えましたが、積極的な価格政策も功を奏して、現在はミラーレスカメラ分野においてトップグループの一社に入っているようです。実際に、量販店のPOSデータによる販売ランキングでは、2012年に一番売れたレンズ交換式カメラはニコンJ1でした。
また、2012年11月にはV2が発売され、2013年2月には、J3とS1も登場します。その後、新製品の開発ペースをダウンさせる方針が示されましたが、2013年10月には世界初となる本格的なタフネスモデル、AW1をリリースしています。
2014年4月にはV3、J4が、そして6月にはS2が発売され、ニコン1シリーズのラインアップも新世代に変わることになります。レンズも徐々に充実してきていますので、誰にでも勧めることができるミラーレスカメラとなってきていると思います。
世界初となる本格的なタフネス性能のミラーレス、ニコン 1 AW1。
今までの商品展開を振り返ると、次のように進められてきています。
○2011年10月 ニコン1シリーズのリリース。
V1とJ1、標準ズーム、望遠ズーム、薄型広角レンズ、高倍率パワーズームの4本のレンズが登場。
○2012年9月 新型ボディとレンズのリリース。
J2と小型標準ズームが登場。
○2012年11月 新型ボディとレンズのリリース。
V2と標準レンズが登場。
○2013年2月 新型ボディとレンズのリリース。
J3とS1、小型高倍率ズームレンズが登場。
○2013年3月 新型レンズのリリース。
広角ズームレンズが登場。
○2013年6月 新型レンズのリリース。
大口径中望遠単焦点レンズが登場。
○2013年10月 新型ボディとレンズのリリース。
AW1、防水レンズ2本が登場。
○2014年4月 新型ボディとレンズのリリース。
V3、J4、300mmまでカバーする望遠ズームとコンパクトズームが登場。
○2014年6月 新型ボディのリリース。 (予定)
S2が登場。
これ以外にもマクロレンズも予定されており、他社製品では400mmF8のミラーレンズ(ケンコー)もすでに販売されています。
ニコンのミラーレス戦略は?
ニコンはキヤノンとともに、デジタル一眼レフの膨大な資産を持っています。そして、現時点でもなお、それらは主要な稼ぎ手であることから、「デジタル一眼レフ市場を前提としてミラーレスカメラに取り組む」 ということがニコンの基本的な立場となります。ニコン初のミラーレスカメラであるV1とJ1は、コンパクトカメラからのステップアップユーザーにフォーカスした製品でしたが、これも「既存デジタル一眼レフへの影響を避けるため」と考えられます。ちなみに、キヤノンのEOS M2 も、ほぼ同じスタンスの製品であると言えるかもしれません。
V2/V3やJ4/J3、S2/S1、AW1を登場させたことで、ニコンのミラーレスカメラは幅を拡げています。
V2のリリースで、上級者へとターゲットを拡大
まず、2012年11月にV2をリリースすることで、上級者をターゲットに入れました。コンパクトカメラからのステップアップユーザーにアピールするだけでなく、ミラーレスの「小型軽量」を活かすことで、既存のデジタル一眼レフユーザーの新たなニーズを掘り起こそうとしているのです。
V2、V3のリリースで「デジタル一眼レフよりも小型で、デジタル
一眼レフと同じように高機能なカメラ」というニーズにも対応。
今まで、デジタル一眼レフとコンパクトカメラの間には、大きな隔たりがありました。高級コンパクトカメラの登場で、ややその距離は縮まったとはいえ「レンズ交換による多様な対応力」を求めるのであれば、ニコンユーザーは「重く大きい」デジタル一眼レフしか選択肢がありませんでした。
V2、V3が登場したことで、ミラーレスカメラのメリットである小型軽量(カメラ本体だけでなく、レンズを含めたシステム全体として)や、電子ビューファインダーによる使い勝手の良さ、動画撮影への適応力など、デジタル一眼レフでは不得意な分野でもミラーレスカメラで対応可能となった といえます。
ニコンがこうした戦略をとることができたのは、やはり比較的小型の1型センサーを採用したからです。ニコンのデジタル一眼レフシステムは、エントリークラスでさえ有効2416万画素のイメージセンサーを搭載するなど、今まで以上に画質を重視する方向にシフトしています。つまり、デジタル一眼レフとミラーレスカメラの差別化を、サイズと画質で行っているのだと思います。
ニコンのミラーレスカメラが搭載する1型センサーは、一般的なコンパクトカメラとは比較できないほど高画質であるものの、「さらに高画質を求めるのであればデジタル一眼レフへ」というストーリー は、ユーザーにとってもわかりやすいかもしれません。
J3/J4とS1/S2、AW1、V3のリリースで、ラインアップを強化
2013年2月に登場したJ3とS1や、10月のAW1によって、ミラーレスカメラのラインアップが強化されています。J3とS1の主な違いは、イメージセンサーの画素数、モードダイヤルの有無、液晶パネルの精細さ、ボディサイズと重さ、といった点ですが、「コンパクトカメラからのステップアップユーザー」にはS1を、ファインダーを省略して「より小型軽量なボディを求めるユーザー」にはJ3を推奨するというメッセージが込められています。
また、J3に本格的なタフネス性能を付加したAW1の登場で、他社に先駆け対応フィールドを拡げました。さらに4月に発売されたV3は、ニコン1シリーズの中でも最上位に位置する機種で、ダブルコマンドダイヤルの搭載など、ミドルクラス・デジタル一眼レフに準じたインターフェースとなっています。ほぼ同時にリリースのJ4は、V4の描写性能をコンパクトなボディに搭載したスタンダード機で、ステップアップユーザーに対する主力モデルになります。さらに、ローエンドの位置づけのS2も、6月には世代交代して登場の予定です。
ニコンのミラーレスカメラの5つの特徴
●ニコンのミラーレスの特徴1:ミラーレスとしてはやや小型のセンサーサイズ
1型サイズであるCXセンサーをAPS-CサイズのDXセンサーと比べると、面積では約1/3となります。また、同じくCXセンサーをコンパクトカメラで標準的な1/2.3型センサーと比べると、面積では約4倍となります。つまり、ざっくり表現すると、ニコン1のイメージセンサーは、一眼レフタイプとコンパクトカメラとの概ね中間に位置 しています。
1型センサーは、ミラーレスカメラの中ではやや小型ですが、一般的なユーザーがミラーレスカメラに求める画質レベルは十分クリアしていると言えます。
(水色がニコン1の1型センサー)
●ニコンのミラーレスの特徴2:一眼レフと同等な高速オートフォーカス。
ニコンのミラーレスカメラに搭載されているイメージセンサーには、像面上に位相差方式のオートフォーカス素子が組み込まれています。キヤノンをはじめ像面位相差方式センサーを採用したカメラも増えてきましたが、高速性という点ではニコンが一歩先んじています。とくに前後に動く被写体を撮影する時でも、デジタル一眼レフと同じような使い勝手 である点は大きな特長です。
●ニコンのミラーレスの特徴3:エントリーから上級者まで、幅広い対応
コンパクトカメラからのステップアップユーザーを想定したS1、小型ボディを求めるユーザー向けのJ3、デジタル一眼レフに準じたインターフェースを搭載したV2によって、幅広いニーズに対応しています。まだラインアップはそれほど厚くはありませんが、今後さらに幅が拡げられていくものと思われます。
●ニコンのミラーレスの特徴4:手振れ補正機能はレンズ側で実現
ニコンのミラーレスカメラは、デジタル一眼レフと同様、本体に手振れ補正機能を搭載していません。このため、手振れ補正機能を利用するためには、この機能を搭載したレンズを選ぶ必要があります。現行レンズでは、10mmの薄型レンズと11-27.5mm標準ズームレンズは手振れ補正機能を持っていません。
●ニコンのミラーレスの特徴5:デジタル一眼レフのレンズ資産を活用可能
ニコンには純正マウントアダプターFT1が用意されており、既存のFマウントレンズを活用できます。オートフォーカスや手振れ補正機能などもきちんと機能しますので、安心して使えます。V2の登場により、デジタル一眼レフのサブカメラとしての使われ方が増えていく中、デジタル一眼レフ用レンズも使えるということは大きなメリットになります。
たとえば300mmの焦点距離のレンズをAPS-Cサイズのカメラに装着すると、画角は450mm相当となりますが、これがニコン1であれば870mm相当の超望遠レンズに早変わりします。
ニコンのミラーレスカメラの選び方
それでは、どのような点に着目して選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。
●「コンパクトからのステップアップ」ユーザーに、ニコン 1 S1
2013年2月に登場した機種です。J1やV1と同等の10メガ画素モデルですが、コンパクトカメラに搭載されている小型センサーとは描写力が違います。特に、暗いシーンでの撮影やボケを楽しむといった使い方は、ミラーレスカメラならではとなります。 また、連写性能や連続撮影枚数もエントリークラスのデジタル一眼レフと遜色ありませんので、長期間使える機種だと思います。
発売直後はやや高めでしたが、発売から1年近くとなる現時点では、ダブルズームのキットでも3万円台前半で購入可能です。
なお、2014年6月には後継機のS2 も登場予定です。描写性能やソフト面での強化が図られていますが、発売開始時点では少々高めで推移しますので、今しばらくは様子を見た方が良いかもしれません。
2013年2月に登場した機種です。V2と同じ14メガ画素センサーを搭載していますので、V2と同じ描写性能を持っています。ボディサイズはJ1/J2よりもさらに小型化されており、コンパクトなレンズと合わせて可搬性に富んだシステムの構築が可能です。
ユーザーインターフェースはS1に準じていますが、モードダイヤルを搭載するとともに、液晶モニターも高精タイプとなっています。基本的には「電子ビューファインダーを搭載していないV2」といった面を持っています。
やはり発売直後はやや高めでしたが、発売から1年近くとなる現時点では、S1との金額差は1万円弱となっています。
2014年4月に登場した新機種です。J3の後継機で、デザインが新しくなるとともにコンパクト化もされました。V3の下位機種ですが、イメージセンサーや画像処理エンジンはV3と同じものが搭載されていますので、ニコン1シリーズの中ではトップレベルとなります。
新たにWi-Fiの内蔵や液晶モニターのタッチ対応など、機能面でも強化されており、ニコン1シリーズのスタンダード機として魅力的なカメラに仕上がっています。V3とは異なり電子ビューファインダーには対応していませんので、このあたりが選択のポイントになりそうです。また、ダイヤル等のインターフェースもJ/Sシリーズのものを踏襲しています。
電子ビューファインダーを内蔵していますが、他機種との違いはデジタル一眼レフに準じたインターフェースである点です。モードダイヤルやコマンドダイヤル、ボタン類の配置は、ミドルクラスのデジタル一眼レフと同等レベルとなっています。また、大型のグリップやグリップ上に置かれたシャッターボタンなど、「コンパクトなデジタル一眼レフ」としての魅力を持っています。
ミラーレスカメラを「入門用レンズ交換式カメラ」ではなく、「小型レンズ交換式カメラ」として本格的に使いこなしたい方に適したミラーレスです。
有効18メガ画素のセンサーに最新の画像処理エンジン、20コマ/秒でのAF追従可能な連写性能、ダブルコマンドダイヤルのインターフェース、外付電子ビューファインダーへの対応など、V3の実力はデジタル一眼レフのミドルクラスに匹敵します。文句なくニコン1シリーズの中での最上位機種となります。
V2と同様に「本格的に使いたいユーザー」に加えて、デジタル一眼レフをメインに使っている方/使ってきた方のサブカメラとしてもフォーカスした製品です。
カメラとしての基本性能は概ねJ3と同じですが、そのままで水中15mでの撮影が可能であり、2mからの落下にも対応しています。水中ハウジングケース等に入れることなく水中での撮影が可能ですので、こうしたフィールドでの撮影を考えている方には唯一無二の選択肢となります。なお、レンズマウントは「ニコン1防水マウント」となり、マウント基部にシーリング機構が組み込まれています。既存のニコン1対応レンズをAW1に装着することは可能ですが、AW1のキットレンズやAW10mmF2.8を他のカメラボディで使うことはできませんので注意が必要です。当初はシルバーボディのみでしたが、現在はブラックボディも購入可能です。
これら以外にも、J1、J2、V1の3機種がリリースされています。すでに後継機種が登場していますので、いずれはフェードアウトしていくものと思われますが、現時点では店頭在庫も豊富にあるようです。さすがに第一世代機であるV1とJ1は一部の店舗でのみ取り扱われていますが、J2と比べても値ごろ感があります。
2011年10月に登場した時には、標準ズームキットで6万円台でしたが、現時点では2万円強、望遠ズームも付いたダブルズームキットも3万円前後で購入できるようです。J2やJ3と比較すると、沈胴レンズに連動して電源が切れない点や液晶パネルの精細度がやや低い点などの違いはありますが、カメラとしての基本機能は現行機種と同等レベルであると思います。取扱店はかなり減ってきましたが、積極的にJ1を選択し、ある程度使いこなした段階でボディを買い増しするということでも良いかもしれません。
V1も買いやすい価格が魅力的です。2011年10月の発売開始時は、薄型レンズキットが9万円程度でしたが、現在は3万円弱で購入できます。
カメラとしての中身は、ほぼJ1やJ2と同じですが、電子シャッターに加えメカニカルシャッターを搭載している点や、ダスト処理機構を内蔵しているなど、電子ビューファインダー以外にも違いがあります。
電子ビューファインダーのメリットは、明るい屋外でも視認しやすいこと、安定したスタイルで撮影できるので手ぶれしにくいこと、動画や望遠レンズでの撮影時に被写体の追随が容易であることなどがあります。その分やや大きくなりますが、J1/J2/J3やS1には外付電子ファインダーが装着できないことも考慮に入れる必要があります。
●「とくに予算面を重視する」方に、ニコン 1 J2
2012年9月に、J1の後継機としてリリースされた機種です。液晶パネルが高精細なものに置き換えられるとともに、沈胴レンズに連動して電源を切ることも可能になっています。また、ソフトウェア面でも強化されていますので、もし予算が許すのであれば、J1のかわりにJ2の選択をお勧めします。
J3では、ボタンやレバー類が統合され、従来タイプのリモコンも使用できなくなりましたので、この点を重視されるのであれば、J2/J1を選ぶ必要があります。
→「ニコンのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」
→2012年12月版「ニコンのミラーレスカメラの選び方」
→2012年10月版「ニコンのミラーレスカメラの選び方」
パナソニックのミラーレスカメラの5つの特徴
パナソニックは、オリンパスとともにフォーサーズ規格に基づくレンズ交換式デジタルカメラを展開していました。しかし、パナソニックはオリンパスとは異なり、マイクロフォーサーズ規格誕生後は、すべての新製品をマイクロフォーサーズ規格で設計しています。つまり、実質的にマウント規格の切換を行ったわけですが、そのことに対する是非はともかく、単一マウント規格に統一したことは新しいユーザーにとってわかりやすいかもしれません。
そのため、パナソニックは、従来の一眼レフが担っていたニーズに対応する商品も、ミラーレスカメラで提供しなければなりません。オリンパスのミラーレスカメラが、当初は小型軽量モデルに特化していたのに対し、パナソニックは必ずしも小型化最優先で設計していない製品もラインアップに含めている、という違いとなってあわられていました。その後、オリンパスからも電子ビューファインダーを内蔵したOM-D E-M5 がリリースされ、OM-D E-M1 やOM-D E-M10 が登場したことにより、こうした違いはやや薄れてきたと言えるかもしれません。
●パナソニックのミラーレスの特徴1:ラインアップの幅が広い
パナソニックには、電子ビューファインダーを内蔵しているDMC-G6とDMC-GH3、DMC-GX7、内蔵していないものの外付の電子ビューファインダーに対応しているDMC-GX1、背面液晶モニターだけのDMC-GF6、世界最小のミラーレスDMC-GMがあり、ユーザーの幅広いニーズに対応できるようになっています。このように、エントリーから中・上級機まで、幅広く品ぞろえされている点が、パナソニックの大きな特徴です。
●パナソニックのミラーレスの特徴2:電子ビューファインダー内蔵モデルも重視
マイクロフォーサーズのミラーレスカメラとしては、パナソニックだけが電子ビューファインダー内蔵モデルを展開していました。オリンパスからも電子ビューファインダーを内蔵したOM-D
E-M5やE-M1が登場しましたが、当初から内蔵モデルと非内蔵モデルの両方を幅広く展開してきた点は、パナソニックの製品を選ぶ上でしっかりと見ておかなければならない点です。
液晶モニターの高画素化や視認性等の性能が上がっているものの、やはりファインダーを使ってしか撮影できないシーンも少なくありません。その場合、外付電子ビューファインダーでも対応できますが、内蔵タイプのファインダーにはしっかりとカメラをホールディングできるメリットもあります。
●パナソニックのミラーレスの特徴3:ミラーレスでは平均的なセンサーサイズ
マイクロフォーサーズのイメージセンサーは、フォーサーズ規格と同じ4/3型となります。センサーサイズを比較すると、ソニーやキヤノン、富士フイルムが採用しているAPS-Cサイズの約6割、ニコン1の約1.8倍となり、両者のちょうど中間的なセンサーサイズであるといえます。
(緑色がマイクロフォーサーズの4/3型センサー)
●パナソニックのミラーレスの特徴4:動画撮影機能を重視。
パナソニックの機種は、早い段階からフルHD動画の撮影が可能であり、ステレオマイクも内蔵していました。パナソニックは、マイクロフォーサーズ規格の業務用HDカメラレコーダーもリリースしており、静止画と同様に動画撮影も重視した製品となっています。
●パナソニックのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で実現
パナソニックはオリンパスと異なり、本体には手振れ補正機能が搭載されていません。そのため、手振れ補正機能を有するレンズとの組み合わせでのみ、機能を利用できます。理由はソニーと同様に、イメージセンサーの排熱対策からではないかと思われます。ボディ内手振れ補正方式ではセンサー自体が動くため、センサーユニットに大型のヒートシンクを付けることは難しく、とくに動画撮影時にはオーバーヒートする危険性が高くなります。これに対し、レンズ方式ではイメージセンサーをボディ筐体金属に密着させることもでき、排熱対策が容易となるためです。
なお、2013年9月に登場したDMC-GX7は、はじめて手ぶれ補正をボディ内に内蔵しました。今のところ、パナソニックでボディ内手ぶれ補正に対応しているのはこの1機種のみですが、今後の展開が注目されます。
パナソニックのミラーレスカメラの選び方
それでは、どのような点に着目してパナソニックの5機種から選ぶべきなのか、具体的に各機種ごとの特徴をみることにしましょう。
パナソニックのラインアップの中ではもちろんのこと、レンズ交換式カメラ全体の中で最小なのがDMC-GMです。描写性能も上級機であるDMC-GX7と同等であり「単なるコンパクトモデル」ではありません。また小型ではあるものの、他機種同様、内蔵フラッシュやタッチパネル液晶も搭載しています。コマンドダイヤルは搭載されていませんが、それを上回る魅力をもったカメラです。
●「小型軽量でファインダー内蔵機が欲しい」方に、DMC-GM5
2014年11月に登場したDMC-GM1の上位機となります。コンパクトなボディを引き継ぎつつ、新たに電子ビューファインダーを搭載した点が一番のポイントとなります。
デザイン面でも力が入れられており、持っているだけでも楽しめるカメラに仕上がっています。カメラとしての基本性能は上級機であるDMC-GX7と同等であり、コンパクト性によって描写性能が犠牲になっていない点も魅力的と言えます。
その分、価格面ではやや高めですが、それに見合う実力をもったカメラであると思います。
パナソニックのラインアップの中で、DMC-GMに次いで小型軽量なのが、DMC-GF6です。画素数も有効1600万画素であり、実質的な描写力に大きな違いはありません。また小型ではあるものの、他機種同様、内蔵フラッシュやタッチパネル液晶も搭載しています。液晶パネルは上側に反転させることができるため、液晶モニターを見ながらの「自分撮り」も可能です。
2013年4月に発売開始となった機種ですが、パナソニックの現行機種の中では一番廉価である点も、DMC-GF6の魅力です。
●「電子ビューファインダーは欲しいが、フラットなボディが良い」方に、DMC-GX7(製品レビュー)
前機種のDMC-GX1と同様に上面がフラットなボディデザインの機種ですが、チルト可動に対応した電子ビューファインダーを内蔵している点が大きな進化ポイントとなります。また、パナソニックの現行機種の中では、DMC-GMと並びトップレベルの描写性能である点や、高速シャッターの搭載、Wi-FiとNFCの内蔵、そしてパナソニックでは初となるボディ内手ぶれ補正対応機でもあります。もし予算に余裕があれば、まずは購入候補に加えるべきバランスの良い機種と言えます。
一般的なデジタル一眼レフの形をしているため、どのようなシーンでも安心して撮影することができます。電子ビューファインダーを内蔵しているため、カメラを安定的に保持することも可能です。とはいえ、カメラのサイズはコンパクトですので、ミラーレスカメラの特徴である「小型軽量」を楽しむこともできます。前機種のDMC-G5 からデザインが一新されるとともに、画像処理エンジンが進化しています。また、Wi-FiやNFCを内蔵することで機能強化もされています。
パナソニックの電子ビューファインダー内蔵機の中では一番買いやすい価格となっていますので、その点も洗濯時のポイントと言えます。
パナソニックの現行機種の中ではフラグシップのポジションに位置するカメラです。ボディ形状はDMC-G6とも似ていますが、しっかりとしたグリップをはじめ、全体にひとまわり大きくなり高級感も感じられます。DMC-GH3は特に動画撮影を視野に入れたカメラで、フルHD動画対応はもちろんのこと、高速なオートフォーカスも搭載しています。
4月に登場するDMC-GH4では、さらに動画性能が強化され4Kでの撮影に対応するとともに、AF性能や連写性能なども強化されています。静止画を撮影する機会と同じくらい動画撮影を考えているのであれば、DMC-GH3/DMC-GH4が最適なカメラとなります。
これらの機種以外にも、DMC-G5(製品レビュー) やDMC-GF5(製品レビュー) 、DMC-GX1(製品レビュー) など一世代前のものも店頭には並んでいます。現行機種と比べると、さらに1〜2万円程度安価で入手可能ですので、もし予算面を重視されるのであれば、これらの中から選択するのも良いかもしれません。
「パナソニックのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もご参照ください。
富士フイルムのミラーレスカメラの5つの特徴
富士フイルムは画質を重視したデジタルカメラ「Xシリーズ」の一翼として、2012年2月にミラーレスカメラX-Pro1 を市場に投入しました。発売時点では3本の単焦点レンズがリリースされただけでしたが、その後精力的にラインアップが強化されてきており、現時点では単焦点レンズ6本、ズームレンズ5本が用意されています。これらのレンズは、廉価タイプのものでも描写性能や質感にこだわって設計されている点も、富士フイルム・ミラーレスカメラ・システムの特長と言えます。
その後、カメラ本体もX-E1(製品レビュー) 、X-M1(製品レビュー) 、X-E2(製品レビュー) 、X-A1(製品レビュー) 、X-T1(製品レビュー) と順調に強化されてきています。
●富士フイルムのミラーレスの特徴1:レンズ交換式カメラはミラーレスのみ展開
富士フイルムは社名の通りフィルムをはじめとする感材メーカーというイメージが強いですが、フィルム時代にはコンパクトカメラだけでなく一眼レフ等のレンズ交換式カメラもラインアップしていました。カメラ市場の重点がデジカメ移行してからは、ニコンからボディ供給を受けたFinePixSシリーズを除き、コンパクトカメラだけを展開してきました。そのため、たとえばネオ一眼タイプも常にカタログに掲載されているなど、幅広い品揃えが特徴だったと言えます。
その富士フイルムが、満を期してレンズ交換式カメラ市場に再投入したのがX-Pro1やX-E1などのミラーレスカメラとなります。おそらく今後も含め、レンズ交換式カメラはミラーレスカメラだけで展開していくことになると思います。その分、経営資源が重点的に注がれることが期待できます。リリース時点からレンズのロードマップを発表したのも、そうした意気込みのあらわれでしょう。
●富士フイルムのミラーレスの特徴2:大型イメージセンサーを搭載
富士フイルムのミラーレスカメラは、一般的なデジタル一眼レフが採用しているAPS-Cサイズのイメージセンサーを搭載しています。現行のミラーレスカメラの中では大型センサーであり、高い描写性能を実現しています。また、ローパスフィルターを搭載しないとともに、一般的なCMOSセンサーを採用したX-A1以外は6X6型のカラーフィルターを用いるなど、解像感が高くモアレや偽色の発生を抑制した画像が得られます。
一般的なデジカメでは2x2の画素を単位としたカラーフィルターを搭載していますが、富士フイルムは6X6の画素を単位としたフィルターのため、非周期性が高く、モアレの発生が軽減されます。また、縦横方向に必ずRGBのすべての画素が存在するため、偽色の発生も抑えることが可能となっています。
●富士フイルムのミラーレスの特徴3:ファインダーを重視
X-Pro1では、FinePixX100のハイブリッドビューファインダーをさらに複数画角に対応させたハイブリッドマルチビューファインダーが搭載されています。これは、電子ビューファインダーと実像式光学ファインダーを切り替えられる構造となっており、クリアーに見えるだけでなく実用性も高いファインダーです。X-E1や後継機種のX-E2、フラグシップのX-T1では、一般的な電子ビューファインダーのみとなりましたが、それでも大型高精細タイプが搭載されており、やはりトップレベルの見え方が確保されています。
なお、コンパクト性を重視したファインダーレスモデルとなるX-M1やX-A1もラインアップに加えられていますが、ファインダーを重視する富士フイルムのスタンスは変わりないように思います。
●富士フイルムのミラーレスの特徴4:ハイクラス製品から展開
富士フイルムが発表したレンズロードマップによれば、最初から単焦点レンズを中心とした交換レンズがリリースされています。他社のミラーレスカメラでは、標準的な明るさのズームレンズが基本で、これに描写性を重視したレンズが加えられる、というラインアップ方式であるのと対照的です。また、ズームレンズもいわゆる一般的なキットレンズよりも比較的明るいレンズを中心に展開しています。こうしたレンズの品揃えを見ますと、これからもハイクラスの製品に軸足を置いていくものと思われます。
●富士フイルムのミラーレスの特徴5:手振れ補正機能はレンズ側で対応
富士フイルムのカメラボディには手振れ補正機能は搭載されていません。そのため、もし手振れ補正機能を使いたいのであれば、対応しているレンズを選択する必要があります。現行レンズでは、ズームレンズにのみ手ぶれ補正機能が搭載されていますので、この点は留意が必要です。
それでは、どのような点に着目して富士フイルムの現行4機種から選ぶべきなのか、具体的に機種ごとの特徴をみることにしましょう。
X-M1はX-A1とともに、富士フイルムの中で最小最軽量のモデルとなります。電子ビューファインダーを省略したことで、X-E2と比べても一回り以上コンパクトになっている点が魅力的です。描写性能は、X-Pro1やX-E1と同等ですので、安心して作品作りができます。
電子ビューファインダーには外付けでも対応しませんが、撮影スタイルによっては液晶モニターメインとなることもありますので、そうした方にとっては「よりコンパクトで安価」なX-M1が良い選択肢になると思います。
●「電子ビューファインダーを搭載したバランスの良いカメラが欲しい」方に、X-E2(製品レビュー)
X-E2は富士フイルム・ミラーレスカメラの中で中核機の位置を占めています。見やすい電子ビューファインダーがポイントですが、新型イメージセンサーを採用したため、現行機種の中でトップレベルの描写性能を持っている点にも注意が必要です。X-E1と比べるとやや高価になりましたが、それだけの実力を備えた主力機に仕上がっています。
もし予算面で余裕があれば、富士フイルムのミラーレスカメラの中では、最初に候補として考えるべきカメラだと思います。
●「実像式ファインダーを搭載したハイエンド機が欲しい」方に、X-PRO1(製品レビュー)
富士フイルムの中でフラグシップの位置づけのカメラです。電子ビューファインダーと実像式光学ファインダーを切り替えることができる「ハイブリッドマルチビューファインダー」を搭載している点がポイントとなります。撮影シーンやスタイルによって、クリアーな実像式ファインダーと高機能な電子ビューファインダーを自由に切り替えることができます。
X-Pro1は富士フイルムにとって最初のミラーレスであり、登場からそろそろ丸2年となりますが、フラグシップとしての実力は衰えていません。価格的にも、X-E2と同等以下まで下がってきましたので、コストパフォーマンスの点でも魅力があります。
●「最新の機能と性能を搭載したハイエンド機が欲しい」方に、X-T1(製品レビュー)
X-Pro1とともに、富士フイルムのフラグシップカメラの位置づけです。デジタル一眼レフと同様にレンズ光軸上に設けられた大型の高精細電子ビューファインダーの視認性は高く追従性もトップレベルです。オートフォーカスや連写性能が強化されるとともに、Wi-Fiなど最新の機能もしっかりと内蔵されています。ボディは富士フイルムでは初となる防塵防滴性能で、縦位置バッテリーグリップなどのアクセサリー類も幅広く用意されています。
●「予算面を重視したい」方に、X-A1
富士フイルムのミラーレスカメラの中で、ローエンドに位置するカメラです。基本性能やデザイン、サイズはX-M1と同じですが、イメージセンサーは一般的なCMOSセンサーとなっています。このセンサーはローパスフィルターもついていますが、色づくりを含め他の富士フイルム機と同等の性能を持っていますので、実際の撮影シーンで違いを感じることはあまりないと思います。
2013年11月の発売当初はダブルズームレンズキットで7万5千円前後であった価格も、2万円程度下がっており、他社製品と比べてもお買い得感が高いカメラだと思います。
ペンタックスのミラーレスカメラの5つの特徴
ペンタックスは、オリンパス、パナソニック、ソニーに続き、4番目にミラーレスカメラに参入しました。2011年8月に登場したQ(製品レビュー) の3代目となるQ7(製品レビュー) と4代目のQ-S1 、2012年3月登場のK-01(製品レビュー) の2つの製品が展開されています。
ペンタックスのレンズ交換式デジタルカメラの特徴は、Q-S1/Q7のような小型モデルだけでなく、APS-CサイズのK-3(製品レビュー) やK-50(製品レビュー) 、さらには中判モデルである645D と、幅広いラインアップを展開している点にあります。
ペンタックスが2012年4月にリリースしたK-01は、デジタル一眼レフのマウントはそのままに、ファインダーとミラーボックスを取り除いて小型軽量化したモデルです。今までにないミラーレスカメラへのアプローチであり、今後の展開が注目されます。今のところは、ミラーボックスの部分が単なる空洞となっていますが、今後バックフォーカスの短い専用レンズも予定されており、トータルシステムとしてはさらに小型化されることが期待されます。いずれにせよ、既存のレンズ資産がそのままの形で利用できる点は、大きなポイントになると思います。
●ペンタックスのミラーレスの特徴1:小型軽量重視と画質重視の2ライン
ペンタックスの展開しているミラーレスカメラは、小型軽量なナノ一眼Q-S1/Q7と、ミラーレスカメラの中でトップレベルの画質となるK-01であり、この2機種は両極端ともいうべき特徴をもっています。いうまでもなく、ペンタックスQ-S1/Q7は、レンズ交換式カメラの中で、最小クラスとなります。カメラだけを比べるとパナソニック DMC-GMの方が小さいですが、レンズを含めたシステム全体ではやはりQ-S1/Q7の方がコンパクトと言えます。レンズを付けたまま気軽にポケットに入れられるカメラということであれば、最適なカメラとなります。
●ペンタックスのミラーレスの特徴2:Q-S1 / Q7(製品レビュー) 趣味性を重視したカメラ
ペンタックスQ-S1/Q7は小型ボディではありますが、マグネシウムボディやモードダイヤルの採用、純正アクセサリー類の用意など、趣味性にも配慮したカメラとなっています。その意味では、レンズ交換式デジタルカメラを小型化したという意味付けだけでなく、趣味性のあるカメラを追求した結果レンズ交換式になった、といった表現もできるカメラです。
QやQ10では1/2.3型のイメージセンサーでしたが、Q-S1/Q7では高級コンパクトで主に採用されている1/1.7型へと大型化されました。もともとスタンダードタイプのレンズは描写性能にも定評がありましたので、コンパクトを超える描写力が魅力的です。また、カラーコーディネートにも対応しています。
●ペンタックスのミラーレスの特徴3:K-01(製品レビュー) デジタル一眼レフと同じレンズ
ペンタックスK-01の特長は、ペンタックスのデジタル一眼レフ用のレンズがそのまま使える点です。マウントアダプターなしに同じ画角の撮影ができるカメラボディとして、ペンタックスのデジタル一眼レフとシームレスに使うことが可能です。K-01のミラーボックスは単なる空洞となっていますが、今後はこの空洞を生かした専用小型レンズもリリースが予定されているようです。 価格的にも、K-50の半額程度で購入できますので、ペンタックス・デジタル一眼レフのサブボディとしての使い方にも適していると思います。
●ペンタックスのミラーレスの特徴4:手振れ補正機能はカメラ側で実現
ペンタックスQ-S1/Q7とペンタックスK-01は、どちらもボディ内手振れ補正方式を採用しています。そのため、ペンタックス用のすべてのレンズで手振れ補正を活用した撮影が可能です。また、ボディ内手振れ方式は、回転方向の手振れにも対応可能ですので、より効果的な補正効果が期待できます。
●ペンタックスのミラーレスの特徴5:マルチフォーマット
ペンタックスQ-S1/Q7は1/1.7型イメージセンサー、ペンタックスK-01はAPS-Cサイズのイメージセンサーと、サイズだけ見ても大きく異なるラインアップとなっています。また、ペンタックスは国内メーカーで唯一中判デジタルカメラを展開している企業であり、もともとマルチフォーマットに対する経験が蓄積されている会社でもあります。これからも、35mmフルサイズをはじめ、新たなフォーマットの製品を展開する可能性も少なくないと思います。
「ペンタックスのレンズ交換式デジタルカメラの選び方」もご参照ください。
(2014年12月12日 編集: Inaba Kunio)
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参考:「デジタル一眼レフの特徴と選び方」
参考:旧記事「ミラーレスカメラの特徴と選び方(2013年12月版)」
参考:旧記事「ミラーレスカメラの特徴と選び方(2013年9月版)」